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こーのさんが大切にしたいこと「自分を聴して、周りも聴す。そしたら、この世界はキラキラしてくるんじゃないだろうか。」

これは、こーのさんから、こーのさんの生き方の一部を聞かせていただいたインタビュー記事です。ここで、きっとあなたには2つの疑問が浮かんでいるはず。

①こーのさんって誰?
②なんで、こーのさんの記事を書いたの?

①こーのさんとは、私が去年の6~8月の間にお世話になった「CoachingLife (コーチングライフ)」というコーチング・コミュニティで出会いました。私のメンターとして、セミナー期間は2週間に1回、それ以降も1,2か月に1回ほど、コーチング練習や対話にお付き合いいただいていました。話をたっぷりと聞いてくれながら、フィードバックもまっすぐに伝えてくれる、すてきな方です。

こーのさんは、エンジニアとして働かれている社会人でありながら、コーチングやキャリアコンサルタントなど対話を通して、他人に伴走することもされています。趣味のマンガやランニングもいつも楽しそうに話されているのが印象的です。

②時間のある学生のうちに、生き方とかちょっと人の深いところに触れたもっとインタビュー記事を書いてみたい!と思いました。そして、定期的な2人の会のなかで、「記事を書かせてください!」とお願いしたら快く引き受けてくださったのです。

という経緯があって、この記事ができました。このインタビュー前の会話から、こーのさんはこの記事に、「人と接するときに大切にしたいことを残したい」と伝えてくれました。それが残る記事になっていれば嬉しいです。また、この記事を読んで、「やりたいことに正直になること」と「聴す(ゆるす)こと」の素敵さが、誰か一人にでも伝わりますように。

ぜひご覧ください。

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「やるべき」じゃなくて、「やりたい」のエンジンを備えるということ

ーこーのさんが大切に人と接するときに大事にしたいこと、かぁ。すごく気になります。

すてきな背景とともに、話し始めてくれました。背景の意味は、後ほど。。。

今でもあの経験を求めているのかなっていう原体験があります。それは、大学時代、塾講師のアルバイトをしていたときのことです。

最初の頃は、こっちで全部準備して、プランを立てて、「これと、これとこれを、いつまでにやれば大丈夫だよ。さあ、やってきな。」っていうスタイルだったんです。それだと、言われたことをやってくる子と全然やってこない子がいて、行き詰まったんですよね。あれ、なんかうまくいかないな、生徒も自分もいい顔してないなって。

どうしたら生き生きした顔をするのかな、楽しそうにやるようになるのかなと考えるようになって、あの手この手で接し方を変えてみました。

最終的に、勉強しろっていうのをやめました。まあしたくないんだったら、しなければいいんじゃない。学校だって、部活だって、行きたくなきゃ行かなきゃいいし、親からも言われていることも全部しなくていい。だって究極ね、生活保護とかだってあるわけでしょ、なんとかなるなる!とか言って。

もちろん心からそう思っているわけじゃなくて、これを言うことで、その子の周りにはびこってる「やらなきゃ」っていう強制力を一旦取り除こうとしてました。

ー実際、強制力を取り除いたら、どうなったんですか。

生徒が心を開いてくれるようになりました。印象に残ってる子が何人かいて、その1人に、ダンスがめちゃくちゃ好きな子がいました。その子は、公立のほどほどの高校に通ってて、学校からは進学のための課題も結構出るし、周りの同級生は脳死で勉強してて、親からも当然のように勉強しろといわれる、そんな環境にいました。でも、ダンスがすごく好きで、自分でクラブチームに参加したり、海外にまでダンスしに行っていたり。それくらいダンスに向かって動いたんです。一方で、勉強の方は、全然乗り気じゃない感じでした。

だから、勉強ガチモードの自分と話しているときも、めちゃくちゃ「うるさいな」ってオーラが出てる子だったんですね。担当になったんですけど、あんまり話も弾まないし。どうしたもんかなって思って、途中からずっとダンスの話ばかりを聞くようにしたんです。

次大会いつあるの?どんな踊りでやるの?どういうとこが楽しいの?とか、果てはもう、ダンス職業にしちゃおうよって言って、好きなら1回マジで考えてみるのどう?みたいな。

