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「どうしてそんなに不機嫌なのよ?」

都会を後にし、小さな町で暮らして四年になる。

毎日、静かだ。朝日で起きて、海を見て、緑茶を飲んで、原稿を書く。人間の気配がない。鳥が鳴く。波が寄せる。生命の気配が満ちている。

都会に出るときはいつもビビる。だって知らない人間が怖いんだもん。で、都会、人間が多いんだもん。

この間は都会、「うるせえ!」と怒鳴る男性の声が聞こえた。すごいでかい声だった。すごい、むりだった。帰りたい。そう思った。

レジの人に威張る人(なぜ)、人身事故で駅員に怒鳴る人(WHY)、見るだけで帰りたさをもよおす人に、都会ではよく遭遇する。帰りたい。常に帰りたい。おふとんに。もはや、この地上に堕とされる前の天上界に†。

闇を抱えて帰宅をキメる。
高校生と思しき二人、スカートの子とズボンの子が駅で並んでいる。

「ねえ、どうしてそんなに不機嫌なのよ?」
「は!? 不機嫌じゃねえし!」

都会も悪くないなと思った。
っていうか、人間って悪くないな、とか、思った。

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SNS原稿用紙で綴る一枚記」は、SNS投稿に最適化された原稿用紙を使ってお送りする短い読み物です。コンセプトは「画面越しにも、手書きのぬくもり」。SNS原稿用紙について、詳しくはこちらです。
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