大地を観て(ネタバレあり)


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久しぶりに映画を観ました。
映画感想も久しぶりです。
最近、寝室にテレビが欲しくて
テレビを買ったらそれでネットフリックスとかしたいな〜と思っていたのですが、
改めて、図書館レンタルプロジェクターも良いものだなぁと思いました。
図書館作品の良いところは、無料なこと、そして普段なら手に取らないような昔の良作に気付けるところです。
今回観た大地という映画は、白黒映画で、1937年の映画でした。ネットフリックスだったら埋没していて観なかったであろう作品。
舞台は中国。
主人公は土地持ちのお百姓さん。
奥さんを手に入れるところから、物語は始まります。
賞をたくさん獲ってる名作(撮影賞、主演女優賞)ですが、本当に心に残る良作でした。


まず、奥さんについて…手に入れると書きましたが、彼女は奴隷でした。
恋愛感情などなく、お互い顔も知らない状態で、お金で手に入れた夫婦関係。
働き手として、子供を産む存在として、買われた彼女。
彼女が奴隷になったきっかけは、飢饉で両親に売られたから。幼い頃からずっとお屋敷で奴隷として生きてきました。
そのせいか、とても忍耐強く働き者の女性でした。
奥さんとして買われた時も、きっと嫌な気持ちもあっただっただろうに、素直に従って。
結婚してからは、かいがいしく働いて。
(幸運なことに、旦那になる主人公が優しい良い、真面目な人だったので
2人の新婚生活は見ていて微笑ましく感じました)

夫婦2人で真面目に働いて、子供も3人に恵まれて、どんどん土地を買い足して、だんだん豊かになっていきます。
そんな中、水枯れ、飢饉がやってきて…
ストーリーが幾重にも重なり、息つく暇なし
飢饉ってこんな感じなんだ…と感じることが出来ました。
飢餓状態の人間の姿をリアルに映していて、怖くなりました。
現在日本ではこんな飢え方をすることはないけど、室町時代とか江戸時代でも、飢饉で同じように死んでいった人はいっぱいいたんだろうし
つい数十年前、それこそ戦中戦後なんかでも栄養失調で亡くなった方はたくさんいたわけで…

飢えで、食べるものが全くなくなり、でも子供は売らず、大事な土地も売らず…
本当は売りそうになった時もありました。
でもその度に、お互いがストッパーになって、先祖代々受け継いできた土地を手放さない。土地は大事な子供達に受け継がせる。と主軸を曲げずに、耐え抜きました。
土を温めて食べるほどに、飢えていました。
本当に死んじゃうんじゃないかと思った。
でも、生きた。
生きただけでなく、色んな幸運が重なって、より豊かになることが出来た。

主人公の旦那のすごいところは、その富を独占せず周りに施したところ。
その姿を神が応援したのか、一家はどんどん豊かになっていきます。

ついに、奴隷の彼女を買ったお屋敷の持ち主からお屋敷を買い上げられる程に、豊かになっていきます。
さらに、親が土地を大切にする姿勢をしっかり見てきた息子達。長男は大学生になり、農学を学んで土地の繁栄に寄与したいと。次男は、親のそばにいて一緒に土地を守りたいと。

彼等の未来はさらに盤石に見えました。

この頃にはもう完全に主人公はワンマンで、彼女に相談することなく色んな決断をしていきました。そして、土いじりから離れていきます。
経営に集中するためでしたが、そこから歯車が崩れていき、一家崩壊の危機に瀕します。

さらに、イナゴの大量発生により富も失いかけます。

イナゴの大量発生…

自然現象で、作物を食い荒らされる。私の父方の実家は農家だったので、父からも大変なことだと聞いたような気がします。

さらには、北の零年という映画でイナゴの襲来に直面している映像を観ました。

(この作品も良かったな。
静かな大地という原作に影響を与えたであろう本も、コロナ療養中に読みました。
去年の11月の記事に追記しようと思います。)

北の零年では、全部食い荒らされてしまいます。
でも、希望を捨てない。一からまた這い上がる。というエンディングでした。

この作品では、なんと…撃退に成功します。
ここでの映像が評価されて、この作品はアカデミー撮影賞を受賞します。
イナゴが来たらやられる。それが今までのセオリーで諦めるしかない…となりかけたところ、
長男が、立ち上がります。
農学で得た知識から、イナゴの撃退を提案したのです。
長男を信じ、的確に指示を出す旦那。
家を出ようとした次男も手伝い、旦那も久しぶりに土にまみれ、身体を動かし、素晴らしい連携。
皆で必死に火をつけ、最後はカミカゼが吹いてイナゴは撃退されます。
ウルウルしちゃいました。

ネタバレ多少してますが、細かいところは記載してないのできっと楽しめると思います。
是非観てみて欲しい作品のひとつ。

大地に似た作品で、怒りの葡萄も思い出しました。

怒りの葡萄は舞台がアメリカで、天災人災で土地を奪われてしまう小作農の話。
そう、彼等は土地を奪われてしまうのだけど…

大地では土地を守り抜きます。
そして一家崩壊の危機も乗り越え、夫婦の出会いから別れまでがこの作品ではきっちり描かれています。
色んな苦労を共有し、乗り越えた素晴らしい夫婦。
初めて出会ったその日、2人は桃売りから桃を買って、一緒に食べながら村に戻ります。
食べた桃の種を、道端にぷっと吐き捨てる主人公。
それをそっと拾う、彼女。
植えたら、芽が出るかもしれないから…
生い立ちからか、余計なことを話さない寡黙な彼女の放った言葉。
帰宅後、宴をして、その後暗闇で、こっそり種を植える彼女。
それをみた主人公が声を掛けると、
彼女からはビクッと怯えます。
叩かれるのではないかと防御体勢をとって、
お屋敷ではかなり意地悪をされてきたんだろうなと感じました。
そんなことは絶対しない主人公。優しい旦那で良かったなと思いました。
必ず良く育つよ、土が良いから。父も、そのまた父も丹精込めて育ててきた土地だからね。
誇らしげな顔で、そんなことを彼女に伝えて、数十年。
最終シーンでは、美しく大きく育った桃の木が見られます。
最初から最後まで筋の通った
「努力は報われる」を体現した気持ちの良い物語でした。
テンポもよく、飽きさせない。

