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The Other Side 1「客席が360度回るとんでもない劇場での名作ミュージカルが最高すぎた話」

●The Other Side

“Suddenly we’re free to fly. We’re going to the other side.”
きっと今なら、空も飛べる。今を、この瞬間を、生きている。

そうやって思えるような、
非日常の世界に連れて行ってくれる演劇やミュージカル作品をご紹介します。

<1作品目>
作品名:ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』来日キャスト版
劇場:IHIステージアラウンド東京

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詳細はこちらから
https://www.tbs.co.jp/stagearound/theater/


「IHIステージアラウンド東京」は、とんでもない劇場だ。

まず、劇場というとステージが目の前にある箱を想像すると思うけれど

この劇場は客席が真ん中にぼんっとあり

その周り360度ぐるりと、ステージが取り囲む。

そしてなんと、客席自体がぐるぐると回転する。


2017年に世界で2つ目、アジアで初めて出来たこの劇場に

今年、名作ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』がやってきた。



この劇場に訪れたことは今までに他作品で何度もあるし

『ウエスト・サイド・ストーリー』を観劇したことも何度もある。

だけど、ここまで鳥肌が止まらず、涙が止まらない体験は初めてだった。


この劇場は、立体的に、物語を操ることができる。

演劇、ミュージカルの新しい可能性をまざまざと見せつけられた。


際限のないステージは、小さくも大きくもなる。

映画のズームのように、

玄関の前に佇む主人公だけを映し出すシーンもあれば

まるで自分もその世界に入り込んだかのように、

目に入るギリッギリの角度までアメリカの街並みが広がるシーンもある。


幕が映像に早変わりするステージは、リアルとデジタルが自由に交わる。

主人公の2人が恋の歌「Tonight」を歌えば

2人の空に舞い上がるような心と共に観客の視覚と心も舞い上がる。


そして、ラストに待ち受ける映像演出は

この作品が60年以上に渡って、時を超えて愛され続け、

その歴史を受け継ぎ、今目の前に広がっているということを教えてくれる。


『ウエスト・サイド・ストーリー』の元と言われる

『ロミオとジュリエット』を書いたシェイクスピアは

演劇界で初めて「時」を操った人物だと言われた。


当時、1日の出来事を演じてきた演劇は彼の手により、

数日間のストーリーも、数年間のストーリーも、描かれるようになった。


そんな、「時」にまつわる縁を感じてしまう。


板の上、シンプルに演じられる演劇の良さも、もちろんある。

むしろ、私はその方が好き。

だけど、こうやって演劇の幅が立体的に広がっていくことで

作品は受け継がれ、また感動の幅も増していくのだと、改めて思う。



来日キャスト版は今週で終わってしまうけれど、

日本人キャスト版が11月から始まります。


翻訳してしまうことで言葉の深みが変わってしまうこともあるけれど

日本人キャストの方がきっと見やすい人が多いのも事実。

これも立体、なのだと思う。

何はともあれ、日本人キャスト版も、楽しみです。


ジャニーズが始まったきっかけでもある

『ウエスト・サイド・ストーリー』。

偉大なプロデューサーが亡くなったこの年に

この作品がやってきたことにも、また縁を感じざるを得ない。

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