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【短歌】月の海

短歌を書くのが好きだ。
それはズボラな私にとっては日記のようなもの。日常で美しいと思ったものや、自分の感情が揺れたときにふと三十一文字に移したくなる。

短歌を書きはじめたのは約5年前。最初は誕生日やちょっとした機会に手紙の代わりに歌を詠むようになったのがきっかけだった。

たった31文字でこれだけ表現できる余白と、31文字だからこそ多くを語らない優しさがとても好きだ。だから細々と書いてきた。

今までは自分の気持ちの整理に使っていたけど、ちょっとしたきっかけがあり、それを外に出してみることにした。

自分が思っていることと相手が思っていることは違う。だから自分の短歌も違う人が見るともっと違う景色が立ち現れる。それがとっても面白くて、少しずつ出してみることにした。

これからはゆっくりとしたペースで、短歌を外に出していきたいと思う。

この10首から、あなたが見た景色や匂い、温度を感じ取ってもらえると嬉しい。そして気が向いたら、どんなものが見えたか教えて欲しい。



ふゆの空透きとおるような風ふかせ
わたしの穢れをさらっておくれ

朝ひとりベランダ腰掛けひゅるるんと
北風小僧の歌くちずさむ

火をつけたマッチを心にあててみる
燃え移らずにただ焦げている

大好き。だから、傷つけたくないと
思う気持ちは誰も知らない

インスタの写真めくって私たち
小さな泡が集まっただけ

こころって思った以上にでこぼこで
気持ちをいつも乱反射させる

こころよく私でいられるところあれ
ひとはその場を通り過ぎるだけ

ちかい人旅立つ空からはらはらと
流れる薫りはパインの缶詰め

街灯とネオンサインにカーライト
月から見るとどんな宇宙だろう

ゆっくりとみずうみの底へ沈んでく
肌にあたるのは過去の破片か


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