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三代続いた親子の確執 その14

夫・上野清とは、見合い結婚だった。初めて会った時に、相手はサラリーマンとは言え、農家の四男坊であり、私とは環境があまりにも違いすぎて、
父にお断りするように頼んだ。

父は相手を傷つけないように、このように伝えた。
「うちの娘は、魚屋の稼業を手伝うしかできないので、農家の嫁としては全く役に立たないと思う。なので、この縁談は無かったことにしてください。」

それに対して、未来の夫になる清は
「農家に嫁ぐわけではなく、サラリーマンと結婚してもらうので、もし結婚できたら、今までと同じに実家を手伝わせる。また、自分も休みの日には、稼業を手伝うので、結婚させてほしい!」と答えた。

父としては、婿養子とまではいかないが、私と清が稼業をこれからも手伝うという言葉に、心が動いたのだろ~二人の結婚がその時点で、決定した。

私の理想は、家を出てお嫁に行き、専業主婦を夢見ていたのに、あっさりとその夢が砕け散ってしまった。清は、将来自分が持ち家を持つために、いろいろと自分なりに計画していたのだろう。自分の給料はせっせと貯蓄し、休日には実家の手伝いを自ら買ってでて、その代わり、私たち家族を父に養ってもらうという、今思えば虫のいい提案をしたのだ。

そのおかげで、7年後には、土地を買って家を建てることができ、私たち5にん家族は、ようやく大家族から離れることができた。

そして、結婚して20年が過ぎた頃、突然夫・清は事故で亡くなるのだった。ある日突然、家族は貧乏のどん底に落とされることになった。というのも、清が生命保険が大嫌いで契約していなかったため、残された家族には、
生活の保障が全くなかったのである。

専業主婦だった私は、明日からどのように生きて子どもたちを養っていけばよいのか?途方に暮れる毎日が過ぎていった・・

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