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「出来ない」に隠れる"やりたくない"

「これ、あなたの担当よね。状況を確認したがっているみたいだから、今日中に〇〇さんへメールで返信してくれる?」私のところに、別の担当者の案件の問い合わせが来たので、そう同僚にチャットで伝えた。すると、即効「出来ない」と返信が来た。「なぜ?」と聞くと、「別のことで忙しいから」。連絡した時刻は午後2時。忙しいって、どうなっているのか、2,3行、メールで状況を連絡する時間もないというか。じゃ、当然、食事やトイレに行く暇もないくらい超忙しくて、絶対にメールを打つ時間は1秒たりともないというのか?それを聞いて、

出来ないじゃなくて、”やりたくない”んでしょ?

と、イラっと来た。私は知っている、上司に頼まれている、急ぎでもない、でも自分が得意な調査報告に多くの時間を費やし、社内のマネージャーからの問い合わせやメール返信を後回しにしていることと。だからしびれを切らして、私のところに色々な人から「どうなってるの?」と連絡してきたのだ。

出来ない、英語ではcan not。これは、能力的に、技術的に、実現不可能な時に使う。例えば、足を切断した人に100mを9秒台で走れとか、パスポートも持ってないのにアメリカに入国しようとするとか、上司でもないのに特定の人の給料を上げるとか。

だが、日本人の「出来ない」は、それ以外の意味を含んでいることが多々ある。この同僚も、決して暇なわけではないだろうが、「明日の昼には、一旦集計が出ます」とか、「〇〇に問い合わせして連絡待ちです」などと、返信をすることは”可能なはず”だ。だが、やらない。それは、頼まれたことを遂行しておらず、それがバレることを恐れ、隠したいからだ。

一般的に、自分がよく知っていること、得意なことは、人間はすぐにやる。だが、今までやったことのない新しいこと、よく手順などが分かっていないことは、ついつい後回しにしがちだ。誰だって得手不得手はある。だからその気持ちを責める気はない。だが、それを「忙しいから出来ない」にスリ変えるのは、正しくないし、ズルいと思う。所詮、利己的ないいわけなのだ。

「じゃあ、クライアントに、あなたが”今日は他のことで手がいっぱいで連絡出来ないって言ってました”と私からメールしておきます」と返したら、10分後に、「明日の朝、改めて報告します。よろしくお願いします」と、クライアントにメールをした。ほら、出来るじゃん!

追記:noriyukikawanakaさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。


「人生経験の引き出し」がいっぱいあります。何か悩み解決のヒントになる話が提供できるかもしれません。