気になる広告・黒い絵(AC)
前回の更新からもう4ヶ月…
そして4ヶ月もかかってまだ2回目…
このペースが続きそうですがよろしくお願いします。
今回紹介するのは、公共広告機構(AC)のCM「黒い絵」。
クリエイティブディレクター高崎卓馬氏の代表作で、カンヌで銀賞、アドフェスではグランプリを獲得した、国際的にも評価されている広告です。
前回同様に内容を綴っていきますが、気になる方は本編を検索して視聴した方が良いと思います。
なんの情報もないまま見た方がグッとくると思うので。
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とある小学校の教室。美術の授業風景。
先生が生徒たちに言います。
「みんなの心に浮かんだことを、そのまま描けば良いんだからね。」
ネコ、ウサギ、クワガタなどなど、
みんな思い思いの絵を描いていく中、ひとりの少年が画用紙をひたすら真っ黒に塗りつぶしていました。
放課後の教室でも、帰宅後の自室でも、彼は手を止めず、真っ黒に塗られた画用紙が量産されていきます。
教員や保護者はその様子を不審に感じ、医者に相談。事態は大事になっていきます。
少年は病院で観察される身となりますが、それでも彼は黒い絵を描き続けます。
病室の床に散らばる大量の黒い絵…
それを並べて見た看護師が何かに気付きます。
一方、学校の教室にて教員が少年の机の中を確認すると、パズルのピースが見つかり、彼女も何かに気付きました。
広い場所に移動し、医者、看護師、教員ら総出で少年の描いた大量の黒い絵を並べてみます。
すると、何かのシルエットが出来上がっていき…
大きな鯨の絵になりました。
少年は大量の画用紙で、
等身大の鯨を描いていたのです。
場面は病室に戻り、
少年が最後の一枚を描き終え、
テキストが入ります。
「子供から、想像力を奪わないでください。」
「AC 公共広告機構」
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ハッとさせられる広告。
映像や音楽もちょっと薄暗いテイストで、どこか不気味さを感じさせる演出がとても巧妙です。
周囲と違う感性を持った子どもが大人たちの理想に矯正されるシーンって、見たことがあるし、自分も経験したことがあります。このCMをみるとそれを彷彿とさせられます。
「葉っぱは緑色だろう」とか、
「ネズミは小さいのが当たり前」とか、
大人は悪気なく、ナチュラルに自分の常識を子どもに押し付けてしまうところがあると思います。
でもそれって、結果的には子どもの豊かな想像力を狭めてしまいますよね。
この広告は、見た私たちもそんな風に何かを試されているような、問いかけられているようなCMだったと思います。
ちなみに、この広告はその後
絵本にもなってるみたいです。
タイトルは「まっくろ」(講談社)
今回もここまでお読みいただき
ありがとうございました。