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第5話 MIBだったもぉぉぉ

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 宇宙歴×××年、惑星ノースシードウに住むカーウタン星人は異星人グレイノテールの侵攻により滅亡の危機に陥っていた。残された数少ないカーウタン星人は惑星ノースシードウを捨て他惑星に避難を試み、散り散りになったのである。
 
「その生き残りのうちの一人がわたしなんだもぉぉぉ」

 牛頭の地球外生命体が話を終え、俺らは沈黙した。話を信じる信じないは置いておくとしても、宇宙船に捕らわれたのはこのカーウタン星人という生命体のせいであることだけははっきりとした。
記憶のない状態で無人島に漂流し、超能力者、未来人、宇宙人を自称する連中に惑星間のいざこざに巻き込まれるなんて不運としか言いようがない。せめて願うならこれ以上の面倒ごとが起きないでほしいと思う。

「それで、逃げてきたということは地球でどうするつもりだったんですか」

 能登が冷静なトーンで尋ねる。すると頭部を掻きながら牛は口を開いた。

「実は地球の組織で保護していただく約束を取り付けていて、あの島でその組織の方と落ち合う約束だったのだもぉぉぉ」
「組織ですか」
「そうだも、何だったかなも。たしか名前は」

 と、牛が言いかけたところで大きな揺れに襲われる。それも一度ではなく何度も連続してだ。見えていない外側で何かが起きているのは明白だった。

「いったいなにが起きてるんだ」

 次から次へ起こる展開に思わず言葉が口に出てしまった。それに反応するように灰原が答えた。

「定期交信が途絶えたため、緊急事態と認定された模様。味方による攻撃が開始されたと推測されます」

 彼女の言葉が終わるとともに一番大きな衝撃が襲う。死んでしまうかもしれないと本気で思った。

「おい灰原、攻撃を止めさせろぉぉぉ」

 敬称なんてつけてる暇もなく俺は彼女に叫ぶ。その間も大小ばらばらの揺れが絶え間なく続く。常夏のアイランドだった場所は警報と赤いランプが響きあう場所に様変わりしていた。この宇宙船が落ちるのも時間の問題か、と頭の中で考え始めたとき牛が声を上げた。

「思い出しもぉぉぉ、組織の名前は」

 直後に轟音が響き、体に浮遊感が生まれる。

「MIBだったもぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 叫びにも似た牛の言葉に俺は答えるようにして叫び声をあげた。

「いま言うことじゃねぇだろぉぉぉぉぉ」

続く
 
担当:志央生
 
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