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ロシアがアフガン兵を募集中

Foreign Policy 10/25/2022の記事の翻訳です。
写真:2017年5月1日、カブール郊外のカブール軍事訓練センターで訓練を行うアフガン国軍兵士たち。SHAH MARAI/APP VIA GETTY IMAGES

見捨てられた特殊部隊の退役軍人達が、全く異なる種類の戦場への就職を斡旋されている。

アフガニスタンの精鋭部隊である国軍コマンド部隊のメンバーは、昨年同国がタリバンに陥落した際、米国と西側同盟国から見捨てられたが、ウクライナで戦うためにロシア軍に参加しないかと誘われていると言う。複数のアフガニスタン軍及び治安関係者によれば、米国で訓練された軽歩兵部隊は、米国及び他の同盟国の特殊部隊と共に約20年間戦い、ウクライナの戦場でロシアが必要とする効果を生み出す可能性があると言う。

2021年8月に米国がアフガニスタンをタリバンに割譲した時、アフガニスタンの2万人から3万人の義勇兵が取り残された。共和国が崩壊した時、数百人の上級将校だけが避難した。タリバンが崩壊した政府への忠誠者を追い詰めて殺害したため、数千人の兵士が地域の隣国に逃亡した。アフガニスタンに残っている兵士の多くは、捕らえられ処刑されるのを避けるために身を隠している。

米国はアフガニスタン国防・治安部隊の構築に900億ドル近くを費やした。部隊全体としては無能で、数週間でタリバンに国を明け渡したが、米海軍特殊部隊や英軍特殊空挺部隊から教育を受けたコマンドー部隊は常に高い評価を受けていた。

2021年6月、アフガニスタンのコマンド部隊が増援と補給を待ちながらタリバンと戦ったドーラト・アバドの戦いは、コマンド部隊のピュロスの様な(多大なる被害にもめげずに)成功を象徴している。この部隊を率いた米国仕込みの少佐ソフラブ・アジミは、最後の戦いに向かうまで50日間戦い続けた後、わずか3日間の休息しか取っていなかったことが明らかになり、国民的英雄となった。

現在、彼らは職を失い、絶望的な状況にあり、多くの兵士が米国や英国への再定住を待っている。このため、高度な戦闘能力を持つ兵士の「兄弟の絆」精神を理解するリクルーターの格好の標的になっている。このことは、ロシアのリクルーターにとって、彼らを格好の餌食にする可能性があると、アフガニスタンの治安関係者は言う。匿名希望の元アフガニスタン治安当局高官は、ロシア軍への彼らの統合はウクライナの戦場では「ゲームチェンジャーになるだろう」と語った。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、失速した戦争のための人材確保に苦労しており、囚人を登録させている悪名高い傭兵ワグナーグループを利用していると報じられている。

ワグナーは、公式には存在しないが、プーチンの仲間であるエフゲニー・プリゴージンが運営しているとされ、おそらく軍事情報機関GRUを通じて資金を供給している怪しげな組織である。2014年にモスクワがウクライナからクリミアを併合した後、クリミアで最初に出現したと伝えられており、その後、シリア、リビア、アフリカ他の地域でも出現している。プリゴージンは最近、ウクライナにおけるロシアの戦線を強化するために、刑期を取り消す見返りに囚人と契約しているところを撮影された。

アフガニスタンのコマンド部隊の将校でもあった元政府関係者は、ロシアがアフガニスタンの特殊部隊を採用した背景にはワグナーがいると考えていると語った。「私は(リクルーターは)ワグナーグループだと言っている。彼らはあちこちから人を集めている。(ロシアのために)外国人部隊をリクルートしているのはワグナーグループだけで、彼らの軍隊ではない。仮定ではなく、周知の事実だ」と述べた。「彼ら(アフガンコマンドー)は西側の同盟国がウクライナ人と一緒に戦うために利用した方がいい。彼らはロシア人のために戦いたくはない;ロシア人は敵なのだ。しかし、それ以外に何をするつもりなのだろう?」

