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両丹日日新聞連載11(2022年9月)

新たな挑戦 家や地域の良さを伝えたい

田舎家そらしど 森嶋 麻衣 (綾部市)
祖父の家の一角を借り、綾部市西坂町でジャム工房「田舎家そらしど」を始めて8年になります。
ちょっと大げさかもしれませんが、祖父の家は楽園のような場所だと思います。作物を育てるのが好きな祖父、料理が好き&植物学者になりたかった祖母のおかげで敷地内には梅、すもも、枇杷、ぶどう、いちじく、柿、キウイ、みかん、柚子の木など沢山の果樹があり、春夏秋冬何かしらが実ります。月桂樹、山椒、茶の木や、三つ葉、みょうが、ミントといった少し変わった物も手に入ります。季節の恵みと変化を教えてくれる庭は、常に喜びがあり、飽きません。私にとって正に楽園です。田舎家そらしどで製造販売しているジャムの材料は敷地内で収穫した果物や野菜で、年間15種類ほどのジャムになります。
 私はこの家が大好きです。小さい頃はよくこの家にあずけられていて、祖父母と一緒に過ごしました。祖母は私を散歩に連れて行っては、道端に生える植物の名前や遊び方を教えてくれました。家の周りをぐるりと囲む畑には、祖父が育てた野菜があり、畑で採ってその場でかぶりついたものでした。その時の野菜の美味しさや感動は今も覚えています。家のすぐそばにある川へ行き泳いだり、田んぼ横の水路で魚やザリガニを捕まえたりもしました。沢山の思い出の詰まったこの家、そして西坂町は私にとって大切な場所です。
 しかし、問題も抱えています。少子高齢化で家や里山を守ることができなくなりつつあります。私の祖父の家も例外ではなく、祖父は92歳、跡を継ぐ者はいません。思い出の場所を無くしたくない、その為に何かできることがあるかもしれない、その様な思いでこの仕事を始めました。
そんな田舎家そらしどですが、実はこの冬から新たに、この家で田舎体験を始めることにしています。祖父の家は築100年の古民家で、土間には『おくどさん(かまど)』があります。体験ではこのおくどさんを使って、お客さん自身の手で火をつけ、薪をくべ、ご飯を炊いて召し上がっていただく予定です。食後は、畳の上に寝転がって鳥や虫の声を聞きながらゆっくり過ごしていただいたり、家の外に出て西坂町を散策していただいたり、思い思いに過ごしていただければと思っています。
当店以外にも西坂町には農作業体験や見学ができる民泊、農泊、農家もありますので、ゆっくりと滞在して西坂町を楽しんでいただけたら嬉しいです。微力ではありますが、田舎家そらしどの商品や体験が、西坂町という場所を知ってもらったり、実際に足を運んでもらったりするきっかけになれたら嬉しいとも思います。
今後もSNSで普段の何気ない生活や自然のことを伝えていきたいですし、来てくださった方には体験や対話を通じて、この家や地域の良さを伝えていきたいです。田舎家そらしどを、西坂町を、心安く「ただいま」と言って帰ってこられるような、皆さんの心のふるさとのような、そんな場所にできたら嬉しいです。



ジャム以外に、パスタソース「万願寺とうがらしのジェノベーゼ」「ペペロンチーノ」も製造しています。

縁側からは数キロ先まで続く田園風景が見渡せます。そんな風景を眺めながら食べるおにぎり、スイカ、アイスetc…は最高です!

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