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覚えていたいことだけ。一年に一回くらい、偶然に会う人がいるんだけれど、互いに名前で呼ばない。多分名前を忘れてしまう。でも顔を見る度に「あ」という顔をしてくれる。ヒダ君という名字だ。今思い出した。会う度に服のテイストが変わっている(でも私もか)

ヒダ君はオレンジのTシャツを着ていた。心とか生活が暗いからせめてもの明るい服を着ているらしい。私もおんなじだよ、こんなことになっちゃう。と言って私は指輪だらけの指を見せた。それは原宿の方で一万円で売りつけられたTシャツだという。カモにされていて、時折交換してしまったインスタグラムに最近どうよとか連絡が来るという。バイトはスーツケースを直す仕事で楽しいらしい。回ったら、たしかに嬉しい。でもそれしかしないらしい。卒制は気に入っているみたい。

ヒダ君と高木さんの三人で話すのには、彼を紹介する必要があって、それができていなかったから三人の会話じゃない時間ばかりになってしまった。

高木さんは18時の新幹線だから早く帰って行った。

飲み会で、先生が隣にいる時、私はいつも何も話さなくても良いと思ってるし、話すべきことは何もないと思ってる。でも、ただ先生に関する集まりがあったらただそこにいたいなと思うだけだ。顔がこちらから見えれば本当にそれで満足だ。奥さんと喧嘩して、夜明けまで歩いて家に帰った話をしてくれた。散歩だ。笑ってたら、先生がチラと横を向いた。これだけで本当にいいなーと思う。隣に座ってる感じがあってそれだけで本当にいいなと思う。

先生の計らいで色んな人と話ができる席になって、一足早く抜けるのが勿体無くて、そしてアーティストになりたかった。ヒダ君には申し訳なかったのだけれど、テーブルで作品の話をしてしまった。でも、今私は作ってるから、やっぱり話したかった。

帰る時、先生がちょこっと送ってくれる。全然平気なのに、間に合わない前提で話しかけて来るのが先生らしかった。もう一人、見送って下さった方がいて、その方もすごい焦っていた。詳しいはずなのに、駅が近くにあることを知らなかった。酔っていたのかも。二人に手を振った。

イトーヨーカ堂が閉店。

新幹線であっという間に横浜に戻った。横浜から家もすぐだから、本当に一瞬みたいだと川を歩き空を見て思った。

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