STOP!コロナ禍の職業差別


こちらのリプライを読んで、あまりに嘆かわしいと感じたのでnoteを書くことにしました。

「満員電車で通勤する人」は生活のためだから仕方ない。正当防衛。
「遊びを運営する人/集う人」は生活のためではないから仕方なくない。意図的な暴力。
という差別。

エッ、イベント運営は生活のためじゃないの。
感染拡大への影響がどうかじゃなくて、遊びだからダメって話なの。
とドン引きしましたが、まあこの人のような考えはポピュラーでして、
「満員電車で通勤する仕事」の不自然な守られ方は、コロナ禍における職業差別の大きなヒントになると感じています。

「満員電車で通勤する」人たちを仕事だから密になって外出しても仕方ないと容認することは、
エッセンシャルワーカーがライフラインの根幹を担うがゆえに外出を余儀なくされることとは明らかに意味が異なります。
コロナ感染拡大の原因になる行為だからと飲食店やイベントを運営する/集う/移動することを悪とする人たちは、
県を跨いで1時間以上かけて満員電車で通勤するスーツ姿のサラリーマンにはなぜか、
感染拡大の原因になるから家にいろとはまるで言いません。
満員電車の構成員が本当にライフラインの根幹を担う仕事なのかを精査することもせず、
飲食店や各種イベント等の特定業種の営業制限や遊びの自粛ばかり熱心に推奨するのは職業差別に他ならないと思います。

基準が明確で職業間の差別や不平等の少ない感染防止策としては、
本来は時差通勤の義務化やオフィスの人口密度制限こそを推し進めるべきです。
飲食店には時短、イベントには人数制限を強いているのに、
企業で働くサラリーマンだけは一同に会するなんておかしな話で、全員シフト制かつ人数制限の上で働くべきです。
これは仕事内容を無視してテレワークを強行させるよりも、外出を個別に精査するよりも、
全面ロックダウンをするよりもはるかに簡単なことです。

9月10日時点の東京都では全1242人の感染者のうち、感染経路がわかっている533人の内訳は、
「家庭内」が最も多く351人、「職場内」が94人、「施設内」が33人、「会食」が6人などとなっています。
満員電車は感染経路不明扱いですが、家庭に持ち込むにも職場や施設に行くにも電車を使う人が少なくない東京都で、
満員電車での感染が起こっていないとするのはさすがに無理があります。空気感染するなら尚のことです。

満員電車で通勤するサラリーマンの出勤が生活のため必要至急なら、
飲食店やイベンターの営業や集合も生活のために必要至急です。
飲食店やイベントも長い期間と多くの金を投じて運営されるし、中止になれば金に困るし詰められます。
散々叩かれた波物語のイベンターも出演者もそれが仕事であり、生活のためにやっています。
満員電車のサラリーマンと何ら変わりのない仕事上の義務を彼らは負っているし、
中止になった時の保証のなさは満員電車のサラリーマンよりはるかに切実です。

ましてや現状、感染経路は飲食やイベントより営業制限を受けない業種を多く含む職場の方が多いのに、
特定業種の人たちだけ、遊ぶ人たちだけを感染拡大の戦犯として糾弾しながら、
満員電車の構成員やその行き先である各職場を感染拡大の原因としない人には欺瞞を感じます。

尤も、満員電車で通勤する人たち自身もできれば仕事になんか行きたくないからこそ、
仕事から逃れられなくなるオフィスの人口密度制限や時差通勤の義務化ではなく、
多くの業種で強制的に出社が止まるロックダウンを望むんでしょうね。
自分たちだけが優雅にお篭もりして、社会を支えるからという名目で
非正規の小売店員や配達員は働かせることになるロックダウンに私は嫌悪感を抱きますが。

しかしそれはそれとして、満員電車で通勤する仕事ばかりが必要至急と認められがちなのは、
満員電車で通勤する仕事が「楽しくなさそう」で、そうでない仕事が「楽しそう」だからだと私は考えています。

ラッシュ時の満員電車に乗っている人はまず楽しそうには見えません。
だから満員電車の構成員は例え感染を拡げる戦犯であったとしても
自分たちは被害者だと認識していますし、周りも何となくそう見なします。
彼らは自分も嫌々働いているからという言い訳で満員電車が感染拡大の原因であることから目を背け、
自分の仕事が本当にエッセンシャルワークであるかどうかの判定からも逃げています。
ロックダウンを望んでいる人たちについては、それが自らの理になる医療従事者を除けば、
大半が厳密なエッセンシャルワーカーではないのではないかとも思います。
エッセンシャルワーカーはロックダウンしても仕事は休みにならないですしね。

