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NYエンタメ体験~バレエ「Romeo and Juliet」鑑賞

7月15日、American Ballet Theatre(ABT)公演のバレエ「Romeo and Juliet」を鑑賞した。以下はその感想。

オーケストラピットが目の前!

今回は同行者がサンフランシスコのバレエ団の年間会員になっていることもあり、その特典を利用して、最前列のオーケストラピットの前の席を取ってもらった。私の場合はいつも安い席が殆どなので、これは嬉しいサプライズだった。オペラやバレエでのオーケストラって大々的には出てこないし、舞台より低い位置にあるので、普段は音を聴くだけになっていたが、こうして目の前で舞台だけでなく、オーケストラを見られるとやはり感動する。ちなみにこの日の指揮者、始まりや休憩終わりのタイミングで茶目っ気たっぷりにお辞儀をする姿もチャーミングだった。


多様性に満ちたキャスト陣

4日間の公演のうち、キャストは何パターンかあり、この日のジュリエット役は韓国出身のABTプリンシパルのソ・ヒ。アジア系のジュリエットは予想外だったが、繊細で優雅な動きや抜群の演技力、表現力で私を含めた観客はすっかり魅了された。ソ・ヒは2012年からABTのプリンシパル(最高位のダンサーの一人)だという。この日のロミオ役はブラジル出身のダニエル・カマルゴだったが、一般に思い浮かべる「白馬に乗った王子様」キャラそのままのイメージ。これまた優雅かつ力強い踊りが印象的だった。

ところでこの演目、別の日は初の黒人ロミオ役が登場するという多様性に満ちたキャスティング。今回のマーキューシオ(ロミオの親友)役も黒人のダンサーだったが、とてもダイナミックで素晴らしい踊り、演技力を見せてくれた。今や世界的に当たり前なのかな?またABTは設立当初から、LGBTQIA+コミュニティとの深い繋がりがあるという。その意味でも多様性を地で行くバレエ団なのだろう。人種のるつぼ、多様性を尊重するニューヨークらしい、とも言える。

「身体全体」で表現

前述のように、私はこれまでバレエは遠くからしか見たことがなかったためか、いわゆる「優雅な、美しいダンス」という印象しかなかったが、演劇やオペラと違い、バレエは台詞が一切ないのが大きな特徴。改めて間近で見ると、頭のてっぺんから指先まで、身体全体で喜怒哀楽や細かな感情の動きを表現し切っていた(特にジュリエット役のソ・ヒは素晴らしかった!)。出演するバレエダンサー達のダンス力はもちろんだが、特に主役級のダンサーの抒情性、音楽性など、単なるバレエの域を超えた演技力は圧巻だった。


意外?戦いのシーンも迫力満点!

男性バレエダンサーたちの軽やかかつ力強い演技も素晴らしかった。戦いのシーンでは息を飲むような激しい剣や短刀、素手のストリートファイトが度々登場した(剣や短剣がオーケストラピットに飛んでいきそうな勢いで)し、あの何回もピルエット(旋回)を繰り返しながら力強く踊る姿は「相当体力を消耗するだろうな」というタフさだったが、表情は涼しいまま。さすがプロだ。最前列からは彼らの迸る汗も見えたし、息の鼓動まで聞こえそうな勢いだった。まさに「優雅に泳ぐ白鳥も水面下では激しく足を動かしている」イメージと重なった。日本でも熊川哲也を皮切りに、有名な男性バレエダンサーが増えているが、彼らの身体の動きを見て、改めて一流のアスリートでなければ務まらないということが良く分かる。


バレエシーズンいつ?どんな場所で?

欧米では一般的に、バレエやオペラのシーズンは9-6月で、夏の間は地方・世界公演などでお休みになるが、毎年その時期に「サマーシーズン(6-7月)」としてメトロポリタン劇場で公演をしているのが American Ballet Theatre(ABT)。ニューヨークで公演が多い劇団としてはABTのほか、New York City Balletが有名で秋の公演は9月20日が初日。主な会場はメトロポリタン劇場だが、同劇場のあるリンカーン・センターでは無料のアウトドア・ダンスフロアなど夏の間様々なイベントを実施している。来シーズンのチケットは既に販売中なので、オペラと合わせ、また鑑賞を重ねていきたい。


ご縁を繋いで

私が以前バレエ鑑賞をしたのは、オペラ同様パリ時代に遡るので15年以上前・・・。当時はバレエ鑑賞好きな先輩に連れて行ってもらい、お得な安めの席を取ってもらい、解説を聞きながら見た記憶があるが、今回ご一緒したのはなんと、娘のサンフランシスコの小学校時代のK(年長クラスに相当)クラスの担任の先生。彼女とは当時私がクラスマザーを務めていたご縁で、その後もFacebookで繋がっているが、一緒に過ごした期間はわずか数ヵ月(我が家が途中で引っ越しをしたため)。それでも、こうして実際に再会したり、一緒に何かが体験できることは有難く、「繋がり続けていられる」という意味でSNSの、特にFacebookの功績は大きい、と改めて感じる。今細々と繋がっている人も、今後「何かの偶然」で再びご縁ができることがあるかもしれない、と思うとワクワクする。


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