見出し画像

≪わたしごと66≫Participatory culture・参加の文化

NPOのOF/BY/FOR ALL創始者のニナ・サイモンが書いた "The Participatory Museum" という本を読んでいる。このNPOは、コミュニティーで自分が生きる事、自分を活かす事、居場所がある事に貢献する活動をしていて、彼女自身、自分のポジションをSpace Maker(居場所をつくる人)としている。

前職のミュージアム・ディレクターの経験を生かして、この本はどうしたら人々が参加し本当に学ぶことのできる美術館が可能になるかという事が、書かれている。

読み始めたばかりで、考えながらぽつぽつnoteを書いていきたいと思っているが、このノートにはニナのTEDでのスピーチの事を書きたい。

このスピーチは、情熱があって、優しさがあって、希望があって大好きだ。

面白いなと思ったのは、美術館でのビジターの活動を "design" するという捉え方。デザインによって行動変容が起こる。例に挙げられているのは、アドバイスというコンセプトで展示での話。同じ観覧者が、ボードとポストイットを渡されて意見を書いた時と、トイレのドアを模したものに書いた時と、書く内容と態度が全く違ったというエピソードを語っていた。ポストイットの場合は、お互いにサポートする形で建設的になったが、トイレのドアの場合は、いたずら書きになってしまったようだ。

環境や状況によってアウトプットが変わる。これは意識的であるかも知れないし、無意識であるかも知れない。

その事についてカフェで何となく考えていたら、そういえばカフェやレストランも、同じだなと思った。その環境と雰囲気で、気分も違えば話す内容もも異なって来る。これは何か、仕掛けのようなものでもあるし、工夫とも呼べるのではないか。

そう考えると、茶室とかも世界観の中に入っていく仕掛けだな、と思う。お茶を飲むというそれだけの事が、それだけの事では無くなって、色んな感覚を促される。小さな空間でお茶を頂く事が、宇宙と繋がるなんて、なんて遠くまで行く仕掛けなんだろう。

 "Participatory culture、参加の文化" を美術館でつくるという話が語られているこのニナのスピーチで心を打たれるのは、彼女が本気で言っていると感じる事が出来るからだ。

私たちは過去どこにいて、今現在どの地点で、これから何処へ行くのか。そんな対話がなされ、ひとがコミュニティーに貢献するアクティブな参加の場としてのミュージアムの提案に、とても共感した。


ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?