生活のためだから、会社の指示による通勤だから仕方ないという言い訳ばかりして、
政府を批判することで自分たちがまさに感染を拡大させているという現実から逃げている人が多すぎると感じます。
現実から逃げて対策などできるはずがありません。
他人の生活を軽視して自粛しろと叫び、法律上も問題が多く社会的影響も大きいロックダウンは軽率に望むくせに、
会社の中で少し努力すれば実行でき、社会的影響は小さいながらも確実に感染防止に有効な、
時差通勤やオフィス人口密度制限をせよと声を上げることもしない人たちにはほとほと嫌気がさします。

「満員電車で通勤する仕事」でなくても「現場で肉体労働」も悪者にはされませんが、
それも別に楽しそうに見えないから許されているのでしょうね。
現場での肉体労働は本来のエッセンシャルワークであることも多いと思いますが、
予算消化にありがちな必要至急に見えない道路工事に従事する人にもステイホームしろと言う人はいませんね。

満員電車に乗る必要もなく現場で肉体労働する必要もない仕事は「楽しそう」に見えるのだと思います。
アーティストやイベンターはまさに「楽しそう」な仕事と見なされているように思います。
スポーツや音楽は趣味で楽しんでいる人が多いこともその目に拍車をかけます。
趣味で会社員をやる人はいませんから。
勿論趣味と仕事では苦労も義務の多さも全然違いますが、
楽しそうだからそれは遊びだ、ゆえに不要不急だという接続を起こす人は多いです。
これは職業差別というよりは嫉妬に近いかもしれません。

「楽しそうな仕事」には当然、波物語を初めとしたフェスに出演するアーティスト、企画するイベンター、
フェスに乗っかって出店を出す人たち、普段クラブで活動するDJ、踊っているダンサー等が多分に含まれていることでしょう。
「楽しそうだから」という理由で彼らは生活のために必要な仕事をしているにも関わらず叩かれ、
生活のための仕事を辞めろと命令や脅迫に近い口調で言われながら、
仕事を潰されることに対する所得の補償や会場代やチケット代の救済を提案されることすらありません。

何ならカネの方が大事かと冷笑される向きすらあります。

「楽しそうな仕事」にはさらに、スポーツ選手も含まれているものと推察されます。
だから五輪開催自体への反対はともかくとして、
出られなくなれば誇張ではなく一生に一度級のチャンスを棒に振るアスリートへの「補償」も一切議論されることはありませんでしたよね。
五輪はアマチュアの祭典だからという人もいますが、実際には遊びではなくお金をもらって競技をしている人も多いし、
アスリート周辺でスポーツ関係の仕事をしている人もたくさんいるはずなのに、
彼らの仕事をもまとめて奪いながら何の補償も提案されないことには疑問しかありませんでした。

話は少し変わりますが、「楽しそうな仕事」の方々にはそうでない職業より格段に高い頻度で、
「このくらいのこと無料でやってよ」と言われがちだと思います。
楽器奏者、歌手、デザイナーその他。

「楽しそうな仕事」にばかり無料でやってくれと言う人たちがいることを鑑みれば、
コロナ云々以前の問題として、「楽しそうな仕事」をそもそも仕事だと認めていない人が相当数いるのだと思いました。
そうでなければ無料でなどと言えないし、もちろんコロナ禍であれ、
何の補償もなく中止にしてくれなどと言うこともできないはずです。
その点、飲食店は仕事として認められている感じはします。補償もされているし。
アーティストにカジュアルに無料で仕事をすることを求める人たちの大半は無銭飲食はしないよね。

自粛しろと声高に言う人たちは楽しくなさそうな/楽しそうな仕事かどうかで懲罰の有無を決めたいだけで、
家庭を持ちながら郊外の家から満員電車で真面目に通勤して仕事をする人こそが
コロナ感染拡大の原因だという自覚はあまりないように見受けられます。
そうでなければ感染可能性が低そうな野外イベントの中止や公園の閉鎖にばかり熱心で、
満員電車を構成することを申し訳なく思わないことに説明がつきません。
感染拡大防止の観点からイベントの観客が密になることが罪なら、
満員電車を構成することも同じ罪になるはずです。

コロナへの恐怖に惑わされず、自らの差別心を自覚していきましょう。

以上。

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