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なぜ電線でイヤリングを作ろうと思ったか

2019年8月より廃電線でイヤリングを作っています。
「電設資材アクセ」製作の経緯について記載します。


電線は売っている

電線(絶縁電線、ケーブル)やリングスリーブ、差込型コネクタ等は、一般的に総称して電設資材と呼ばれます。配電のために電気を通したり逆に絶縁させるための資材をイメージしています。JISハンドブックでは、「電気安全」「電気設備Ⅰ」「電気設備Ⅱ」に掲載されています。

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最初に知った電設資材は、リングスリーブでした。不思議な巡り合わせで第二種電気工事士を本格的に目指すことになり、その存在や役割を知りました。初めて実物を見たのは、新宿の東急ハンズだったと思います。シルバー(実際は無酸素銅)で小さくて特殊な形状がかわいいなと思いました。

その頃はまだ通信系の資材と電気系の資材の区別もつかず、教科書で見たような気がする資材を手当たり次第購入しました。試験勉強を進めるには実物を見なければと思って店舗に向かいましたが、縁遠かったけれども実は身近なものが馴染みのハンズで売っており、それが今自分の手の中にあることが嬉しく、どのように日常生活に取り入れようかワクワクして帰宅しました。


電線は尊い

2017年の後半から、徐々に電力供給が身近になってきました。業界の敷居の高さも、技術バックボーンの方達とのやりとりも、独特の世界観も非常にとっつきにくく、自ら飛び込まないと会話も成り立たないと感じていた頃、電気工事士(と電気主任技術者)の存在を知りました。

もともとアクセサリーはつけない派だったのですが、電気の世界を知ったのと同時期に始めたダンスの舞台衣装を揃えるなかでピアスをイヤリングに変えるコンバータを買い始めたことがきっかけで、手芸店のアクセサリーコーナーが身近になっていました。

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イヤリングもたまにつける分には邪魔にならないということを理解し始められた頃に、電気工事士試験に向けた勉強が始まりました。部外者として周縁で電力業界に触れ、安全に安定的に電力を供給し続けることを使命とする電力業界についての理解が机上と実体験で深まるほど、電力供給に関わる方々へのリスペクトが募りました。

イヤリングパーツがあれば電設資材を身につけていられるという発想は、とても自然にわいてきました。


電線で伝えたい

電気工事士の試験は実技があります。電気工事とは無縁の生活を送ってきたので、最初はリングスリーブ用圧着ペンチの開き方すら知りませんでした。

実技試験前はどこに行くにも電線と工具を持ち歩いていました。電線もVVFいちろく2芯&3芯、VVF2ミリ2芯&3芯と全て持ち歩き、ペンチ2つ、より線ストリッパー(第二種には不要だった)、文明の利器であるケーブルストリッパー、電工ナイフ、プラマイのドライバ、ウォータープライヤが加わるので、通勤が筋トレ状態でした。

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いざ実技試験が終わると、そこそこの量の電線と細かい資材が余ります。試験後には個人でWEB販売している方が多いのですが、全てアクセサリーにすれば電気を届ける仕事を他の方に伝えられると思い、「電設資材アクセ」を作り始めました。1年半で180個の「電設資材アクセ」を製作しました。


電線をあなたに

電力自由化も、2020年の送配電部門分離で最終局面を迎えました。旧一般電気事業者における分社化や配電ライセンス制度が始まったあとに、総括原価方式で支えられたユニバーサルサービスがどのように形を変えていくか、市場の競争原理と電力の安全・安定・確実な供給とのバランスがどのようにはかられていくか、その時に電力供給のしくみ(電力システム)とライフスタイルはどこまで交わりあっていくのか。素人が省庁の研究会サイトの掲載スライドやニュース記事を読むだけでも興味深く追い続けられるトピックスが豊富にあります。

わたしは、日本の電力システム改革に、業界の外側の人間として、VCTF0.75スケの銅線一本分くらいの細さで関わり見届けることを決めました。そして、耳元には電線を。


電気工事士独学について
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