クロック

午前1時 君は大きな声で泣いて、その時一生懸命にボクの手を握った。花瓶が割れる音が聴こえた。

午前2時 君はラッパのように笑い、これまたラッパのように大きな声で泣く

午前3時 君は泣きやみ少し背伸びして、大きな足音をたてた。

午前4時 君はまだ少し眠そうだけど、クラウチングスタートで一直線に走って行く。

午前6時 君は壁にぶつかっておでこを腫らした。ここからが大勝負。

午前8時 君から春の暖かくて柔らかい匂いがした。嬉しそうに照れくさそうに笑った。

午前10時 小さな蕾ができた。咲くのが待ち遠しい。

午前12時 ここからは後半戦。外は晴れてて眩しい。僕は夜更かししたので、だんだん眠くなってきた。

午後1時 君は僕をおぶった。スイスイと進んでいく。やがて色は廃れる。

午後2時 僕は実況席に移るよ。一番の特等席にね。君はまた大きな声で泣いた。僕の手を握って。

午後3時 外はまだ眩しい。暖かい。君は3人で手を繋いで歩いた。

午後4時 そろそろ暗くなってきた。君は『日が落ちる前に帰ろう』と言った。足音が小さくなる。

午後6時 今日の夕飯はなんだろう。君の好きなカレーライス。半分だけ食べた。

午後8時 新しい蕾が咲いた。枝分かれの先にもう1個。

午後9時 周りの人が言った。『明日は晴れだよ。』顔がぐしゃぐしゃになった。

午後10時 寝る時間だ。準備をしなきゃ。君はまだ頑張る。

午後11時 星が流れた。大きな空に吸い込まれそうな小さな塊に祈りを捧げた。君はよく頑張った。

0時 君と僕は言った。『頑張れ。』

そして、次の日がやってくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?