見出し画像

アイドルにはなれないけれど…。

「時間を巻き戻せるなら、いつに戻りたい?」 
会話のなかで、ときどき出てくる話題。
だいたい、高校時代に戻りたい、とか、中学生に戻って、進路をやり直したい、などという答えが返ってくる。

私は、いつの時代にも戻りたくない。
中学生に戻って、もう一度勉強して、進路を熟考して、高校受験、大学受験、就職試験にのぞむ?
まっぴらゴメンだ。
面倒だ。

そりゃ、私にも、もう一度経験したいような、充実した日々もあった。
中学時代は、勉強も部活も友達関係も上手くいっていて充実していたし、大学時代は大いに遊んで楽しかった。
そして、やはり後悔をしたことだってある。
高校は、少し背伸びをして進学校に入学したものだから、勉強面で大いに苦しみ、多くの人が発する「高校時代が一番楽しかった」なんて、絶対に言えない。
あの頃、もう少しこの分野の活動に時間を費やしていれば、今こんな苦労をしなかったのに…と思うようなこともある。
もったいないことしたな…と唇を噛みしめたくなるような経験もある。

ただ、どの時代に戻ったところで、後悔した選択をやり直したところで、きっとまた、後悔する場面や、辛い思いをすることは出てくるのだと思う。
さらに悪い結果になっていたかもしれないし、結局、どの道を選んでも、最後は同じ場所にいた、なんてこともあるだろう。
まぁ、さらに良い人生を歩める可能性だってあるわけだけれど。

こんな話をしたとき、「じゃあyuraさんは、今までの人生に後悔が少ない。自分の人生をそこそこ気に入っているんだね。」と、言われたことがある。

私は、「自分の人生がダイスキ!」なんてことは、けして言えない。
ただ、たしかに、「面倒だ」という理由ひとつで、時間を巻き戻したいと思うことがない私は、そこそこ満足のいく人生を歩んでこられているのではないだろうか、と気付かされたコメントだった。

時間を巻き戻せば、今の夫には出会わなかったかもしれない。
別の人と結婚していたかもしれないし、ずっと独身だったかもしれない。
そうなると、子供は産まなかったかもしれないし、仮に子供が産まれても、その子は今のわが娘と違う人物である。
来年退職するけれど、そこそこのところに就職ができて、ありがたいことに、辞めたら今すぐお金に困る、なんて環境でもない。
そのすべてを放棄してまで、時間を巻き戻したいなんて思わない。

ただ、休職中の今、ひとつだけ脳裏を掠めることがある。
「職場をあと2年早く辞めていたら…。」
「2年前に戻れたら……。」
もともと、心療内科にずっと通院していたわけだから、前の職場から異動する前に退職を決めていれば、現在のように休職して、職場に迷惑をかけることはなかった。
一方で、2年前に退職してしまえば、「じゃあ、今年配属された車椅子の新人さんの研修への参加手段は、誰が考えることになったのか」、という問題が発生する。
大きな組織なので、私がいなかったらいなかったで、福祉タクシーを手配してくれる職員さんはいただろうけれど。
でも、その職員さんも、私と同じような目に遭って、苦しんだかもしれない。

私は、今は少し弱っているわけだけれど、一方で、これまで私に関わってくれた人たちのおかげで、私の楽しい思い出や、後悔や、痛い経験が、今に繋がっている、今の人生の栄養になっている、と感じている。
他のクリエイターさんからのコメントでもたくさん書いていただいたのだけれど、元気になれば、いくらでも取り返せる、きっと倍増して誰かにお返しできる…。
今、休職をして、いたたまれない思いは完全には拭いきれないけれど、これもまた、きっといつかは、私の血となり肉となる。
いや、私の血として肉とする。

考えてみれば、私は、まだアラフォーにさしかかったばかりの年齢である。
私が生まれた年に計算された日本の平均寿命の半分にも達していない。
心身を整えて、健康でさえあれば、まだまだ取り返せる。
それどころか、きっと何にだってなれる。
50代で女優になって注目されるどんぐりさんのような方もいれば、60代で小説を執筆して受賞する人もいる。
カーネルサンダースは60代でケンタッキーを設立している。

大袈裟かもしれないけれど、私の人生、まだまだこれから。
丁寧に生きて、素直に学ぶ心や、感謝を忘れなければ、きっと何にだってなれる。
時間を巻き戻すのではなく、前を向いていく。
あと少しの療養ののち、希望をもって、進んでいきたいと思う。

まぁ、これからアイドルになる…、ということは難しいけれど。。


※画像はメイプル楓さまのものをお借りしました。
  ありがとうございます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?