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クリス・オウエンのツイート - ロシア軍の腐敗シリーズ(1) 低・中レベルの軍部の腐敗について

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古い配給品、欠陥車、無線の紛失、戦力不足など、腐敗はロシア軍の空洞化とウクライナ戦争の弱体化の原因とされている。この問題を検証し、ロシア軍にどのような影響を及ぼしているかを見る価値はある。第1回 🧵シリーズ。

ロシアは世界で最も腐敗した国の一つであり、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は180カ国中136位と評価しています。国家の腐敗は風土病のようなものです。TIは、2008年から2020年の間に、ロシアの現職および元職員が85カ国で28,000件の不動産を所有していることを明らかにしました。

儲かるのは上層部だけではない。たとえあなたがロシアの中堅幹部であったとしても、あなたの人生の目標は、西ヨーロッパで快適な家庭を築き、子供達を高級なイギリスの学校に通わせることだろう。汚職は、それを実現するための手段なのだ。

詐欺や不正行為はどこにでもある。もし、何故ロシアのダッシュカム動画がYouTubeに溢れているのか不思議に思ったことがあるなら、ドライバーがダッシュカムを、歩行者が車に身を投げて保険金を請求するなどの詐欺から身を守るために使っているからだ。映像

腐敗はプーチン政権を支える糸であり、金(低価のルーブルではなく、当然ながらドルかユーロ)はその生命線である。そして、プーチン自身よりも多くのものを持っている人は誰もいない - 少なくとも2000億ドルは、世界中の秘密資金として蓄えられていると推定される。映像

ロシアの他のあらゆる国家機関と同様に、軍隊はあらゆるレベルで腐敗に満ちている。トルストイは1854年の『セヴァストポリ写生記』の中で、ロシアの将校についてこう書いている。「兵役中の彼らの主な目的は金の獲得である。」

1998年、ロシアの検事総長は、ロシア軍を「ロシアで最も腐敗した政府組織」と呼んだ。むしろ、それ以来、悪化している。ロシア軍の腐敗は、底辺からトップまでどのように機能しているのだろうか。

腐敗は、誰かが軍隊に入る前から始まっている。@kamilkazani が指摘したように、徴兵されることを許すのは貧しい者か愚か者だけである。残りは医者や募集係に賄賂を贈ることで逃れられる。2007年の「料金(賄賂)」は5,000〜10,000ドルだったと言われている。

徴兵のために召集された者の70%までもが、徴兵を逃れるための手段に金を使っており、軍隊には最も貧弱で最も健康でない者が残っている。このため、ロシア軍には、体力と効率の面で慢性的な問題がある。

ウラジミール・ミハイロフ大佐は2007年に、ロシア空軍に毎年徴兵される1万1000人のうち30%以上が「精神的に不安定」、10%がアルコールと薬物の乱用、15%が病気や栄養失調に悩まされていると述べた。

徴兵されると、最下層として扱われ、「ダイダイ(おじさん)」と呼ばれる年配の兵士に冷酷に搾取されることになる。その中には、売春を強要されたり、無報酬の労働をさせられたり、あるいは、数ルーブルを稼ぐために自分の血を売ることすら強制されることもある。12/ 2007年、サンクトペテルブルグの徴用兵がロシアのメディアに語ったところによると、年配兵士が、有力な中年の顧客のために性的サービスを行うか、拷問を受けるかのどちらかを強要されたとのこと。若い兵士達は、依頼人と一緒に車で行くことを強制されたと伝えられている。ダイダイは「提供者」のリストを保管していた。


他の兵士達は、「お金を稼ぐために公園に送り出された」と話している。モスクワの中心部で兵士を(車で)拾ったり、近くの軍事基地を訪れ、顧客が100~500ドルで兵士を選ぶことが可能だったとされるが、このお金は徴兵ではなく、ダイダイに入るものである。

契約兵(つまりプロの軍人)の場合、ステップアップしていても搾取される。給与は低い(ウクライナ戦争前は月240ドル)。制服、ブーツ、燃料は自分で購入する必要がある場合が多い。

新しい制服やサイズの合ったブーツは、盗まれて売り払われているため入手できないことが多いので、ネットで購入する必要がある。皮肉なことに、元NATOの余剰ブーツは履き心地と耐久性に優れ、好まれていると言われている。

宿泊費も自分で払わなければならない場合がある。バラックのベッドはタダでもらえるが、電気代が盗まれたり、未払いになったりして、暖房が効かないということもあり得る。寒冷地のロシアでは、あまり楽しいことではない。

しかし、下級兵士や下級将校であることの代償として、軍の基地に配属されることがある。窃盗のチャンスは無限にある。ロシアのeBayに相当するAvitoには、盗まれたのであろう軍備品の広告がたくさんある。

ロシアのブロガー達は現在、ウクライナの前線部隊のための装備を購入するための資金をクラウドソーシングで調達している。皮肉なことに、彼らが購入しているアイテムの多くは、そもそもロシア軍の倉庫から盗まれたものである可能性が高い。腐敗した補給係の将校にとっては、とても良い時代だ。

戦車でさえも略奪の伝染病から免れることはできない。2022年3月に予備のT-72が保管庫からウクライナに行くために出荷された時、電子機器、光学機器、エンジンさえもなく、全て略奪されるか、剥ぎ取られた状態で到着したと報告されている。使えるのは10台中1台だけだったと言う。

2020年初頭、レニングラード州ミャグロヴォの軍事基地から72トンのプレハブ式Pantsir-2PU司令部掩蔽壕が盗まれたという驚くべき事例がある。調査官はその行方を突き止めることができなかったが、おそらく金属スクラップの価値で持ち去られたのだろう。

同じような事件で、北方艦隊の潜水士が原子力潜水艦の原子炉を制御する装置の部品を盗んだことがある。彼は、非常に高価なパラジウム-バナジウム合金でできたレオスタットを盗んで売ったが、その過程で原子炉を使えなくしてしまったのだ。賢いアイデアじゃない!

