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今井雄紀のnote

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2018年8月の記事一覧

15年おそい絶好調。

いま、人生でいちばん調子がいい。何のことか、バッティングである。 前にも書いた気がするが、ぼくは小1〜高3まで野球をやっていた。特に高校3年間は頭を丸め酒もタバコも当然やらず、練習をサボることもなく、修学旅行先の沖縄に行っても浜辺で素振りをするような、まじめでつまらない高校球児だった。 一所懸命、自分なりに手を抜くことなく野球に向き合ったが、50校前後と全国的に見てもレベルが低い滋賀県の高校野球界で、40番目ぐらいの実力しか無かった高校(私見です)のベンチにすら入れなかっ

金八になりたい。でもなれない。

あなたは、「3年B組金八先生」をご存知だろうか。まあ、ご存知だろう。では、そんなきんぱっつぁんがPS2のゲームになっていることはご存知だろうか。 2004年に発売されたこのゲームは「病気になった金八の代わりに教壇に立ち、生徒たちが引き起こす問題を解決していく。きちんと問題を解決できた生徒のみが、卒業式で『仰げば尊し』を歌ってくれる」という魅力的かつ斬新すぎる設定をひっさげてゲーム界に殴り込み、その出来のよさでもって見事右ストレートをかました大傑作(売り上げはそこまでだったみ

うどん屋ののれんと、スキの無いふるまい

毎日通る道に、おいしそうなうどん屋がある。 自転車通勤の途中にあるその店は、本格派をうたい、清潔感も申し分ない。店頭に飾られているパネルには、つややかなうどんに、黄色というよりはオレンジの黄身をたずさえた半熟卵が、トロリと重ねられている。ガチャガチャとかき回してかきこめば、口の中に少なくない幸せが広がるだろう。 しかし何度お店の前を通っても、食べてみる気になれない。なぜか。本来「営業中」をあらわすはずの「のれん」が出しっぱなしなのだ。開店前からとか、閉店直後とか、そんな中

にしかなこがあらわれた

ここ数日『まにまに』というエッセイ集を読んでいる。書いたのは、西加奈子さん。すすめてくれたのは、うちでアルバイトをしてくれているチャン・ワタシ(普段は本名にさん付けで呼んでいるが、この名はなんだか呼び捨てがしっくりくる)。 このエッセイがまあ、めちゃくちゃおもしろい。日常を観察するちょっとだけ意地の悪い視点と、それをユーモラスかつリズミカルに文章に落とす確かな筆力。そして、くさしても包む博愛。「女子トイレで顔を、かっ、くわっ! としながら化粧を直す女性への共感」、「雑誌の『

「洋式トイレの便座をおろす人ですね」

夜のオフィス、洋式トイレに立って用を足しながら思う。 「この便座、おろすべきか、そのままにしておくか」 もう2時間は仕事をするとして、今ガバガバと飲んでいるアイスコーヒーの量から算出するに、あと2回はトイレに立つことになるだろう。もうオフィスには誰もいないから、次に使うのも、その次に使うのもぼくだ。どうせそのとき開くのだから、普通に考えればこのまま開けておくのが正しい。 こう見えてもぼくは合理的な人間で、無駄なことが好きじゃない。ついさっきも、見失った本をアマゾンで再注

何年たっても、ピザポテト

うちの母は、かつてカルビーに勤めていた。 滋賀県内のスーパーを車で回って新商品やリニューアル品のサンプルを配り、ひと箱でも多くの注文をもらってくるのが仕事の営業ウーマンだ。時間の融通が利いていいんだと、なんだかんだ、20年以上にわたって同じ仕事を続けた。 母の仕事の関係上、家には常にカルビー製品があふれていた。ポテトチップスはもちろん、じゃがりこ、サッポロポテトにかっぱえびせん、ピザポテト、カルビーワッフル、フルーツグラノーラ、堅あげ。農家が米を買わないように、スナック菓

「予約電話が苦手」というストレスは、3年前に解消可能だったのだ。

お店予約の電話が苦手だ。 営業時間内にかけないといけないし、人気のお店だと繋がらないこともザラ。できるだけ忙しくない時間にかけたいなと思っているうちに前日になり、席はもう一杯なんてこともよくある。自分の声が低く、くぐもっているので、要件を聞き取ってもらいづらいのもつらい。 なのでここだけの話、プライベートの分も含めて、アルバイトに来て貰っているYくんにお願いしたりしていた。Yくんは、テレビ制作会社で1日に数百件電話をかけるバイトをやっていたこともあり、電話を苦にしないとい

