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≪わたしごと31≫ストーリー

人の心を動かす時に、これからはストーリーが大事と言われている。ものを売るにしても、それに付随するストーリーが付加価値をつける。価値って何かを保存修復と工芸の文脈で考えている。

保存修復をする時に、大事なのは価値は何処にあるか、という事だ。価値というのは文脈と切り離せない。例えばお茶碗があったとする。それが何時代のものでどんな用途だったのか、誰がつくって、現在誰の持ち物でどのように使われるのか。歴史的価値、学術的価値、使用価値、美的価値、思い出としての価値。どれが大切かによって、守るべき価値が異なり、よって保存や修復の方法や材料も変わって来る。

価値は常に文脈によるので、主観を免れない部分があるし、時代によって流動的だ。個人的でもあるし、国際的にもなりうる。

有形文化遺産と無形文化遺産の話で、すべてのものはつまるところ無形遺産だというようなリファレンスも見かけるけれど、人間がその見えない価値を何らかの形で受信できないようであれば、そのものの価値というのは形骸化してしまう。

地方創生やグローバル、いろいろな方向で経済や生き方というのは考えられているけれど、今一度身近にある価値を見直してみて、そこを中心に展開していけば、伝えるべきストーリーが紐づいてくるし、その価値観を信じる気持ちが本当であれば、ローカルでもグローバルでも伝わるのだと思う。

すべては想像力にかかっているとも思うし、提示されないでも後ろの物語に想いを馳せたり、自ら探求していく力はどの分野に於いても重要だと思う。

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