今日の後で

ここ数日晴れの日が続いている。今年の暖冬は過去最高を記録しておりやけに世間は行動的な日を過ごしているらしい。風になびくカーテンをぼうっと見つめながら過ぎていく時間を消費していた。朝の気温は10度を超え、動物全体的にも過ごしやすい気温だろう。柔らかな少しだけ冷たい風が頬を伝っていく。肺いっぱいに空気を吸い込みゆっくりと吐き出す。冬の匂いが少しだけした。私はそのまま仰向けになり天井と向き合う。本日130回目の寝返りを終えたところで体を起こすとするか。そうして体を起こし、出窓から青空をみる。いい天気だ。憎いくらいに。

外の景色はいつ見ても明るくキラキラしていた。太陽に照らされる鉄やガラス、どれも眩しいくらいに見えるので、少しクラクラしてしまいそうであった。街を歩けばおしゃれな人が行き交い、ショッピングをする。私とは縁がない世界だとさえ思えた。自分によくそこまで綺麗になれる努力ができるなと思った。どうせ誰も見ていないのに。
 信号が変わる。一度で人酔いがするほど人が渡る。私もこの中の一部なのだ。友達と笑う高校生。疲れ切ったサラリーマン。ベビーカーを押す母親。それぞれに物語があり。思想がある。社会はその塊なのだろう。信号が点滅を始める。焦って走り出す人、気にせず歩き始める人。十人十色と言うように私もこの中の一部なのである。思想は自由に表現され、尊重されるべきものなのだ。常識は人によって異なるはずである。大多数が物事を決めつけるのは効率的であっても合理的ではない。いかにマイノリティの意見を大切にできるか。もっと考えるべきなのではないのだろうか。
 とまた考えにふけてしまった。悪いくせだ。そうしながら歩いていたら住宅街まで来ていた。坂を下り木漏れ日を抜ける。広い畑へと出た。これを真っ直ぐ進めば橋につく。ふと歩きながら景色にふけてみる。青い空に白い雲。とても美しい快晴であった。この街のいいところといえばそんな景色がいい空気で見られることではないだろうか。この街にはもう戻らない。私はどこか遠くへ行きたかった。

 橋の上へついた。川までの距離は20mくらいはあるだろう。後は足をかけるだけだ。そうしたらふと上流から流れてくるものを見つけた。ボトル?まあ飛び降りる前に確認だけでもするくらいいいかと思ったので取りに行くことにした。川へ降りるとボトルが石に引っかかっていた。中に何かがある。少し躊躇いながらも取り出すと一切れのかみがあった。こんなメッセージボトルをするなんてどこかのゲームに感化されたのだろうか。そう思うと少し笑えてくる。私はこの手紙を持って家に帰ることにした。

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