そしたら、ダンスのことに関してはちゃんと情報収集してくるんですよ。ダンスで生計を立ててる人に話を聞きに行きだしました。ダンスの道を自分で真剣に考え出して、そしたら、それに伴って、勉強の方も自ずとやるようになったんですよ。あそこでダンスをするためには、これだけの点数が取れればいいから、やることはこれとこれとこれって。自分で取捨選択ができるようになっていったんですよね。

僕が言わなくても、「こうしたいって考えていて、こうしてみたんですよ」って。1番最後、卒業する頃には、彼氏の話までしてくれるようになりましたね。最初は仏頂面だった子が、どんどん積極性が出てきて、いろんなこと話してくれるようになったんです。

ーなるほど、こーのさんとの関わりがその子に影響を与えたんですね。こーのさんは、なんでその子が印象に残っていると思いますか。

なんでだろ、1番変化があったからかな。担当し始めた時と手放した時で1番変化があった。自分に対して心を開いてくれた、それが多分1番大きかったんだと思います。殻に閉じこもっていた子が自分に対して心を開いてくれたということが嬉しかったです。

閉じこもってた子が、自分をこう素直に出せるようになったこと。周りにやんややんや言われて、私、本当はこうしたいけど、でも、言っても聞いてもらえないし、って殻にこもっちゃってたけど、 自分で、こう、開けて出てこられた感じ。

それを見ると、なんか僕自身もすごく救われた感じがしたんです。

ーこーのさんにおける変化もありますが、その子自身の考え方や行動も変わった気がしますね。

そうですね、やりたいでやってる人と、やるべきでやってる人って、行動が違う。やりたいでやってる人は、やらなきゃいけないラインを軽々飛び越えて、もうこの、この、この辺までいっちゃう。

「この、この、この辺まで」を説明してくれているこーのさん。

今の自分を省みても思うかな。僕の会社ではテストがあるんですよ。最近はあんまりモチベーションがなくて、勉強会があっても、全然予習をせずに当日突っ込む。自分の中で、やりたいことからやっておいた方がいいこと、要は学生にとっての勉強、みたいなものになってきてます。

実は今、キャリアコンサルタントの資格取ろうと思っていて。それは毎朝早起きして、仲間を巻き込みながら勉強会をしています。これは、やればやるほど楽しくなってきちゃう。勉強したいと自分が思って、自ら講座に申し込んで、今やってることだから、眠い時や忙しい時でも時間を作って勉強しようって思える。やってるうちに楽しくもなって、どんどんまた次がやりたくなってくる。先に行きたいって思える。

やっぱり、やりたいのエンジンでやってる時と、やらなきゃのエンジンでやってる時って、全然出力が違う感覚があるんです。自分の中のやりたいに基づいたことをやる方が、人間は面白いところまで飛んでいっちゃうなって思います。

理想の世界は、自分も相手も聴す、そしてキラキラする

ーやりたいのエンジンがみんなに備っていることが、こーのさんの思い描く世界なんですね。じゃあ、そのためにこーのさんはどうやって人と接したいんですか。

最近ずっと色々…コーチングとか、キャリアコンサルタンティングとかをやってて思うのは、やっぱり相手の言ってることだけじゃなくて、相手の全てを聴くこと。

表情、言ってること、言ってることの裏にある言いたいこと。そういう、相手の全部を感じる。受け止める。それが、僕の理想の世界を、僕の周りで作っていくために、必要なことだと思っています。

ーもう少し、その理想の世界について知りたいです。

少し話は変わりますが、最近、自分のロゴを作ったんですよね。これは、自分が作り出したい世界なんです。大きく2つ、「聴し(ゆるし)」と「キラキラ」が表されています。これで「ゆるす」って読むんですけど、これは相手の全部を感じる、という意味で使っています。

言ってること、言いたいこと、出している表情、やってること、存在していること、全部を聞いて、見て、感じる。 そして、それを許容する。自分の全てが許容された世界では、自分がやりたいこと、やってみたいことに向けて進んでいける。その試行錯誤の中で、人は生き生きしたり、キラキラしたり、していくと思うんです。

