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アメリカはコネ社会だった

アメリカで就職して20年になるのですが、この国はもしかすると日本以上にコネ社会かも知れません。

最初に教えてくれたのは、新卒2社目で入ったところの社長。留学生は卒業後、OPTという制度で1年間終業することができます。その間に就労ビザをスポンサーしてくれる企業を探すのが王道です。

私の場合、最初に入った企業はドットコムで、当時のサンフランシスコはドットコムバブルだったこともあり、謎のビジネスモデルにも関わらずお金が有り余っていた会社でした。金曜の午後3時になると、何故かシャンペンタワーが出てきてシャンペンが振る舞われるというすごい世界でした。

ただそこでビザ申請をするのは難しいということになり、次に見つけた会社は零細のブラック企業。最低賃金すれすれ、しかも時給で福利厚生はほぼなしという会社でした。

仕事内容は面白かったのですが、とにかくボスがいい加減で、やる気満々の日本人新卒としては物足りない事が多かった記憶があります。ただここで、一生付き合える友人と出会えたのは大きな収穫でした。

そしてもう一つ大きな収穫は、ボスが何気なく言った一言によって私が得た学びです。それは、

「この世の中は人と人とのつながりでなりたっている。人との関係がすべてだ」

という言葉でした。

確かにボスは人たらしでした。チャーミングで好感度が高くて、セールスも上手でした。

当時の私は、しゃべりだけで生きている彼のような人はあまり価値がないと思っていましたが、社会人20年目の今は、彼の言葉は真実だとはっきり言えます。

日本にいた頃、こういうことを私に教えてくれた人は一人もいませんでした。自営業だった私の親ですら、人と人との関わりは'transactional'(その場限りの取引)だと捉えていたからです。

でも彼が世間話の中でこの考え方を教えてくれたことにより、私の世界は大きく変わりました。

その後コンサルティング会社に転職し、そこから金融の世界でキャリアを積んできましたが、転職するときは必ずコネつながりで引きがありました。転職したら、自分の知り合いの知り合いという人はそこら中にいました。

有名なSix Degrees of Separationという考え方があります。知り合いから6人たどっていけば世界中の誰にでもたどり着けるという考え方です。

大抵の場合、6人もたどらなくても、2、3人たどれば目当ての人にたどり着きます。世界は思っているより狭いのです。

そんなわけで、私はアメリカはコネ社会だと思っていますが、こういう社会には大きな利点があります。コネが双方向という性質があるからです。

すなわち、雇用される側、部下として雇われる側には、いい評判を保つために、最大限の価値を生み出すプレッシャーがあります。それと同時に、雇用主、またはマネージャーの立場でも、変なことをしたら評判が悪くなり、いい人を雇えなくなるというプレッシャーがあるのです。つまり、会社対個人ではなく、個人対個人で評価されるということです。

これは、近年のソーシャルメディアの発達に寄ってより如実になってきたと思います。そして、今はいいコネを作るのは昔より簡単になってきました。自分がやりたいと思う事を一生懸命発信すれば、応援してくれる人が出てくるからです。

アメリカで働くコネを作りたい方は、是非LinkedInというソーシャルメディアを活用してみてください。

https://www.linkedin.com/


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