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欲望ガイド

すべての女子はメンヘラであるースイスイ

 わたしは「メンヘラ」という言葉に弱い。ついTwitterのメンヘラ垢を検索してしまったりする。この本は、インスタでフォローしているおしゃれな古着屋オーナーがオススメしていた。見て3分後にダウンロードし、1時間半後には読了していた。

 著者のスイスイさんは85年生まれ・名古屋出身。同学年・同郷のわたしは、「わかるわかる!」「学生時代こんなことあったわ~!」の共感の嵐。わたしのメンヘラ度は【当店のメンヘラメニュー】で言えば4重くらいだろうか。4重は「毎日好きだよって言いたい。「僕もだよ」ってメールきたらそれで良い」という重さ。

 ただ、わたしの場合はほとんど一方通行で、叶わない相手に毎日メールを送り、死ぬほどセンター問合せ(懐かしい!)をしては、返信がないことに鬱々としてメンヘラを自家栽培していたタイプだった。スイスイさんはメンヘラ細胞の生育条件として、「暗く喚起の悪い密室」+「有り余る時間」+「2人きり」を挙げているが、1人でもメンヘラ細胞はすくすく育つと言いたい。この自家製メンヘラ細胞が暴走&炸裂して引き起こしたイベントはすべて苦い思い出であるため、身に覚えがあることとして、「メンヘラ」という言葉に反応してしまうのである。

 スイスイさんも言っているが、メンヘラはすっぱりきっぱり止められるものではない。それを最近実感した。緊急事態宣言以降、わたしはフルリモート&一人暮らし生活である。不安に押しつぶされそうになって眠れなかったり、しくしく泣いたり、感情が揺れに揺れ、「あ、メンヘラになっている」と自覚した。ずーっとひとりで誰にも会わない、仕事以外ではだれとも話さない風通しの悪い生活の中で、メンヘラ細胞が息を吹き返し、すくすくと育ってしまっていたのだ。

 息を吹き返したメンヘラを持て余していたところに、この本はよく効いた。この本は「22年間メンヘラだった私がたどりついた悩まないセブンルール」の副題がついている通り、脱メンヘラのための具体的なメソッドが記されており、それが非常にためになる。

 個人的に刺さったメソッドは以下。

 「死ぬまでにやりたいこと100を書き出す」

 「願いを何でも叶えてくれる龍が現れたときに何を願うかを真剣に考える」

 メンヘラは妄想が得意。一つの事象に様々な要素をかけ合わせ、可能性を膨らませわけがわからなくなっていく。そして「なんとなく不安、辛い、泣ける」状態が出来上がる。最終的には感情の赴くままに発露し全てをなぎ倒してしまう。だからわけがわからなくなる前に、もくもくと膨らませた妄想を削ぎ落とす必要がある。

 削ぎ落すためにはガイドが必要だ。先に挙げた2つのメソッドはガイドを見つけるために行う。龍が現れて自分の願いを必ず叶えてくれるとしたら何を願うか、死ぬまでにやりたいこと100を書くこと、それらはつまり自分の欲望に向き合うことだ。「真の欲を知り、満たせ」とスイスイさんはいう。

 少し脱線するが、大好きなコラムニスト&ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんは「自分の欲望を舐めるな」といっている。年齢や環境やその他要因を理由に、こうしたいああしたいという欲望を無視し押し込めていると、後でその欲望に逆襲されるよ、と。

 自分の欲望に向き合い真の欲を知る、真の欲を満たすことが自分のガイドになる。すっかり腑に落ちて自分の行動指針にしようと思った。

 最後にスイスイさんは「やりたいこと100個」は3日以内に書くべし!と言っている。3日以外に書けなかったら一生書けないから、と。一昨日から書きはじめて現在60個まで書いた。この段階でも自分の欲望の傾向が分かって面白い。ライブや旅行といった非日常を味わえる体験を強く求めていることが分かったし、仕事で何か成し遂げたいという欲望は一つも上がらなかった(笑)。何年かしたら欲望に変化があるだろうけれど、2020年8月夏の私の欲望にしっかり向き合うことにする。

  


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