元司令官の中には、WhatsAppやSignalで、ウクライナで戦うためにロシアの「外国人軍団」と呼ばれるものに参加しないかという申し出があったと報告している者もいる。この勧誘のニュースは、アフガニスタンの元軍人や安全保障関係者に警戒心を抱かせ、1万人もの元コマンド隊員がロシアの誘いに乗っている可能性があると言う。別の軍事関係者はこう言う。「彼らは国も仕事もなく、未来もない。彼らは失うものは何もない。」

「難しいことではない」と彼は付け加えた。「パキスタンやイランでは1日3〜4ドル、トルコでは1日10ドルの仕事を待っている。ワグナーや他の情報機関が男のところに来て、もう一度戦える男になれと1000ドルを提示すれば、彼らはそれを拒否しないはずだ。そして、一人スカウトすれば、兄弟みたいなものだから、前の部隊の半分くらいは参加してくれるだろう。

2月のロシアの侵攻で世界の関心がウクライナに移って以来、アフガンのコマンドーは見捨てられてしまった。米国とその同盟国は、タリバンの死の部隊から逃れる手助けをする代わりに、ほとんど無為無策であった。米国に敵対する国による徴用の脆弱性は、昨年の避難の失敗に関するマイケル・マッコール下院議員の報告書で指摘された。マッコール議員は、アフガニスタンの特殊部隊を含む米国の情報資産について、「イスラム国や中国、ロシア、イランなどの国際テロ組織と協力させられたり、敵対勢力に引き入れられたりすれば、米国の安全保障が脅かされる可能性がある」と指摘した。

アフガニスタンに潜伏している35歳の元コマンド隊大尉は、多くの元同僚がテヘランの(傭兵)募集事務所に連絡するのを手伝ったと語った。新兵はアフガニスタンからイラン、そしてロシアに飛んだと言う。彼らがロシアの申し出を受け入れると、隊員達の電話はオフになる。彼らは非常に秘密裏に行動している」と元大尉は語った。

彼とアフガニスタンとイランから参加した他の元コマンド隊員は、絶望的な状況での生活について語った。「我々は非常に失望している。18年間、アメリカ、イギリス、ノルウェーのコンサルタントと肩を並べ、危険な任務をこなしてきた。今、私は身を隠している。毎秒、苦しんでいる」と35歳の彼は言った。彼は、ロシアをアフガニスタンの敵とみなしているので、この申し出には応じなかった。旧ソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻し、米国が支援するムジャヒディンと10年に及ぶ戦争を戦った。最近では、ロシアはタリバンの反乱を支援し、タリバンが政権を握った現在も、外交的な承認には至らないものの、密接な関係を保っている。

英国の特殊部隊とともに戦った別の兵士は、タリバンの死の部隊から逃れるためにイランに逃亡したが、今はイランの警察に逮捕されることを心配していると語った。どちらの隊員も、英国に再定住したいが、保護を求めるために当局に連絡する方法がわからないと言っている。

フォーリン・ポリシーが見た募集メッセージには同じ文言が使われており、中央集権的な作戦を示唆している。「より良い待遇と良い資源のあるロシアに行きたい人は、あなたの名前と父親の名前、そしてあなたの軍隊の階級を送って下さい」とメッセージには書かれている。受け取った人は、自分の部隊の他のメンバーの勧誘に協力するよう求められる。アフガニスタンのテレビは、この募集にはロシアの市民権も含まれていると報じている。

4人の幼い子供の父親である35歳の大尉は、英国に再定住されることにまだ希望を持っていると語った。「我々は20年間、アフガニスタンの宿敵であるイギリスとアメリカの側で、高い士気をもって国中で戦ってきた」「我々は今、囚人のように隠れています」と隊長は語った。

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