見出し画像

エッセイを読む愉しさ

最近エッセイが自分の中で再ブームになっている。
特にここ数年、同世代の著者のエッセイが増えた。さすがに20代前半では同世代の著者は少なかったから、これは年を取ることの楽しみが増えたということだと思う。

小学生の頃、初めて読んだエッセイはさくらももこさんの『もものかんづめ』や『あのころ』などだった。小説以外で面白い本があるということを初めて知り、初めてひとりで本を読みながら声を出して笑った。
母親が読んでいた林真理子さんの『美女入門』シリーズや、大きくなるにつれて群ようこさん、東野圭吾さんの『あの頃ぼくらはアホでした』(個人的に東野圭吾さんの本で一番面白いのはこれだと思っている)、原田宗典さんなどのエッセイも好きになった。

私は小さい頃から、エッセイの愉しみを知っていたつもりだったけれど、そうか、同世代の著者のエッセイを読むとはこういう感じなのか、母親が群ようこさんのエッセイが面白いと言っていたのはなるほどこういう感じだったのね、と思った。これはとても贅沢な読書体験だと思う。

佐藤愛子先生のエッセイが同世代の読者に売れている理由もよくわかる。読者はみんな、自分と関係した本を読みたい。全然別の人生が書かれていても、その中に自分を見たい。

ここ数年で私が買って2回以上読んだ同世代エッセイをご紹介。

『ここじゃない世界に行きたかった』は、江國香織さんが推薦を書いていたから読んでみたけれどまさかこの本に影響されて留学先にダブリンを選ぶとは買ったときは思いもしてなかった。思えば人生の大きな選択をだいたい本の影響で決めている。

こちらは著者の川代さんから送っていただきました。ありがとうございます。

昨年初めて、やっと(本当にやっとという感じ、どうして今まで読まなかったんだろう)名著であるヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』を読んだ。その中で女性について男性が書いた本が多いという記述があって、それは今も変わってないと思った。私はもっといろんな女性が書いたその人の人生を読みたい。

そういえば、私が初めて入った出版社は海竜社という名前で、女性の社長が自分でつくった会社だった。もう会社は解散してしまったのだけど、その会社の本作りのテーマのひとつが「女性の生き方」についての本をつくるということだった。未経験でも編集者として雇ってくれるならならどんなところでもいいと思って選んだつもりもなく入った会社だったけれど、数年たってその会社がやっていたことが、こんなに自分にとって大事なテーマとして感じられるようになるなんて、人生は不思議だ。振り返ると、どんどん答え合わせみたいなことが増えてきて、最後にはぜんぶに○をできるようになるのだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?