まずは、誰よりも僕自身が、周りの世界と僕自身を全て聴して、まっさらな状態で、自分のやりたいことに突き進んでいきたいと思っています。

自分がキラキラ楽しく生きていくことで、それを見た周りの人たちが「あ、なんかあの人楽しそう、キラキラしてる」「もしかして、私にもできるかな」と思って、1歩踏み出してみる。その人がどんどん前に進んで、キラキラしていって、それを見た僕がまた、「なんかあの人めっちゃいいな」「負けてらんない、頑張ろう」と思って、また僕を見たBさんが「いいな」と思って、Cさんがまた触発されていって。そうやって、みんなで共鳴というか、お互いにキラキラを与え合う流れを作りたい。そんな理想の世界が込められたロゴになってます。

ーなるほど。聞いてるだけでもワクワクしてきました。でも、自分自身を聴すことは、難しそうです。こーのさんは今、自分を聴せていると思いますか?

いえ、聴せていないときのほうが断然多いです。最近は調子がいいので、8割くらい聴せているかもしれません(笑)でも、自分は今でも、自己否定しがちな人間です。自分に厳しくて、理想のスーパーマンと比べて、「あー、まだ自分は全然こんなんじゃ足りない」って思います。

だから、「もう辛いな」「しんどいな」と思っても、まだまだまだまだって言って、ネガティブな自分を無視して動いていこうとするんです。自分のネガティブな感情さえも、あー、そんなこと思っちゃだめだめっていつも否定しちゃいます。でも、否定し続けると、疲れるしやってけなくなっちゃうから、ネガティブな感情を「なかったことにしよう」と思い込む。それが、自分にとってはいつも当たり前だったんです。

でも大学3,4年生ぐらいの頃、なんか、限界が来ちゃって。就活と卒論で、だいぶ参ったんですよね。就活の自己PRとか、もう僕は自分が嫌で恥ずかしくて、しょうがなかったんです。自分のいいとこなんてないのに、「いいとこをアピールしてください」なんて言われても困って。でも言わなきゃいけないから向き合って、でも嫌なとこばっかり見えて、どんどん嫌になって。今までだったらネガティブな感情を無視してこなしていたんですけど、 もう無理すぎて弾けたんですよね。バイトの休憩中、気づいたら泣いてた、なんてことがありました。

そういうのってなんかすごく辛いなって思ったんです。自分の嫌なとこばっかり目に入って、自分のこと否定して、どんどんどんどん下に落ちていく。それってすごく辛いなって。

今も、完全に乗り切ったわけじゃないです。今でも自分のいいところなんて自分からは言いたくない。でも、働き始めて、コーチングをやるようになったり、塾講のことを思い出したりして、自分を聴したい、他人も聴したいと思った。だから、聴すという感覚を探っている感じです。

ー「聴し」の世界って、揺ぎやすいんですね。自分を聴せているのは、どんな状態なんですか。

自然の中にいる時の自分にすごく近いような気がします。森にいたり、浜辺にいたり、 そこで何をするでもなく、ぼーっとゆっくり時間が過ぎるのを感じてる時の自分。全てを聴している感覚に限りなく近いですね、うん。

去年の6月に森の中に入って、好きなことをする機会があったんですよね。森の中を散歩してみたり、木に登って枝の上でぼーっとしてみたり、鳥のさえずりを聞いたり、風で木が揺れる音とか聞いたりね。

この時に思ったのは、この場所が完全に満ち足りていて、これ以上何かで満たす必要もないし、別に何もなくなる必要もない。自分がどうとか人がどうとかいうこともない。もう、今この瞬間に、この場にあるものが十分。自分もこれ以上強くなる必要もないし、弱ぶる必要もなかったんです。

でも、やっぱり森を離れて町に戻ってくると、あーもっと欲しいと思ったり、こう自分の足元を見ては落ち込んだり。なんでなんだろうな。やっぱり人と結局比べるからなのかな。

