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レーコー

「レーコー」漢字で書くと冷珈。つまり、アイスコーヒー。

父の時代にはそう呼ぶお客様が99%を占めていました。

あとの1%はコールコーヒーと呼ぶ人。

いつからか、そう呼ぶ人が、0.01%程になり、何だか寂しい。

この時期になると「レーコー」を煎るために汗だくになり、喫茶で使う大量の「レーコー」をお風呂場で一生懸命冷やしていた父の姿を思い出します。

「レーコー」を焙煎していると黒いハチの様な虫が飛んでくることがあり、父はそれを便所バチと呼んでいましたが、カッピングを習うようになってから、珈琲の香りには、動物園の糞尿の匂いとか2週間履きつぶした靴下の匂いが混じっていると聞いて、妙に納得しました。

人間は、そんな臭いがすごーく薄まると、良いにおいに感じるそうで、珈琲を「良い香りー」と思ってる、そこのあなた、実はそれ・・・。

そんなこと言われても、「良い香り」でしかないんですけど。

丁度、オリジナルのリキッドアイスコーヒーを作り始めた頃に私が後を継ぎましたので、孤軍奮闘、永遠の未完成作品の様な気がしています。

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色んな製法で作っているメーカーがありますが、うちは、中村商店さんにお願いしています。ボイルド式でしてくれることで、うちの抽出法である浸漬法に近い味わいが出ることと、急速冷却をしてくれると言うことで、信頼しています。アイスコーヒーは急速冷却が命。

夏はうちの風呂場が、アイスコーヒーに占拠されていたのは、水を出しっぱなしにして、とにかく冷やすという父のこだわりがあったからなんですね。

急速冷却することで、クリアな香味の実現と、開封後の持ちを良くする効果もあります。珈琲は抽出後5分で、キナ酸と珈琲酸が分離し「酢っぱ味」に変わります。それが急速冷却することで分離を防ぐことが出来るのか否か、酸化のスピードを遅らせるのか、その辺のメカニズムはちょっとよくわかりませんが、そのお陰で、我がリキッドアイスコーヒーの持ちが格段に良くなりました。

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そんなことをよくわからないまま、天才的にやってのけていた昭和のおっちゃん達ってやっぱりすごいなと、昭和のおっちゃん愛を叫びながら、今日も汗だくで豆を煎る2代目が作ったリキッドアイスコーヒー。

昭和の釜で煎った独特のまったりとしたトロっとした甘みがあります。

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ちなみに、父の時代は「レーコー」と言えばロブスタ種を使用していました。2代目になったとたん、無慈悲にもスペシャルティコーヒー専門店にしてしまった手前、ロブスタが使えず難儀しています。ロブスタには、ブレンドの「味の素」であったり「御まとめ役」というお仕事があり、スペシャルティ100%でブレンドを作るのはやっぱり正直難しい。シングルオリジンでは物足りない。そんなジレンマを抱えて作るリキッドアイスコーヒーは、昭和のおっちゃんには敵わないかもしれないけれど、百合珈琲にしか出せない味。子供のころから慣れ親しんだ我が家の味です。

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お店情報(通常営業時のものとなります)

【営業時間】午前9時~午後7時
【定休日】日曜日・祝日
【住所】兵庫県宝塚市高司1-8-11
【電話番号】0797-72-0656
【インスタグラム】 @yuri_coffee_takarazuka









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