チョコではなくラーメン中本だったバレンタインデー

 バレンタインデー…

 「義理チョコ」、「友チョコ」、「家族チョコ」…etc

 甘い思いをする人、苦い思いをする人、または何事もなかった人様々だったかもしれない。

 僕にとっての今年のバレンタインデーは、甘くも苦くもなく、それはそれはとても辛いものだった。

 仕事中に事故を起こし、思いを伝える前に失恋もしてしまい、辛く、嫌なことが続いた。

 まるで、辛ラーメンやラーメン中本のように

•火曜日の流れ

 今年のバレンタインデーのスケジュール 

 今年のバレンタインデーは火曜日だった。

 僕の火曜日のスケジュールは、まぁ忙しい。

 配送の仕事をしているのだが、他の曜日は平均70〜80軒ほどのお客様の家にお届けするのだが、火曜日は約100軒あり、それに伴い時間も掛かる。

 定時は8時〜17時なのだが、僕は7時には出社し、配達の準備を行い8時には出発するようにしている。それでも配達が終わって会社に戻るのは18時前になってしまう。

 特に、今年のバレンタインは推しの女性シンガーのバースデーライブがあり、それに間に合うように仕事を終わらせなければならなかったので、普段以上に時間と戦いながら、配達を行っていた。

•退勤前の悲劇!!

 時間に気を配りながら、僕はマシーンのように配達を行った。もちろん必要最低限、やらなければいけないノルマがあったので、普段より早く出勤し、18時前に帰社することができた。

 よし、片付けと事務作業をやっつけて早くあがろう。

 配達から戻った時の僕の純粋な気持ちだった。

 片付けと簡単な事務作業をもそこそこに、早く会社を出ようとしたその時、上司から「車両の位置を変えよう!」という余計な一言…

 早く帰りたいのに…開演に間に合わなくなるよ…

 そんな焦りとイライラした気持ちを、押し殺しながら僕は車の位置を動かすためにエンジンをかけて、前進させる

 すると、“ガーン”という大きな音、そして左前輪から感じる妙な違和感…

 すぐさま、車から降りて確認すると、左前輪のタイヤがペシャンコになっており、更には前方にあった会社の事務所が入居しているアパートの踊り場のような場所のコンクリートの角が粉々になっていた…

 完全なる、物損事故だった…やっちまった… 

•焦りと憤りの時間

 タイヤがパンクしたこと、踊り場を破損させてしまったことを直ぐに上司に報告する。

 お前…

 上司は、怒りはしなかったが、憤りというか「何てことしてくれたんだ」というような呆れたような感じで、僕にそう言った。

 まず、やらなければならなかったのがパンクしたタイヤを交換することだった。

 慣れない、というよりか、ほぼ初めて行う作業。スマホで車種の取り扱い説明書をネットで検索して、工具の入っている場所、取り出し方を調べながら作業を進めていくが、なかなか思うように上手くいかない…

 生憎、タイヤ交換が得意な先輩がいて、車両の修理関係のことはその方にお願いをしたが、僕の方は会社に提出する事故報告書の作成や、警察の立ち合いのもと現場検証を行ない、ただひたすら時間のかかる作業を片付けていた。

 ライブに間に合わないかもしれないという焦り、車両移動を引き受けなければ良かったという後悔の念で頭が一杯になっていた。

 結局1時間半は、事故対応で時間を潰してしまった…

•ライブ会場では…

 結局、ライブには間に合わなかったが、前もって誕生日プレゼントを用意していたので、それを渡すために会場には顔を出した。

 会場に顔を出すと、普段から一緒にお酒を飲んだり、フットサルをやる仲間達の姿があった。

 「遅いよ〜」、「ライブ終わっちゃったよ〜」、「何やってたの〜」

 久しぶりに会ったのだが、色々なことがあった僕を弄るような、それでも駆け付けたことを労うような言葉を掛けてくれて、直接歌を聴けなかった申し訳ない気持ちが、その時だけほんの少しだけ和らいだ気がした。

 仲間の中には女の子もいるのだが、僕はその子のことが以前から気になっている。

 年齢は僕より若干下。以前から話したこともあるし、LINEでのやり取りもあったので、僕はもしかしたらワンチャンあるかもしれないと何となく思っていた。ただ、自分からその想いを打ち明けることは出来ていなかった。

 そして、僕のそんな想いはこの日、崩壊することになってしまった。

 どんな、話の流れからかは全く記憶にないが、ある話の流れからその子に彼氏がいることを打ち明けられた。

 ショック!!

 事故も起こして、ライブにも間に合わず、おまけに想いを打ち明ける前にその機会をも奪われて、何とも言えない気持ちになる…

 その帰り道、お酒のせいもあるのかもしれないが、様々な感情が入り混じり涙ぐみながら家路に着いたのはよく覚えている。こんな負の感情で一杯になったのは久しぶりだった。

•事故と失恋と…

 ライブに間に合うように仕事を片付けたのに、不要な事故を起こしてしまい、最後には想いを打ち明ける前に失恋もしてしまった。

 甘くも苦くもない、ただひたすらに辛いバレンタインデーだった。

 事故を起こしたことに関してはまだ引きずっている感がある。それまでは何とも思っていなかったことが、「怖い」と思うようになったり、すんなりできていたことがちょっと時間が掛かるようになった。現時点では、悪影響を与えているのかもしれない。

 失恋に関してはもう吹っ切れた。あまり、深いことは考えず新しい出会いを求めるようになったし、直接な出会いだろうが、今流行りのマッチングアプリだろうが関係なくなった。

 ひたすらに辛かったバレンタインデーが美味しく感じれるようになったらなと、今は率直に思っている。 

 
 


 

 

 


 

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