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フンコロガシの習性の意味(仮説)

はじめに

このツイートを見て欲しい。延々とフンを転がし続けるフンコロガシの行動を動画撮影したもので、リンク先に飛ぶと穴を掘って埋めるところまでツリー形式で記録されている。ツイッターアカウントがなくても観れるので是非。このツイートのツリーを見てふと思いついたのだけれど、移動の基準に関する考察と仮説記事。

問題提議

フンコロガシはフンを発見した後にその食物資源を独占するために転がして移動する。フンは一般的に栄養価が低く、長い時間をかけて大量に食べてゆっくりと消化する事で初めて餌としてまともに利用できるのである。そのため、食事はその場ではなく転がしていった先で穴を掘って隠して独占的に食べる必要があるのだ。
さて、このフンコロガシ行動において、以下の点が謎とされている。
・どれくらい転がすのか
・どこに埋めるのか
の基準が不明なのである。これについては、ファーブル昆虫記でも謎とされていた。それこそ数メートル転がして埋める個体もいれば、それこそ数十分も延々と転がし続ける個体もいる。ただし、フンコロガシの本能は大変に洗練されているため、これらの基準が非合理であるとは考えづらい。そのため、彼らのコロガシ行動の運用基準について、当事者外から推測させてもらうことにした。これらの仮説があれば、フンコロガシがいる地域在住の方が仮説検証してくれるかもしれない、という期待を以ってこの仮説を提示する。

仮説


・転がす距離はフンの栄養価に依存する。例えば、ネコなどの肉食動物の糞は一般的に窒素などの希少栄養素が豊富でカロリーも高い。そのため、独り占めのためのコストを多くかけられる。逆に、ラクダなどの消化能力が高い草食動物は堅固な炭素系分子ばかりで、何キロも移動したらかえって赤字になるかも。
・においが強く、他個体に発見横取りされる可能性があるフンは多めに転がして証拠隠滅する。もしかしたら表面に大量に砂がつくと共に乾燥していくことで臭いがなくなるのを待っている可能性。
・フンコロガシはにおいに敏感である。もしかしたら経路上に捕食者の痕跡や他の排泄物などを検知してそれらを避けるうちに長距離移動になってしまうのかもしれない。
・無風の方がライバルに見つかりにくいので、無風もしくは風が少なくなるタイミングまで転がし続けている可能性。
・付近に風が吹いている場合、風に平行な移動をするとライバルに臭いを追跡されやすい。風に直角になるように移動している可能性(注)。

注:
風の向きについて。まず、臭いは拡散だけではほとんど広がらないし同心円状に拡散する臭いは臭い元を意外と見つけづらい。特に、遠くからでは「臭いの濃さの変化」はどんどん少なくなり、方向決定は容易ではなくしばしば見失ってしまう。一方で僅かでも風があれば臭い元から臭いの濃さを残したまま空気塊としてやってくるので、その臭いを辿るだけでよい。そして、臭い元が移動する場合、風と平行していると結局見つけられるが直角に移動すれば臭い元が線形に広がっていき見失う確率が高くなる。

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