だれかの朝と

「ぽろんぽろん、ぽろんぽろん」

あるときから、毎朝どこからか聴こえてくるようになったこの不思議な音。どうやら私が住む部屋の真下に新しい住人が越してきたようで、その方の目覚ましの音なのでした。

ぽろんぽろん、ぽろんぽろん、と小学校にある木琴を叩くような音が聞こえてきます。サイレンのような怖い音じゃないからよかったけど、少しばかり音が大きい。はて、困ったものだ。今まで隣の部屋の音も下の部屋の音も一切聴こえなかったというのに、どうにもこのぽろんぽろんだけはよく響く。

だいたい平日は8時から9時。休日は10時くらいにぽろんぽろんと鳴りだします。最初は困り果てていたけど、私が起きる時間と大体一緒なので最近はなんかもう目覚ましかけなくてもいいかみたいな感じに。もはや時報。

顔も見たことない下の住人と一緒に目覚めるのはなんとも奇妙だし、おもしろいです。どうやらぽろんぽろん氏は朝が苦手なようで、始めは10分くらい延々と鳴り続けて、消えたと思ったらまた鳴りだして、本当に目覚めの悪いやつでした。あまりに起きないので私がふざけて「起きろおおおおお」「がんばれーーー！！」と聞こえない程度に叫んでいたら、最近はツーポロンかスリーポロンくらいで起きるようになりました。聞こえていたのかもしれない。

いつかバッタリ会ったら、あいさつしよう。どんな人だろう。絶対もっさりしたお兄さんとかだとおもうんだけどな。ご近所づきあいがほぼ皆無な中で暮らしていくテキトーな距離感。ところどころお互い様。ある程度はご愛嬌。明日はちゃんと起きれるでしょうか。そのうち爆音目覚まし卒業できるといいねえ。