ナチスのタトゥーを入れた人達はウクライナ難民ではない
France 24 The Observer 7/20/2022の記事の翻訳です。
ウクライナ難民をターゲットにした新たなデマが流れた。ナチスのタトゥーに覆われ、ビーチショーツを着たこの二人は、親ロシア派のツイッターアカウントによってクロアチアにいるウクライナ人難民として紹介されている。実際には、この画像はハンガリー人のネオナチグループのメンバーである。
あなたが1分しか時間がないのなら(まとめ):
親ロシア派のアカウントが、ナチスのタトゥーで覆われた2人の男の写真を公開した。彼らによると、彼らはクロアチアにいるウクライナ人難民だと言う。
しかし、実際には、坊主頭の男はネオナチ運動「血と名誉」のハンガリー人メンバーで、最近、同団体の集会のためにクロアチアを訪れたと言う。もう一人の男はまだ特定されていない。
ファクトチェックの詳細:
Twitterで流れている投稿によると、ナチスのタトゥーを入れた2人の男性の写真は、クロアチアにいるウクライナからの難民とされる。
写真には、ナチスのシンボルが描かれたタトゥーに覆われた2人の男性が、正面からと後ろから写っている。左側の人物は坊主頭で、背中にアドルフ・ヒトラーのタトゥーがある。もう一人は帽子をかぶり、ひげを生やし、背中に卍、狼、ルーン文字などのタトゥーを入れている。彼らは海水パンツでビーチで微笑んでいる。
この2つの画像は7月16日にTwitterで公開され、その後、数千回再生されている。
このデマはロシア語圏のアカウントで共有され、1000以上のビューを獲得したこのアカウントや、ここ数ヶ月で既にウクライナに関する偽情報を発表しているこのアカウントで共有された。
ハンガリーのネオナチ集団
Twitterで「ビーチ」と「ナチ」を検索すると、反ファシストを標榜し、極右運動に関する記事を定期的に掲載しているクロアチアのウェブサイト「AntifaVjesnik」のTwitterアカウントに掲載されている写真が見つかる。
Twitterアカウントによると、写真はクロアチア沿岸の町リエカにあるビーチ・バー「Morski Prasac」で撮影されたものだそうだ。
グーグルマップでは、バーの客が投稿した「Morski Prasac」の写真で、その場所を確認することができる。
"Antifa Vjesnik "も、坊主頭の男を特定することができた。同サイトは、彼がネオナチグループ「Blood and Honor(血と名誉)」のメンバーで、Matuという名前で、ハンガリーのバンド「Fehér Vihar」のベース奏者であると説明する記事を掲載した。
Blood and Honorは極右グループで、ネオナチ音楽を推進している。ヨーロッパのナショナリストやスキンヘッドで構成され、クロアチアのリエカに支部がある。2019年にフランスで運動が禁止された。
また、毎年6月末から7月初めにかけてリエカで、亡くなったメンバーの一人を悼むメンバー同士の集会が開催されている。Blood and Honorハンガリーのテレグラム・チャンネルは7月2日、同グループが毎年クロアチアで開催している集会についてのメッセージを公開した。同チャンネルによると、メンバーはクロアチア、ドイツ、イギリス、ハンガリー、スロベニア、スイスから集まったと言う。ウクライナについての言及はなかった。
音楽グループFehér Viharの名前から、Matuと呼ばれる坊主頭の男について詳しい情報が得られる。ハンガリーの極右サイト「Nacionalista Zona」は、彼が2018年のコンサートでベースを弾いている写真を公開している。同じく2018年のこの写真では、眉毛のアーチの上にあるタトゥーが認識できる。しかし、顎全体は、2022年に出回った写真とは異なり、まだタトゥーが入っていない。
「Rate Your Music」というサイトによると、このベーシストの名前は「Matu」。
また、「Antifa Vjesnik」というサイトでは、2020年8月15日にハンガリーの首都ブダペストで行われた綱引きに参加している写真が掲載されている。
ハンガリーのウェブサイト「Net」によると、リエカ警察は7月13日にMorski Prasacのバーに2人の男がいるとの通報を受け、同日捜査に向かったと言う。警察は、バーのスタッフから、男達は10日前の7月上旬にビーチにいたと聞いたそうだ。
The Observer は、写真に写っている髭を生やし帽子をかぶったもう一人の男の身元をまだ特定できていない。
要約すると
クロアチアのリエカで撮影された画像は、ウクライナ難民ではなく、ネオナチ団体Blood and Honorが主催する集会に参加するハンガリー人である。
ウクライナ戦争が始まって以来、France 24のオブザーバーは、EU諸国で迎えられた「ウクライナ難民」の行動を糾弾すると主張するいくつかの偽画像を調査してきた。
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