ランクを上げて、中堅将校に話を移そう。このレベルになると契約を結んだり、部隊を指揮したり、基地を監督したりできるので、生活はかなり楽になる。少佐から大佐の階級になると、汚職の機会も多くなる。

特典として、ダーチャ(郊外の畑/別荘)の建設に徴兵を使ったり、建築現場や畑、工場での労働に徴兵を雇ったりすることができる。当然ながら、徴用工はこの仕事に対して何の報酬も得られない。ロシアの精鋭ミサイル部隊でさえ、このような虐待を免れていない。

また、現金で支払われるため、部下の賃金を盗む可能性もある。あるいは、予算配分を操作して、存在しない余剰人員のための資金を請求し、その差額を懐に入れることもできる。存在しない部隊は、ゴーゴリの古典的な詩にちなんで「死せる魂」と呼ばれる。

「死せる魂」は今に始まったことではない。1854年、『エコノミスト』紙は、クリミア戦争におけるロシア軍がいかに戦力不足であったかを指摘した。「ロシア軍はしばしば紙の上だけの軍隊である。...


大佐と将校は......帳簿上の人数をできるだけ多くし、戦場の人数をできるだけ少なくすることに直接的な関心を持っている-この数字の差から給料と配給を懐に入れているからである。」 Plus ça change(結局本質は全く昔と変わらない)。

 驚くべきことに、ロシア陸軍は自軍の兵士の数を把握していない。2001 年、ニコライ・コルミルツェフ将軍は、陸軍は公認人員の 82%しか占めていないと言明し、これは大きな功績と見なされた。それ以来、事態が改善されることはないだろう。

2003年にNovye Izvestia紙にリークされた数字によると、軍隊には少なくとも3万人の「死せる魂」が存在するとのこと。2012年に起きた東部軍管区のセルゲイ・ウスティノフ大佐とホビク・ババヤン大佐の事件は、この詐欺がどのように機能するかを示している。

ババヤンはウスチノフの指揮下にある部隊に食料サービスを提供する責任者であった。彼は、ウスチノフの署名入りの文書を偽造し、そこには実際より2万9千人多い兵士に食事を与えていたことが示されていた。二人は、余った「死人」に食事を与えることで、600万ルーブルを手に入れた。

研究者は、ロシア人将校の10人に1人は汚職をしていると推定している。特に腐敗が激しいのは軍事調達である。まず、北コーカサス軍管区の最高調達責任者であったセルゲイ・セルキン大佐のケースを考えてみよう。

セルキン大佐は就任してわずか2年で、アパート数棟、家1軒、アウディ車1台、総額約20万ドル(約305億円)を手に入れた。彼の計画の一つは、賄賂を受け取って、通常家畜の餌として使われる低品質の鱈を軍の食糧として3,500トン購入することであった。

別の将校、エフゲニー・プストヴォイ大佐は、装甲車の調達を担当していた。彼は2018年から2020年の間にバッテリー契約を偽造して1300万ドル以上を盗んだとして、2022年1月に有罪判決を受けた。 保管庫も汚職の絶好の場である。

空軍の2人の将校、中佐ウラジミール・ストロジュクと上等兵イワン・トルカチェフは、 クビンカで飛行機のスペアパーツと弾薬を売って儲けるヤミ商売をやっていた。彼らは、最高機密のSu-27の部品を25万ドルで売ろうとして捕まった。

モスクワの南東約88kmにあるマリノ軍用飛行場で、より大規模な「将校ギャング」が活動していた。彼らは航空機のエンジン、装備品、空対空ミサイルなどを広く取引し、逮捕されるまでに年間数百万ドルを稼いだ。

極東軍管区では、アレクサンドル・ベレズノイ大佐がロシア国防省の食糧部門を務めていたが、2017年に収賄容疑で逮捕された。彼は賄賂を贈った地元の企業家に有利な契約を結んで、3億6800万ルーブルを稼いだ。

もうひとつの詐欺は、オーウェル的な「任意強制徴用」である。官僚主義や腐敗のせいで、装備や物資の要請はしばしば到着が遅れる。そのため、その差額を埋めるために、将校は自分の装備や公式旅行の費用を払うことを余儀なくされる。

ある起訴された例では、司令官と警備隊長が「師団の必要性」のために部下から137,000ルーブル以上を強要し、さもなければ「公務の不適切な遂行について報告書を書く」と脅した。彼らはおそらくその金をポケットに入れたのだろう。

ロシアの厳しく検閲されたメディアで報道された上記のケースは、氷山の一角に過ぎないことに注意すべきである。この他にも、発見されなかったり、発見されても起訴されなかったり、あるいは単に隠蔽されたりしているケースは数多くある。

このスレッドの次のパートでは、高水準の軍の腐敗に取り組む。もしあなたが本当に大きな汚職スキャンダルが好きなら、ロシアの将軍と提督の話はあなたにちょうどいい。/終





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