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金魚の巻

 昨年の佐藤家トレンドニュース第一位は、金魚がやって来たことだ。遙か昔に金魚すくい出身の金魚との暮らしを体験したことのある佐藤さんだったけれども、今回は、ひと味違う。とは言ってももちろん味覚ではない。

 金魚すくいの金魚は「小赤(和金)」と呼ばれ、先祖がフナのため、まさに魚っぽい雰囲気の魚だった。
 今回の子たちは、「琉金」と「丹頂」。元々琉金は小赤同様日本の子だが、丹頂は中国由来の子だ。

 琉金は、多くの人が金魚と聞いて思い浮かべるであろう、ザ・金魚とでも呼びたいほど金魚らしさに溢れた、朱色で丸っこい姿をしている。

 丹頂は鳥のような名前だが、立派に魚類だ。全身白く、羽衣のようにふわふわとして透明感のある尾びれと、頭の上に載っているコブのような赤いつぶつぶが特徴だ。気になる赤いつぶつぶは、とびっこという小さな魚卵を想像してもらえば分かりやすいかもしれない。また、小赤は、すばやい泳ぎだったが、今回の二匹は、どちらもえっちらおっちら鈍く泳いでいる。金魚といえど、佐藤と加藤くらいの似て非なる違いがあるようだ。

 前を通り過ぎる度に寄ってくるのに、満腹時には素っ気なくお尻を向けてくるツンデレさ。水槽内が余程暇なのか、日に何度となく目にする欠伸……と思われる大きな口開け。微動だにしないで何もない所をじっと見つめている……と見せかけて眠っているだけであろう姿。優しく話しかけると、およそ挨拶も愛想も微塵も感じられない、むしろ何か文句でもあるかのような激しさで行われる口パク……

 すべてにおいて愛おしい。新年早々、佐藤家の虎の子ともいえる金魚のお話でした。

きんぎょ

#2021年の出会い

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