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猫や犬を保護してよいのか、その境界

猫の保護

最近、意図せずして推定野良猫を保護することになりまして、当事者になってみるとなかなか難しい問題があることがわかりました。これは気を付けた方がいいぞ、ということで情報をまとめてみます。

先に結論を書くと、飼える自信がない人、さらに里親を探す能力がない人は野良犬、野良猫を保護するべきではありません。あなたが保護しない方が生き残る確率が高くなる”場合がある”ことを知ってほしいと思います。

一応最後に里親探しの方法を書いておきます。でも、結構大変ですのでご覚悟を。

経緯

まずは経緯より。

我が家の屋根裏に猫が忍び込んだのが先月中旬。ボロ家なので、ときどきハクビシンとおぼしき動物が入ることもある田舎の家屋です。すぐに出ていくと思ったのですが、か細い声で「ニャーニャー」なくわけです。

こりゃ困ったぞ、というわけで、ちょうど台所の上でなきだしたときに台所の天井を押し上げることにしました。(以前、ハクビシンを追い出すための大騒動で三ヶ所の釘を外して押せば外れるようになっています)

果たして、そこにはがりがりの子猫が。後でわかったのですが、生後ちょうど1ヶ月だったようです。この数値がのちの運命の分かれ目となります。

なんやかんやありまして、迷い猫の登録も捜索もポスターも見つからない、うちは犬を飼っているので猫は飼えない、愛護センターへつれていこうという判断になりました(結論から言うと愛護センターという選択肢は間違いでした)。

愛護センターでは野良猫は受け付けられない

うちの愛犬も地元の愛護センター出身で、譲渡当初からすごく気性が大人しく人間大好きな子でした。動物愛護センターでよほど可愛がってもらったのであろうと思っていまして、いろいろな人に慣れ、譲渡会でいい飼い主に出会って欲しい、という思いから愛護センターに電話しました。

まず僕も勘違いしていたのですが、動物愛護センターは保健所の出先機関のようなもので、保健所との決定的な違いはありません。保健所が人間担当、動物愛護センターが人間以外の動物担当で、どちらも殺処分を担います。従って、動物愛護センターに持ち込むと殺処分の可能性が生まれます。もちろん、保健所も愛護センターも好き好んでやっているわけではありません。限られた予算の中で、可能な限り治療や飼育を行い、譲渡会などを通じて飼い主を探します。動物の殺処分について、保健所や愛護センターに抗議運動や抗議の電話等をする人もいるようですが、完全に見当違いですので、気をつけてください。責められるべきは無責任な飼い主です。

そして、動物愛護センターは野良猫は基本的に受け付けられません。理由は恐らく二つあります。
・野生動物をむやみに保護すべきでないし、多すぎて無理
・飼い猫は「飼い主の飼育責任」があるのでその責任の範囲で保護を断れないが、そもそも野良猫にはなんらかの責任が発生しているわけではないので新たな責任を発生させることに消極的

消極的と書きましたが、これは動物愛護センターを責めているのではありません。既に飼い主から持ち込まれる捨て猫対応で飽和状態(新しい飼い主が見つからない子もたくさんいる)なのに、新たに受け入れを増やせば増加分は殺処分見込みです。これは犬やほかの動物も基本的に同じと思われます。

現実的な話として、動物愛護センターや保健所としては「持ち込まれたら殺処分しなければならない」ので、野良猫として生きていけるなら放っておいてやって欲しいというのが、人情的、予算的な現場の意見だと思います。

動物愛護センターで受け入れる条件

では、どういう猫なら受け入れるのか、聞いてみたところ、次のおおまかな目安が提示されました。

片手にすっぽり乗るくらいの大きさ(動物病院の話では、生後一ヶ月未満を指しているとのこと)で、自活不可能なほど幼い、かつ親がいない
傷病で自活が不可能と思われる状態である
飼い主が”やむを得ない”理由で手放す必要がある

上記3つのうち、どれかが当てはまれば保護してもらえる可能性があります(動物愛護センターの運営方針にもよるので、厳密には問い合わせないとわからない)。

ただ、飼い主都合の場合は拒否されることが多いようです。そういう場合はたいてい、子猫・子犬ではなくなっているので譲渡もできず、必然的に殺処分となる可能性が高いからです。

そもそも飼い主なら自分で里親を探してくれ、というのが多くの保健所・愛護センターの意見であり、それは全くもっともな意見です。「やむを得ない」って、里親探しが面倒というのはやむを得なくないだろ、という意見。