ー「聴す」という感覚が、すごくしっくりきました。でも、ずっと森にはいられないですよね。

そう。しかも、森で過ごすようにそのままでいいと言っておきながら、もっともっともっともっともっとみんなで上を目指そうぜって、僕は言ってるんですよね。そう、結局、人は人の間で生きざるを得ないんです。無人島に行くみたいな選択肢もなくはないですけど、 よほどのことがない限りはね。

そうすると、人と比べて、落ち込むんですよ。でも、せっかく人の中で生きていくんだから、落ち込むより、追い立てられるより、ポジティブな気持ちで自分から追っていきたい。ポジティブな気持ちでもっともっとって、自分から走っていきたい。

そのベースのところにいるのは今の自分でもいい。このままでも十分だけど、まだ上があるよね。比べたい気持ちは抑えられないけど、どうせそうするんなら、嫌な気持ちでやるんじゃなくて、楽しく上を目指していきたい。

だから、僕は、自分も相手も、全てを受け止めたい。それでいい、一旦それでいいと。そしたら、いつか、その人のタイミングもあると思うけど、周りのキラキラに触発されて、あわよくば僕のキラキラに触発されて、その人もキラキラしていったらすごい嬉しいです。

ースッと腑に落ちました。どうしても人の間にいるのが人間だから、どうせなら楽しくありたい、と私も思います。

最後に一つ、人との関係性にこーのさんが求めていることを聞いてみたいです。ダンスの子が印象に残っている理由として、その子自身の変化よりも、自分に対して心を開いてくれたという変化をあげていましたよね。そこが新鮮だったので。

なんて言えばいいかな。僕ね、基本的に寂しいんですよ、ずっと(笑)僕自身が、本当は、自分の全てをぐっとさらけ出して、人に心を開きたいと思ってる。でも、拒絶されるのが怖かったり、否定されるのが怖かったりして、自分を開示きすぎて、ウザがられたらより遠くなっちゃう。失敗したら台無しになっちゃう。そんな怖さがあって、自分の心ってなかなか開ききれないんですけど… 同じような怖さの殻に閉じこもってた子が自分に心を開いてくれたっていうことが、自分も心を開くことを許されたような感覚がしたんですよ。

なんでしょうね。他人を通して自分を救ってるって言うんですかね。うん、その感覚は結構ありますね。だから、結局人間関係に求めてるものは何かっていうと、 お互いに、お互いの存在を、まるっと受けとめられるような関係です。良いも、悪いも、 まあそれがあなただよねっていう関係。

人は、すなわち、これを愛と呼びます。

そう、だから、すごくシンプルにまとめると、僕が人間関係に求めているものは愛だと思います。相手を受け止める愛。

ー愛があれば、そっか。ちなみに、愛と聴しの関係はどうだと思いますか?

イコールですね、もう。僕が大事にしたいのは、相手の言葉を聴く、相手の言いたいことを受け止める、相手の全てを受け止めるという聴し、つまり
愛を、僕は僕の人生の中で大事にしていきたいと思います。

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編集後記

こーのさんへのインタビューを終えて、自由や自立などの個の充実と、愛やつながりなどの人間関係の充実の2つの関係性について、私自身新しい考えを見つけられました。今までは、どちらかが強まるとどちらかが弱まってしまう反比例のような関係にあるとどこか感じていました。

でも、必ずしもそうじゃなかったんです。個が確立できているからこそ、周囲の人にキラキラを与えたり、周囲の人を聴す余裕が生まれたり。他方で、聴し合う関係性があるからこそ、個をもっと突き詰めたいと思ったり、そんな自分に自信を持って行動できたり。個で生きることも人の間で生きることも避けられない今だけど、だからこそどちらの生き方も楽しんでいきたいです。

こんな幸せな世界を実現できたらどんなに幸せだろうか、愛に溢れた世界になるんだろうか…とわくわくがとまらない時間でした。また、このインタビューを終えて、お互いに聴し合っていた時間でしたね、とこーのさんと同じ考えや空気感を共有できていたことを確かめられたことも、私はとても嬉しかったです。私も、こーのさんの考える理想の世界を、私の周りでまず実現できるように、人と関わっていきたいと思います。(りほ)


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