ハギビスの通り過ぎたあとに

日本一寒い町で生まれた人がいてね。

「お母ちゃん、寒いよう」
子供の頃はいつも、そう言って泣いてたんだって。

やがてお母ちゃんのお布団にも入れてもらえなくなる年頃の青少年になると、「お母ちゃん、寒いよう」に、

「自分で考えて工夫しなさいッ」

としか返ってこなくなった。眠る部屋も別々になって、一人、丸まって震えてたんだって。

だけど震えてたって寒いだけだから、青少年は考えた。理科の教科書を読み、土地の民俗を調べ、部屋の保温性を高めて、最強ぽかぽかルームを作った。

大きくなってその人は、立派な建築家になったの。

「自分で考えて工夫しなさいッ」

めちゃくちゃ冷たいようでいて、ほんとは熱い言葉だったのね。

不安や不便や不快の中に、もしもあなたがいるならば、ほんのひと時でもはやく、あなたが抜け出せますように。

わたしは停電アンド断水になっちゃって、今朝は、備蓄水と無洗米を入れた金属製コップをアロマポットにかけて炊飯しました。

ロウソクの火が当たるように、500円玉を重ねて位置調節して……

切り干し大根サラダと納豆を添えました。お米、めっちゃ固かった。けど、やけに美味しかった〜！

そんで、日中にソーラーパネルでガンガンに電子機器を充電して、

東北地方の男装文化史を調べる旅「みちのく男装旅」で入手した資料整理など、電力を使わないことを中心にやってました。

あなたは、いかがお過ごしでいらっしゃる？　画面越しではあるけれど、あなたのことを思っています。

ここから下は、いつも読んでくださる方とのおしゃべりコーナーです。