肝を冷やす

国立登山研修所というものが富山にある。元々は文科省が興した由緒正しき(?)登山専門の施設なのだが、そこから色々、読み物が出ている。

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/tabid/198/Default.aspx

こうやって並べると信大関係者が2人も投稿しているのは面白い。

『リスクを伴うフリークライミングにおけるメンタルコントロールの重要性について:称名滝フリーソロの例(中嶋徹)』
中嶋徹さんは理学部地球学科の先輩で、京都大学の博士課程にいらっしゃる。フリークライミングのトップにいる人で、今回の記事は称名滝という日本一の落差を誇る滝をフリーソロした際のメンタルコントロールについて書かれている。イメージは、大雨・東京タワー・外側・命綱無し、という感じである。正気の沙汰とは思えない。動画も貼っておくので良かったら見て欲しい。

フリーソロは実は去年大きく盛り上がっいて、アレックス・オノルドというアメリカのクライマーが現在は第一人者と言われている。このアレックス・オノルドのエル・キャピタン登攀を描いたドキュメンタリー映画『Free Solo』はアカデミー賞にも輝いた。ぜひ見てほしい。

もうひとつ信大関係者の記事がある。

『2019年パタゴニアでのパートナー救出活動について(横山勝丘)』
横山勝丘さん(ジャンボさん)は日本のアルパインクライミング界では超有名で、ピオレドールも受賞している。この記事は所謂事故報告書というものである。ジャンボさんは南米のパタゴニア地方フィッツロイ山群というアルピニストの聖地とも言える場所でずっと活動されていて、去年佐藤裕介さんという、これまた日本のトップクライマーの方と登られていた。この時に発生してしまった事故を詳細に記してある。

事故報告書は文字通り、何らかの事故が起こった際に発行される訳だが、中には一年以上かけて調査・報告を行っているものもある。それだけ、登山における事故は大変なことなのだ。気合と根性論で何とかするようなイメージが登山にはあるかもしれないが事実、アカデミックで論理的な思考に基づき、リスクとメリットを天秤にかけることが現代登山では求めらている。

余談だが、登山家は筆も立つ方が多い。なかなか予備知識がないと面白くはないと思うのだが、以下におすすめの本を紹介する。暇と金があれば読んで欲しい。自分に言ってくれれば貸します。

アルパインクライミング考 https://www.amazon.co.jp/dp/4635160181/ref=cm_sw_r_other_apa_i_6-wPEbKRMC887

外道クライマー
https://www.amazon.co.jp/dp/4797673176/ref=cm_sw_r_other_apa_i_vaxPEb4GGTGH2

ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡 https://www.amazon.co.jp/dp/4635340317/ref=cm_sw_r_other_apa_i_lbxPEb1ZG8JM0

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