原作が受賞歴のある良作らしいので、これも読んでみようと思います。
でも、これは原作に負けないだろうなぁと思います。
本当に素晴らしかったです。
やっぱりプロジェクタープラス図書館レンタル作品鑑賞はやめられない。

テレビはまだ買えていません。

追記
大地のハッシュタグを辿っていたら見つけたnote
大地との絆、という言葉が心に残りました。
他にも素敵な言葉、また読みたいのでここに掲載させてください。

原作者のパールバックについて深く知れたnote
原作をますます読みたくなりました。

ピューリッツァ賞受賞からのノーベル文学賞受賞、怒りの葡萄のジョンスタインベックさんと同じ。
ここでも共通点。
大地は1937年上映、怒りの葡萄は1940年上映
上映年も近いですね。

追記
借りましたー‼️

右下のが大地
キンキラキンです。


こんな本初めて見た… 
他の本もタイトルが気になり借りてみました。読むの楽しみ(^^)


追記
読みました‼️
原作と映画、ところどころ違かったけどやっぱり両方とも良かった。
映画は短い時間内に内容を凝縮するために表現がかなり変わっています。
映画のほうが表現がわかりやすくて観ていてスッキリ。
原作は内容が深くて面白いです。
大地は三世代にわたる三部作で、ノーベル賞を受賞したこの第一部が一番面白かったです。

映画は奥さんとの結婚から奥さんの死まで。
原作は奥さんとの結婚から主人公の死に際まで。
印象的だった桃のシーンが原作にはなく、ビックリしました。桃を匂わせる内容は前後にあったけど、ここをこんなに膨らませるのかーと感心してしまいました。

総じて、主人公への好感は原作の方が高かったです。

叔父が原作では本当にどうしようもない人で、だけどきちんと最期まで面倒を見ました。
「なぁ、おめぇはわしにとってせがれじゃ。どこかをうろつきまわっとるあの野郎よりも、よっぽどありがてえよ。」
叔父さんも最期はこんなことを言ってました。

幼馴染の陳さんとのエピソードも豊富で、飢餓で苦しんでいた時期、南に行く前に小豆を譲ってくれたエピソードや、帰ってきてからその感謝を伝えるシーンとか…映画のように仲違いするシーンはなく、ひたすら仲良しでした。
彼の土地を買取り、近くに住まわせ、こちらも最期を看取って、お墓の面倒までみて、さらに自分も彼の近くに埋葬して欲しいと希望します。
もはや家族。家族以上でしょう。
現在日本ではこんなことあり得ないけど、友人とこんなに親密な関係を築けている主人公を羨ましく思いました。

財産が財産を呼び、土と触れ合わなくても良い身分になっても土が大好きで、つい畑に行ってしまう主人公が好きです。

土地に固執し続けて、生きてきた。
でも死に際に、息子達2人が土地を売る算段をしているのを聞いてしまった主人公。
びっくりして、こう言います。

「一家のしまいだぞ、土地からわしらは出てきたで、また土地に帰らねばならんのじゃ。土地さえしっかり持っとりゃあ、わしらは生きていけるのじゃ。土地は誰にも奪うことは出来んのじゃ…」

今までの人生で、色々あったなかで、土地がしっかりあって、それを耕していれば自分が食っていけるし、余剰分は稼ぎにしていける。
奥さんが出来てからは仕事に集中することが出来て、また子供が出来た張り合いからより頑張ることが出来た。シンプルに、余剰分の稼ぎの積み重ねでここまで来た…訳ではなくて、時代の流れでたまたま手に入れた財産を、土地に変えたことが主人公をとてつもない金持ちに変えたきっかけではあるのだけど、ベースはやはり先祖代々の土地。これを次世代に引き継がせたいと、どんどん土地を広げて行った。
銀貨や財産は消耗し、奪われるけど、土地は丹精込めて付き合えば多くを与え続けてくれるし、簡単には奪われない。
一緒に南に下った長男と次男はそこを理解していても良いはずなのに、なんでわからなくなってしまったんだろう?
親が土地を大切にする姿勢を、ずっとそばで見てきたはずなのに。

このシーンで第一部は終わります。

それにしても理解出来ないのは、死に際に棺桶を事前購入して側に置いておく風習。

主人公は最初に暮らした家に、自分の棺桶と白痴の娘とわずかな使用人で暮らすことを希望して、晩年を過ごしていました。

安心すると書いてあったけど、安心するのかなぁ…

あとは、楽して稼ぐ(物乞い)よりちゃんと働きたいと、南下したときも誠実に頑張っていた主人公。
盗んだ肉で喜んでいた家族を横目に、自分は盗んだ肉なんて食べないと頑なだった真面目な主人公。
映画では奥さんが財宝を盗んだだけだったのに、原作では主人公も金貨を盗んでいました。

えー‼️
こちらも理解できませんでした。
しかも、映画のように周りに施そうとはせず、隠そうとしてました。。。
えー🤨ちょっとカッコワルイ…
でも人間味は感じられます。

追記
借りましたー

本読むの好き




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