高校球児だったけど、高校野球はみなかった

全国高校野球選手権大会、通称「甲子園」がいよいよ佳境を迎えている。本日ベスト4が出揃った。今年からはスポールブルというアプリで全試合無料放送が行われており、これがけっこうな高画質であるため、データ通信量がかさばって大変だ。 高校3年間、弱小高校の補欠とはいえ甲子園の舞台を夢見て練習していた身としては、出場中の選手のみなさんには尊敬の念しかない。「甲子園でヒット1本打った」と言われればそれだけでひれ伏す自信がある。 そんなぼくだが、高校野球をちゃんと観るようになったのは、大

だいもん……いや、五山の送り火です

今朝は、京都で目が覚めた。実家のある滋賀へと戻る道すがら、特に用もなくひとり京都に泊まったのだ。 昨晩は荒神橋という、鴨川にかかる小さな橋の上から、東の山にでっかく燃える「大」の字をみた。「大文字焼きってさ」と言いかけたら、息子(めちゃくちゃかわいい)を抱きながらぼくのショートトリップに付き合ってくれていた生粋の京都人の久保が「今井さん、大文字焼きちゃいます。五山の送り火です」と訂正してくれた。 荒神橋には昔「hohoemi」というパン屋があって、学生には少し高いパンを背

映画評を聞きすぎた弊害

ライムスターの宇多丸さんや町山智浩さんをはじめとした人たちによる映画批評が好きでよく読んだり聞いたりするのだけど、過去へ過去へとさかのぼっていくと、不意に「昔好きだった映画が酷評されていた」という場面に出くわす。ぼくにとっては『スター・ウォーズ エピソード1』や『CASSHERN』なんかがそうだ。 ストーリーの矛盾点だとか、演出の意味のなさとか、キャラクターづくりの粗さとかそういう指摘を聞いてから再度映画を観ると、なるほど確かにつまらない。逆もまたしかりで、よく理解できなか

「写経」に意味はあるのかい?

新卒で求人広告のコピーライターをやっていたころ、不景気でまったく仕事がなかった。 リーマンショックの前、ゼロ年代でもっとも景気のいい時期に配属が決まり、配属直後に日経平均株価が大暴落。どうにかして(できれば次の決算までに)人を減らさないといけなくなった日本企業は、もちろん求人広告など出さなくなり、残ったのは、取材先も書くものもなく、ただやる気だけがある新人だった。 当時の課長はじめ課員の先輩たちはほんとうにやさしい人たちで、そんなぼくをずいぶん気にかけ、「こんな依頼があっ

土曜の朝の東西線で

幕張へ向かうため、朝から東西線に乗っている。 土曜なので空いていて、みんな座れている車内はおだやか。楽譜を出して何やら書き込んでいる市民楽団員風の男性、小野不由美のハードカバーを読む母親と、その隣でイヤホンをつけて物憂げに振る舞う少女。靴を脱いで席に膝のりになり、真っ暗な窓の外を見つめる少年……。 というようなことを書いていたら、電車降り忘れた。さっき、小野不由美イヤホン親子が降りた茅場町で降りるべきだったのに。 調べたら、このまま西船橋まで行っても同じ時間に海浜幕張に

ジョナ・ヒルがやせてた

朝7時。オフィスにいる。早起きじゃなくて、広い意味での夜ふかし。溜めてた仕事のツケがまわって、こんなことになってしまった。 徹夜をしていてなにがいちばん嫌って、朝日が昇って窓から光が差してくることだ。次点がめざましテレビの放送開始。その瞬間じぶんが、明確に世間とズレてしまったことを思いしらされているような気がして落ち込む。 今日は原稿書きながらずっと、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観ていた。Netflixになかったのであわてたが、Amazonプライムにあった。Hu

そのアイデアが出るまで、あと何分?

何か出さないといけないアイデアがあるとき、実際にそれを考えている時間てどれぐらいなんだろうといつも思う。 今日は、あるイベントのトークテーマを再考しないといけなくて、寝る前に10分、お昼のあとに5分、深夜に15分、iPadに向かってペンを持って考えた。 一応「これだな」と思える18字のトークテーマが出せたので、それを登壇者のみなさんに送ってひとまずホッとしている。合計30分は、割とすんなりいったパターン。ダメな時は、3時間かけてもクソみたいなものしか出ない。 この件「だ