認知症と介護の怖さや悲しみ
認知症はその人の人格まで変えてしまう。恐ろしくも悲しい病気。
日中は穏やかだったりしていても、夜間にガラリと変わるということがほとんどのような気がする。
穏やかで、いつもニコニコしていた、おじいちゃん。人当たりもよくて、居室に入った時は、楽しくお話していた。みんなからもいい利用者さん、いい人だねと言われるくらい。
でもそれは、日中だけのことだった
夜間になると、顔は険しくなってコールをずっと鳴らしては、飯はまだなのか!と叫び出す。
眠前薬も、「殺されるー」と吐き出したり、手でコップをはたいたり。
拳を上げ威嚇することもあったけど、職員に対して不思議と手を上げることはなかった。
この時の夜間は、体力よりも精神が削られたのを覚えている。
朝方の3時から5時は魔の時間。急な眠気でうとうとしてる時
に、「ここは刑務所だ、殺されるー」「誰かー助けてー」
叫び声が聞こえ、すぐに居室に向かうと、窓を開け全裸になって外に叫んでいた。
声をかけても、もう届かない状態。
興奮したり不穏な状態の時は頓服で、精神薬(水薬)
が出されることが多い。
僕はなるべく使わないようにしているけれど、この時は使った。
抑えたりするわけじゃなく、叫んで口が開いた瞬間に水薬をプシュっと発射。虐待しているみたいで、僕が嫌だからこのやり方なだけ。
他の介護士がどうやっているかはわからない。
薬が入ると、あの険しかった目はうつろになり始める。そして、少しふらつき始めたくらいで、ベットに誘導する。
さっきまでのはなんだったんだろう?というくらい静かに眠りにつく。
あるあるなことだと思う。
でも穏やかな人が、鬼の仮面のような顔になるのは、恐ろしい。
また、夜中だとなおさら恐怖は増す。
恐ろしいのもあるけれど、頓服で落ち着かせようと、薬を利用者に入れる自分も怖く悲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?