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ヒプマイ楽曲が引用・オマージュしてる洋楽ネタを検証してみた vol.6

はいどうも〜物書きのナカジです!
私事ですが「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 5th LIVE@サイタマ」1日目のチケットがご用意されてしまいました……。
先行で申し込んだけど絶対当たらんだろうと思ってたので、すごく嬉しいです。
というわけでナカジ、ヒプライ現場初参加でございます。
普段洋楽のライブしか行かないマンなのでヒプライ現場の空気ってどんなもんなんだろうと今から期待と不安でいっぱいなのですが、がんばるから優しくしてね……。
とりあえずキンブレは持ってるので、6ディビのカラー設定してる色カスタムのQRコードお持ちの方いたらコメントとかTwitterのリプでそっと恵んでください。
あと当日のライヴレポートはメディアに仕事として書くかもしれませんのでそちらは決まり次第追って告知しますね。

私が行く土曜日の方にCreepy Nutsさんも出演決定ということで、オオサカ推しとしては超ラッキー。
というわけで今日は久々更新になっちゃいましたが盧笙ソロ曲「Own Stage」の解説をやりたいと思います。

●「Own Stage」躑躅森盧笙/「Be」Common



まず盧笙ソロ曲の「Own Stage」。
こちらのオマージュ元は、ラッパー/俳優として知られるシカゴ出身のアーティストCommon(コモン)の「Be」です。
俳優としては『スーサイド・スクワッド』とか『ジョン・ウィック2』あたりがヒプマイ沼にいる方でも割と観たことある作品かな。

盧笙の「Own Stage」は、Commonが2005年に発表したアルバム『Be』の1曲目に入ってる同名タイトル曲をオマージュしています。
上に貼った動画、ちょっとイントロが長いんですけど0:53くらいからよーく聴いてください。
ラップが始まるまでに繰り返されるフレーズ、「Own Stage」のサックス&ピアノのメロディとよく似ています。
メロディを全く同じにしたり無許可でサンプリングすると著作権法に抵触するので、雰囲気を寄せた上で原曲のメロディをサックスに置き換えたのだと思うのですが。
同じアルバムの中に「Real People」という曲が入っていて、こっちはCommonの出身地シカゴっぽい華やかなホーンを使ったトラックです。
なので、「Be」のメロディを「Real People」のサウンドでアレンジしたのが「Own Stage」と考えるとしっくりきます。


ちなみに原曲のCommonの曲で使われているこのサウンド自体が、実はサンプリングです。
大元を辿ると、さらに別の曲に行き着きます。


第1回の「シノギ」の解説の時に、「ヒップホップとは既存の楽曲からビートやコーラスなどを引用=サンプリングし、新しい楽曲を生み出すということが繰り返されてきたジャンル」に前置きしましたが、こういった印象的なメロディラインのサンプリングももちろん行なわれています。
元元ネタのAlbert Jonesの「mother nature」が発表されたのは1977年。
実に42年の時を越えて、間接的に盧笙の曲に影響を与えていることになりますね。

Commonのアルバム『Be』はグラミー賞4部門にノミネートされた名作なんですけど、実はこのアルバムの大部分をプロデュースしたのがラッパーのカニエ・ウェストです。
自分の下着ブランドに「Kimono」と名付けて商標登録しようとしたことで炎上したセレブ、キム・カーダシアンの旦那……というと「ああ〜」と思い出す人もいるかもしれないですが、そんな不名誉な紹介の仕方は必要ないくらいカニエ自身ラッパーとして、そしてプロデューサーとして天才です。
私が一番好きな曲1つ貼っておきます。

Commonはこの一つ前のアルバムが賛否両論の内容でセールス的にもちょっと奮わなかったんですけど、カニエと組んだ『Be』で復調したという経緯があります。
この後のアルバムでも二人は何度か組んでいて、コモンとカニエのタッグはだいたい成功してます。まさに「俺らが組めばいっちょ上がりっしょ」ってわけです。

ところでCommonの読みって「コモン」じゃないですか。
なんで盧笙の元ネタにCommonを充てたのかの仮説なんですけど、教師の仕事の一つである「部活の顧問」と掛けた可能性……なくないっすか?
これ、同じこと言ってる方をTwitterでもお見かけしたのであり得る話だなと思いつつ、えっだとしたら盧笙先生めっちゃわかりにくいボケかましてくるやん……。

あと、Commonって実は初期の活動名、Common Senseだったんです。
ところが同じ名前のバンドがいて訴えられてしまい、Senseを取ってCommonに改名したという経緯があります。
Common Senseとは「分別」とか「良識」みたいな意味ですね、中学英語か高校英語にも出てくる表現です。
よく「常識」と訳されますが、もっと生まれついての直感的なものを指すのがCommon Senseです。

で、盧笙のMCネームは「Wisdom」ですが、英語には「Common Wisdom」という言い回しもあります。
Common Wisdomの意味は「社会通念」といったところでしょうか。
この部分からも、私は盧笙がCommonにインスパイアされたキャラなのではないかと考えています。
「Sense」を奪われたCommonを補う「Wisdom」……ってことです。
これ本当だったらめっちゃ上手いネーミングだと思います。

Commonもこれまで他のラッパーとモメたりビーフ合戦を展開したことはあるんですが、割とラッパーとしては常識人というか、酒だ女だドラッグだみたいなことはあんまりライムしない印象があります。
盧笙も現在は教師ってことで、どついたれ本舗の中でも一番真面目かつ常識人っぽいですよね(詐欺師にホイホイ引っかかってるけど)。
というわけで、盧笙の元ネタはCommonだろうというお話でした!

次回は簓ソロの「Tragic Transistor」をやれたらやりたい(願望)

このシリーズで紹介した曲は聴き比べプレイリスト作ってるのでここからどうぞ。


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