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日本政府のIT関連事業はなぜダメなのか

突然ですが、日本のIT関連事業ってホント駄目だと思いませんか?

・住民基本台帳ネットワーク → 情報漏えい、普及の遅れ
・クールジャパン/クリエイティブ産業 → 海賊版等のチェック、クリエイター保護はまだまだできていない
・日本年金機構 → デジタル化の遅れとデータ漏洩、記載漏れ
・マイナンバー制度 → 普及の遅れ、他サービスとの連携不足
・COCOA → 基本機能さえ未実装
・ワクチン予約サイト → 素人以下

政府主導でやると、どうもうまくないわけです。ところが、日本のIT技術者のレベルが低いのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。日本発祥のIT技術の中には、世界で通用するものも沢山あり、優秀な人は優秀です。

・TRONプロジェクト → リアルタイムOSとしては優秀でIEEE標準もある。
・プログラミング言語Ruby → 可読性の高い人気の言語として世界でも人気
・メルセンヌ・ツイスタ → 長周期、高次元、高速な擬似乱数アルゴリズム
・ガラパゴス携帯 → 独自技術としては面白く高機能
・任天堂等ゲーム会社 → 是非もなし
・多倍長整数の計算法、高速フーリエ変換の独自開発 → 高橋秀俊氏による画期的な成果
・世界初の郵便物自動処理装置の開発
・Camellia、EPOC、ECDSA署名など暗号技術の開発
・PC-8000、PC-9800シリーズ → Windowsが来るまでは非常に優秀なPCだった

は誇ってもいいと思います。じゃあなぜ政府主導だとあんなにコケまくるのか、素人ながら明らかな問題点を指摘したいと思います。

委託先にやらせて中抜きする会社がいる

COCOAの失敗で明らかになった問題点です。厚生労働省からCOCOA開発を委託されたパーソルプロセス&テクノロジーは、3億9000万円で契約しています。ところが、同社は実際の業務はほとんど行わず、3社に業務を3億6800万円で再委託しています。そもそも論ですが、「自分でできないくせに入札に参加するのがおかしい」です。厚生労働省は再委託比率を「原則2分の1未満」としていますが、それを破るどころか無視したこの委託率。市民からすれば、同社の1200万円はただの中抜きであり、合法的な横領です。一番気の毒なのは末端で、利用者サポートのイーガーディアン社は3788万円、保守開発のディザイアード社は405万円で仕事をしろとのこと。

ちょっと待って!405万円って優秀な技術者の半年分の給料にもならないんですが!!馬鹿にするのも大概にしてほしいですね!!

二社の委託元(パーソルの委託先のひとつ)であるエムティーアイ社は1億9093万円で受注して3788万円と405万円で再委託していますからね。差額の1億4900万円を何に使うんでしょうね。説明してほしいです。

プログラムの成果物は完成しないと評価できないが評価自体も難しい

プログラミングは目に見える成果物がなく、全てデジタルデータなのでプログラマー経験が無い人には仕事を評価する能力がありません。そのため、はっきりいえば優秀な人と無能な人を区別するのが難しいです。

料理人であれば、同じ道具と材料で料理を作らせて食べ比べれば能力を判断できます。素人でも有能な料理人と無能な料理人を見分けられます。

小説や漫画などでも、作品を出してもらえばすぐに判別できます。それが例え完結していないものであっても、面白そうな作品とそうでない作品は判別可能でしょう。

でも、プログラム・ソフトウェアの評価は素人にはとても難しいのが現状です。発注者にはほぼ無理でしょう。

低い給料では優秀な人を雇えない

優秀なプログラマは、現場の人間が一緒に仕事をしてみれば大体わかります。コミュニケーションに難がある人も多いですが、仕事の質は確かです。海外では年収が数千万のプログラマも珍しくありません。優秀な人はそれだけレアなんです。でも、日本ではプログラマで年収四百万以下というひどすぎる雇用条件が当たり前。

優秀な人は日本有数の最大手に就職するか、海外に出てしまうようです。そして残るのは残念なプログラマたち。安く雇えますが・・・残念です。

入札制度と相性が悪い

日本の官公庁のデジタル関連の入札は、ほとんど機能していません。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/87055

にありますが、入札自体が少なく、また発注者がプログラムに詳しくない以上、金額重視となります。優秀なプログラマを使おうと多めの予算を組めば、その企業は不利となり、こう言ってはなんですが、安いプログラマをこき使う企業に有利です。

これでは優秀なプログラマを生かす機会など来ないでしょう。なんとかしたいけど・・・

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