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聞き言葉と大阪弁と識字の衝撃

~♩♩しょっしょっしょーじょーじ。
しょーじょーじーのにーわーはー
つっつっつーきーよーだ
みーんなでーてーこいっこいっこいっ~♩♩

ぽんぽこぽんのぽーーん~♩♩


先日、祖母の誕生日だったので
久々に実家に帰ったら、朝ドラの話になった。
私は観ていないが、朝ドラでこの童謡の英語版の曲が流れていたらしい。

で、母が全力でこの日本語童謡を歌った後
…のアホ実家の会話。

母:しょじょじ、って何なんやろ?
私:私、その歌知らんけど、ショウ・ジョージさん?ジョージ言うてるし、外国人的な。
母:でも2番に和尚さん出てくるで。外国人出てこんやろ。日本ちゃう?
私:でも英語の歌あるんやろ?
母:せやけど、2番は和尚さん出てくるし!
私:んなあれちゃう?庄屋どんの別の言い方ちゃう?知らんけど!
母:あんたカシコいな。せやわ。
父:あほか、ちゃうやろ。寺や!しょうじょう寺。

(私、ググる)
私:寺やわ!証城寺やて!えーーー!!寺やて。
父:そりゃそーやろ。
母:えええええええ。寺なーーん!
父:うとて(歌って)たらわかるやろ。


父は序盤によく突っ込まんかったなーと思うけど
まぁ我が実家の日常会話なんて昔からこんなもん。
ミルクボーイさながら。


そんなこんなで、耳で覚えた言葉って
漢字で見た時に衝撃を受けたり
調べたらマジでか!っていう方言があったりする。

私はおばあちゃんっ子。
うちの祖母は根っからの大阪弁。

例えば

「今日、おとふ買いに行ったさかい、おかしんこーてきてんけど
このおかしん、ほんまもむないわー!結構ええ値ぇしたのに!!
あっこ、こんなん売るんやったらかなんわー!
もむないけど、今日はこれで、かんにんなー!」


もはや、大阪人でも
今や若い子、というか同世代(30代)ですら理解できない人が多いと思う。
これ全部平仮名で書いたら、なかなか酷い。
結構ハイレベルな呪文。
「おかしんもむない」ってドラクエの呪文ありそーじゃね?

ちなみにこれを今風大阪弁にすると


「今日、お豆腐買いに行くついでに、お菓子買ってきてんけど、マジ微妙!
結構いい値段やのに!!
あの店こんなん売るんやったらないわー!
美味しないけど、今日はこれで許してー!!」
と言っている。

私は漢字の読み方がわかるまで
豆腐はトフと思ってたし、お菓子はオカシンと思ってた。
これどっちも古い大阪弁。

ちなみに「豆腐」のイントネーションは
豆腐・お豆腐・豆腐屋で全部違う。
豆腐でゲシュタルト崩壊しそうなレベルで違う。
これは私も普通に「お豆腐」の訛りは使う。
だから多分まだ伝わる…はず。

「お菓子」のおかしんは
子供の頃から違和感はあったが、調べてみたら大阪弁だった。
ただ私の親世代(60代)ですら、昔の人(80代より上)は言うてたよーというかレベル。

そんなレベルの大阪弁で育った私。

こいさん、いとさん、なかんちゃん
おちょやん、おとんぼさん、ごまめ
もわかるレベルの大阪弁ネイティブ。

そんな私にも衝撃の言葉がある。

「ちょちゅぐゎい」

高校生の時、ミステリ小説にハマらなかったら
未だに漢字を見る機会もなかったと思うし
祖母の言うものは「ソレ」は、「本来のソレ」ではないし。

後日談として
母は「ソレ」の意図?を知っていた。
父は「本来のソレ」自体を知ってした。

私はその漢字を見て、え?もしかしたら?
と、辞書を引いて、心底驚いた。

「ちょちゅぐゎいって…蝶番!?」

衝撃を受けて、夕飯時に話したら

母は、ドアの鍵のことと思っていた。
父は、ドアの付け根?の金具と知っていた。
父は、母と私に「蝶番」の説明をしてくれた。

障子戸で育った世代の両親思い出談。
そこから「ドア」の話になった。

母:ドアなってから、部屋に鍵つけれてーん!
父:あー。せやな。ドアがギーーってなったら蝶番に油したよなー。
母:ん?ドアはギーーーってなるけど、鍵はギーってならなくない?
父:うんうん?
母:鍵にベビーオイル塗った!
父:……(絶句)あんた、鍵に油やってからも、ドアはギーギーなるでな?
母:言うてた!まぁあんま覚えてへんー!
父:うん?なんでもいいけども、あんたら、蝶番はこれやで?

「ちょちゅぐゎい」は蝶番だった。
祖母は未だに「ちょちゅぐゎい」と言うし
母はこの時まで、ドアの鍵のことだと思っていた。

その時ほど
「文字で言葉を認識すること」の重要性を認識したことはない。
未だに思い返しても衝撃。

祖母は達筆レベルで読み書きが出来るが
祖母の母(私の曾祖母)は文字を読めなかったそうだ。

識字の歴史に触れたような、触れなかったような
そんな思い出。

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