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いい日を積む:きれいなアメフトボールオムライス

お腹がすいた。

食材のストックを思い浮かべ、組み合わせて献立を考える。
茄子を揚げ浸しにして、野菜を摂る。
冷凍しておいたご飯と卵があるから、オムライスを作ろう。
鶏肉がないから、バターとにんにくでご飯を炒めよう。
私の記憶にあるバターライスは、たしか具がなかった。初めてのバターライスの味に感動したのは、いつぞやのディズニーランドでのこと。

卵好きな私は、数年前からふわふわ真っ黄色のオムレツを作るためせっせと練習していた。
がしかし、ここ最近はフライパンから卵がうまく剥がれてくれなくて、べしゃべしゃのスクランブルエッグを量産する始末。
器具も手順も変えていないのに、なぜ。

フライパンを変えても、火力を上げても、油を増やしても、やっぱり上手くいかなかった。

見た目にもおいしいオムライスを生み出せない情けなさ。
ボロボロと崩れる卵に悪態つきたくなる。
アメフトボールのような形の、ふっくらオムレツが恋しい。

一縷の望みをかけて、フライパンを新調した。
有名な、ちょっといいやつだ。
調理器具にお金をかけたことがなかったので、はじめは油を引くのも緊張した。

そして今日のオムライスに、こいつを使ってみることにした。
軽く、返しやすくて、バターライスは見事にパラパラに仕上がった。

肝心の卵は…
たっぷりの油を引いて、卵液を付けた菜箸が「ジュッ」と音を立てるまでよく熱し、いよいよ卵を注ぐ。
広げて、ふちからひっくり返すようにして寄せると、卵がつるんときれいに動いた。

ああ!よかった!

何が良かったって、私の腕の問題ではなかったということだ。
もうオムレツは作れないかと半分本気で思っていたから。

数ヶ月越しにありつけた、アメフトボール型のオムライス。が乗ったオムライス。
控えめに降らせたパセリが映える。
しかも嬉しいことに、中の半熟の具合が完璧だったのだ。
ナイフを入れて左右に広げると、とろ〜っと卵が輝くやつ。
初めて成功したものだから、浮かれに浮かれた。


今日は1日特に何もしていなかったのだが、満足のいくオムライスを作れたことで評価がまるきり変わってしまった。

きれいなオムライスを作れた!しかも美味しかった!茄子の揚げ浸しも美味しかったし作り置きまでできた!
私はすごい!今日はいい日だ!

こんな具合である。
何かがんばったからといって、「いい日だった」と思えるとは限らない。
私はがんばるのが好きではないし。
自分が喜ぶイベントがあれば、私の1日はいい日になるのだ。
そんな「いい日」の積み重ねを、少し先、幸せとして自覚するんだと思う。

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