動物愛護センターに保護してもらうより良い未来を掴む

ただ、上記条件で引き取ってもらっても、譲渡会に出られるくらいの年齢で、かつ譲渡会に飼い主希望がたくさんこなければ、未来は殺処分ということもありえます。確実に助けたいのであれば、保護した人間自身が行動しなければならない場合もあります。

もしもそれが不可能なら、あえて”助けない、保護しない”方が動物のためになるかもしれないという視点は忘れないで欲しいと思います。

自分で保護して飼い主を探す方法

いくつか方法を書いておきます。
・簡単な健康診断、可能であればワクチンを接種させておく
・お金に余裕があれば、去勢、不妊手術を受けさせておくとさらによい
・LINEやメール、職場の同僚を通じて飼い主希望を募る
・張り紙を出す(自分の連絡先を書かないといけないのでお勧めはしません)
・近隣で譲渡サポート組織があれば協力を仰ぐ
・ジモティーで譲渡募集をかける
・生後2ヶ月、あるいは4ヶ月まで育てる

・自分で飼う

僕の場合、募集している間に世話をするうちに情が移ってしまい、うちで飼うことになりましたので、譲渡経験は募集で終わってしまっていることをお断りしておきます。

譲渡前に汚い状態や病気ではまずいので病院に行き、健康診断を受けさせました。その結果、ノミがいることがわかりましたので、ノミとりクリームと注射を受け、血液検査と検便で病気も寄生虫もいないことを確認しました。譲渡の際に有利に働きますので、オススメします。よほどのことがない限り予算は1万円未満で済みます(病院にもよる)。

あとはなるべく可愛い写真を撮って、LINEで受け取った友人や同僚が隣の席に見せたくなるよう画策しました。煽り文句もつけ、うちはもう犬がいること、2週間の猶予の後、愛護センターへ預けるという脅迫めいた文章も追加しました。

さらに、ジモティーへの登録を検討しました(文章だけ作った)。ジモティーは不要物品の安価な引き取りを主としていますが、実はペットの譲渡もできます。「ジモティー 里親募集」で検索してみてください。

ただし!物品と異なり、生き物の譲渡は厳密な特別ルールが設けられており、動物をモノの様に取り扱っているわけではありません。まず、譲渡の際には誓約書を取り交わすことが義務付けられ、身分証も必須、譲渡後にも安否確認の連絡がいく可能性があります。飼い主側には年齢制限が設けられています。さらに、金銭のやり取りは一切不可。ばれればアカウント登録抹消です。さらに、譲渡は原則一回まで。二匹目以降はより厳密な身元証明が要求されます。

https://jmty.co.jp/fosterparent_trouble/

とまあ、ここまで調べて登録のための写真を吟味したり、シャンプーしてやったりしているうちに結局情が移ってしまったので本末転倒ですが。

猫の飼い主が望む猫の年齢

猫を人に譲渡する際には3つのタイミングがあることを知っておいてください。生後1ヶ月までは母猫が世話しないと生存は困難です。生後1ヶ月前後で譲渡するのはほぼ無理です。生後2ヶ月では乾燥エサも食べられるようになる子もいますが個体差も激しいです。

最初の譲渡タイミングは生後7~8週以降(2ヶ月たたないくらい)といわれています。この時期は遊びたい盛りで、人間が構ってやると大喜びで遊びます。この時期に慣れておくと飼い主にしっかりと懐く可能性が高い反面、かなりの時間(間隔をあけて、合計最低1時間)を構ってやらないと運動不足、経験不足、社会性の欠如を起こす可能性が高くなります。しっかり時間がとれる人向きです。

その次のタイミングは約3ヵ月後。社会化が一段落し、好奇心旺盛ながらもすこし落ち着くらしいです(未経験)。この時期に新しい飼い主になっても、ある程度慣れる見込みが大きく、リスクが小さくメリットもそれなりに大きい時期だそうです。

その次は約半年後。猫の思春期も終わり、大人に近づき、落ち着くらしいです。あまり構う必要がないという点では一番楽な時期だそうです。ただ、この時期になると性格や人馴れもかなり固定され、不適切な飼育をされた子は矯正不可能に近く、人が嫌いな子に育っていると、飼い主として受け入れてもらうためには相当な努力と本人(と本猫)の資質も必要みたいです。

なんだかジモティーを推している記事に見えますが、もちろん非PR(金銭の授受はない)です。野良猫、野良犬の保護を考えるときの参考になれば幸いです。

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