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リサイクルを経済活動として捉える

気候危機を受けての「カーボンニュートラルの実現」がここ数年のキーワードですが、持続可能な開発のためには「サーキュラーエコノミーの実現」も進められています。CNN10の静脈産業ベンチャーの紹介レポートを読み解きつつ、政策と現場のそれぞれから循環型社会実現の現状をまとめます。


リサイクルをしたいのにリサイクルを阻止してしまう?

米国では毎日一人当たり2.3kgのごみを排出します。年間にすれば290万トンとなり、そのうち70万トンがリサイクルされます。しかし、リサイクルごみ自体が汚れている等、適切な排出がされていないことが、リサイクルを滞らせ且つ余分な二酸化炭素の排出につながっていることが課題でした。

米国時間2021年1月7日付のCNN10によれば、 米国静脈産業ベンチャーcompologyは、毎月10〜20ドルでリサイクルボックスにカメラを設置するサービスを提供しています。カメラはAIを備えていて、適切でないリサイクルごみの排出を感知するとアプリを通じて知らせます。

スターバックスやマクドナルドなど大手企業が導入し、従業員のリサイクルごみ出し教育に活用しています。罰金の発生阻止やモラル向上だけでなく、リサイクルごみ排出を回収するトラックの走行距離の適正化がはかれるので、二酸化炭素排出削減や費用削減に効果があるとしています。先述のレポートやインタビューでは、ごみを排出する側の意識改革にも繋がると締めくくっています。


循環型社会の実現のために_注目される静脈産業

静脈産業という言葉は、経済産業省の循環経済ビジョン2020に出てくる言葉です。

自然から採取した資源を加工して有用な財を生産する諸産業を、動物の循環系になぞらえて動脈産業というのに対して、これらの産業が排出した不要物や使い捨てられた製品を集めて、それを社会や自然の物質循環過程に再投入するための事業を行っている産業を、静脈産業と呼んでいる。

EICネット 一般財団法人環境イノベーション情報機構 「静脈産業」

線形経済から循環経済になる話は1990年代後半に3Rなどがありましたが、資源循環自体を経済活動として捉えているところが、今回の研究会(サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会)のポイントだと考えます。


身の回りに対して丁寧に生きる

静脈産業の現場では、IoTにより機械が人間の間違いを正すことで適切な流れを作り出す動きが出てきています。人間と機械との違いは自発的に成長することでしょう。意図しない間違いを機会に指摘されることによって気付けば、自らの意識を変えて適切な行動を取ることができるようになります。

深刻な状況が続く中で、エッセンシャルワーカーが誰なのかが誰しもに認識されるようになりました。どんな状況においても「供給できません」「回収しません」「対応しません」が許されない、電力業界、静脈産業、医療従事者に思いをはせるきっかけの一つが技術革新なのかもしれません。


参考

IoT技術がサンフランシスコの廃棄物問題を解決する Nissho USA 2017年10月17日

少しでも共有できる思いがあったのであれば嬉しいです。 電気を届けるしごとに思いをはせる「白金プラチナ電設」もご贔屓に。