見出し画像

美しい瞬間を重ねてゆく #私の仕事

ガラスを始めてから、気付けばもう10年以上経っている。美大でガラスコースを専攻したのが19歳の時だから、それから数えると今年で15年くらい。(この間34歳になりました)。本当に飽きること無くずっとガラスの魅力に取り憑かれてきて、まだまだ制作の手は止まらない。

今年に入ってから、今まで出会う事の無かった色々なお仕事の人達と立て続けにお会いする機会があって、世の中ほんとーーーに色んな仕事があるんだなぁ、と感動すると同時に、自分の仕事である「ガラス作家」って、どんな風に伝えたら良いのか、結構困った。

「ガラスで器を作っています」と言ったけれど、なんか、ちょっと、違うような。



ここ数年、私の周りにいる人は、モノづくりの人かギャラリー関係者、工芸や器好きのお客様など「ガラス作家」という仕事について説明しなくても、自然と会話が成り立つ人が多かった。

それくらい、全然違う分野の人達と触れ合う機会が少なかったみたい。ここ3年くらいは特に、自分の制作環境を整えることや、技法の確立に重心を置いていたから、あんまり人にも会わず、ひたすら制作の日々だった。

で、そんな冬眠から目覚めた熊みたいな感じで、ちょっと外に出てみたら、あれっなんか……時代が進んでる……。笑

そう、みんな色んなやり方で自分の表現をするようになっていた(本当に今更感が凄いけど)
何だか、凄く感動した。


* * *


美大あるあるだと思うんだけど、課題の講評会の時に自分の作品についてあれこれ説明すると、言い訳をしてるような後ろめたさを感じたり、作品を見て伝わらないなら、何言ってももうダメだわ……。みたいな、自分の作ってるものについて色々話す事のナンセンスさ、に対する恐怖心を覚えてしまって。

(もちろん講評会は凄く有り難く大事な経験で、良いところの方が圧倒的に多いけど!)

そこは本当に微妙なところだと、今でも思うんだけど。余計な事を言わないように、とか、作家は作るのが仕事で、発信するのは作家の仕事じゃないよ、と昔言われたこととかが少しずつ蓄積していって、いつの間にか、何かを書いたり発信する事が怖くなっていた。

でも最近、自分の作品について知って貰う為の努力や、美しいと感じた瞬間を素直に発信していくことは、全然恥ずかしい事じゃないよなぁって思えるようになってきた。

* * *

それともう一つ。私はガラスを使って表現をすることが大好きだけど、それだけでは無い。好きな事、いっぱいあるんだった。

旅をするのも好きだし、本を読むのも文章を書くのも好き。季節の花が咲いていたら嬉しくて写真を撮るし、鉱物もついつい収集しちゃう。

好きな事を好きと発信する事の楽しさを、思い出させてくれたのは、最近出会った人達のお陰。

画像1


私は好きな事を仕事にしている。その分頑張らなきゃ、とかガラス以外のことは犠牲にして、一つでも多く作り続けないと、っていう変な罪悪感があったみたい。
うーん、改めて書くと気持ち悪いな(笑)
いつの間にか、風通しが悪かったんだなぁ。


私は、これ好きだな、楽しいな、と思える色んな方法で、私が人生で美しいと思う瞬間を表現していきたい。

道端にひっそりと咲くスミレの輝きや
旅先で出会った 燃えるように咲く赤い花
清流に潜む魚の群、、、

その方法はやっぱりガラスが1番で。そこはきっとずっと変わらないと思う。そして最近は、写真や文章をもっと書いていきたいと思うようになった。 楽しさを思い出す事が出来たから。

* * *

ここ数年は、ガラスと有線七宝という伝統技法を組み合わせて、器や小さいアートピースを作る事に夢中になっている。そしてこの技法を使って作品を作っていくことは、私が自分の一生をかけて取り組んでいくテーマだと感じている。

画像2

毎日ガラスと向き合っていると、自分の意図しないところでハッとするような美しい色が出たり、面白いテクスチャーが現れたりする事があって、そんな時はだいたい一人だ。

そんな日々の心の震えをもっと写していきたい。そして誰かと共有出来たらとっても嬉しい。写真はコミュニケーションだよね。

画像3

今、目の前にある夢中になれるものに、ちゃんとフォーカス出来る人でいたい。人が夢中になって作ったものって、良いエネルギーを持っている。そしてそれはきっと、良い循環をしていくものだと信じている。

色々な事を重ねていって、作品が出来上がっていく。作品は、思ってる以上に自分自身だ。だから、良いものを作ろうと思ったら、自分自身を磨くしかない。

自分を磨くという事は、生命力を輝かせる事だ。
それは、どんな時か…。

そんな事を際限なく考えながら、日々ガラスと向き合い手を動かしていく事が、私の仕事です。







記事を読んでいただいてありがとうございます。いただいたサポートは、次のだれかの元へ、気持ちよく循環させていけたらと思っています。