「ぼくは君たちを憎まないことにした」どこまでも美しいフランス映画のリアリティに泣いた
フランス映画って美しいんだ
だから最後までひきつけられて見てしまうんだ
そしてまっすぐメッセージを受け取ってしまうんだ
そう思った映画だった。
2015年にパリで起こったテロで妻を失ったフリーライターが3歳くらいの息子と生きていくストーリー。
これは毎朝楽しみに見ている「キャッチ 世界のニュース」の月一の映画コーナーで知った。映画が好き、というより大学教授藤原帰一さんの解説が好きで見ているが、いつもちょっとニッチなものを取り上げている。
そのため地方ではほぼ見ることができないとあきらめていたが、ひょんなことからそのチャンスが巡ってきた。去年の会社の忘年会で、同僚からその忘年会会場の焼き鳥屋の二階がミニシアターで、結構いいのがかかっていると聞いたのだ。後でネット検索したら、まさに翌日で上映終了になる「ぼくは・・・」を発見した。
藤原教授の解説では「妻を失った売れないフリーライターが投稿したテロリストへの手紙”ぼくは君たちを憎まないことにした”は、一晩で20万人以上がシェアし、新聞の一面を飾った。しかし物語がここで終わらないところがこの映画の見どころ」
まさに手紙が話題になった時点でストーリーは中盤に過ぎない。
メディアのインタビューで気負ったこと言っている自分に違和感を感じたり
周囲のちょっとズレた親切がうっとうしかったり
子供の世話に手を焼いたり
きれいごとだけではすまない事が毎日起こるが
その一つ一つが映像の美しさで映画として成り立たせている。
もしこれが日本だったら。
憂さ晴らしに男友達と行ったのがテラス席のあるワインバーでなく、日本のどこか地方のさびれた焼き鳥屋だったら
息子を探しに真っ赤なバスタオル一枚で飛び出した通りが、うちの団地の前の国道だったら
リアリティがあればよいというものではなく、美しいからこそむなしさや苦しさがいや増すこともあると思う。
是枝監督の映画も好きだけれど、美しくなくては映画ではない、とやっぱり思うのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?