百人一首を好き勝手に現代語訳してみた（76から100）

76 わたの原漕ぎいでて見ればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波
あれ雲？波？目の前青すぎてなんもわからん


77 瀬を旱み岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ
川瀬を駆け抜ける激情が、もつれながら苔むした岩にぶつかって引き裂かれていく。僕らは、この先で待ち合わせしよう。合流して、海になって、溶け合っておだやかな愛を誓おう


78 淡路島かよふ千鳥の鳴く声にいく夜寝覚めぬ須磨の関もり
淡路島から飛んでくる千鳥は、誰が恋しくて鳴いているのだろう。うすぼやけた視界に響く悲しみの声が、いつか眠る人を覚めさせただろうか。私の沈黙は、海を越えただろうか。


79 秋風にたなびく雲の絶え間よりもれいづる月の影のさやけさ
「影」は、もともと「光」という意味だったことを知っていますか。夜雲が秋風にたなびいて、そのすきまからは月華がさします。君の眩しさも深淵も、僕には等しく「影」であることを知っていますか。


80 長からむ心も知らず黒髪の乱れて今朝(けさ)はものをこそ思へ
寝転んで、Instagramのストーリーを右側に連打して、ご飯を食べるマルチーズにハートなんか送って、けれど心はおかしくなりそうなの。ベッドの上から動けずにいます。君が乱していった黒髪をそのままに。


81 ほととぎす鳴きつるかたをながむればただ有明の月ぞ残れる
ほととぎすの初音きたこれ、やっと夏来た、うれしすぎ、どこにおるん、あれ月しかないやん


82 思ひわびさても命はあるものをうきにたへぬは涙なりけり
跡つく間もなく頬で涙が震え続ける。あなたに愛されないのなら、永遠の生も死も意味がないの。


83 世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
地球はどうせ袋小路の溜まり場で、安寧なんてどこにも落ちていなくて、彷徨った先の山奥に鹿が悲しく泣いている。伏せられた長いまつげが揺れて、僕は泣くこともできなくて。


84 長らへばまたこの頃やしのばれむうしと見し世ぞ今は恋しき
この世とは一生更新され続けるしんどみを背負っていくという地獄なのか？


85 夜もすがらもの思ふ頃は明けやらでねやのひまさへつれなかりけり
どうして好きになってくれないのとか、他に好きな人がいるのとか、勝手に好きになったのに欲ばりになってどうしようとか、好きになれただけで幸せなのかなとか、君がずるい人だから好きになったんだって思いたくないなとか、夜は長くて、お布団もよそよそしくて


86 歎けとて月やはものを思はするかこち顔なるわか涙かな
月が私を泣かせるの。あふれてとまらないの。ずっとずっと苦しいの。でもほんとは、君のせいなんだよ。


87 むらさめの露もまだひぬまきの葉に霧たちのぼる秋の夕暮
群雨が行ってしまって、露をまとった葉に霧がかかる。空気はすぐに装いを変えてしまう。つるべおとしの水音が聞こえる。


88 なには江のあしのかり寝のひとよゆゑ身をつくしてや恋ひわたるべき
たった一度の可惜夜に、骨抜きなんよ


89 玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする
魂と肉体の断絶が、たったひとつ、このたちの悪い慕情を永久にする方法なのです


90 見せばやな雄島のあまの袖だにも濡れにぞ濡れし色は変らず
私の服の袖を見る？あなたを思って流した血の涙で色が変わってしまったのだけど。いや、ぐろいとか言うてんと。


91 きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろにころもかた敷きひとりかも寝む
君が貸してくれた服はあんなにあたたかったのに、ひとりぶんの霜夜では、ぬくもりを思い出すこともできないな。


92 わが袖は潮ひに見えぬ沖の石の人こそ知らね乾(かわ)くまもなし
誰かさんのせいでずーっと泣いてる。もうずーーーーっと。


93 世の中は常にもがもななぎさ漕ぐあまのを舟の綱手かなしも
千代に続きますように。さざなみや、永遠への憧れや、営むことが。


94 み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒くころも打つなり
古都の栄華もなりを潜めた冷ややかな秋の夜、赤ぎれた手が固い着物を打つ音が響く。


95 おほけなくうき世の民におほふかなわが立つそまに墨染の袖
恐縮ながら、全員救うことを宣言します。君も含めた、全員。


96 花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり
風の誘惑に敗北した桜が水たまりに打ちつけられる。惨めな花びらは、老いた私によく似ている。


97 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎにやくやもしほの身もこがれつつ
すしらーが塩を1500度に熱した動画知ってる？あんた来おへんから、私の気持ちもあんな感じと言うのは少し過言


98 風そよぐならの小川の夕暮はみそぎぞ夏のしるしなりける
夏の儀式。スイカ割り。ブランケットのおひるね。うごめく日傘の黒い群れ。黄色いAラインのワンピース。洗濯物を干しながら、今日はよう乾くわーってお母さんが言う。おかしいな。私の素肌には秋が来ているのに、人々はまだ夏の中にいる。


99 人も惜し人も恨めしあぢきなく世を思ふゆゑにもの思ふ身は
人間はこんなにも疑わしく、あえなく、うるさく、えぐくて、愛おしい。


100 ももしきや古き軒ばの忍ぶにもなほあまりある昔なりけり
栄華は死ぬ、のだろうか

おまけです