金色の音
長女は吹奏楽部員だ。
昨年は様々な行事が自粛や縮小などされたが、今年は感染症対策を徹底して、行われた。
コンクールの前にホール練習というのがあった。
保護者のみが遠くの座席から見学が許されたので、肉眼で吹奏楽部の皆さんと娘の演奏を初めて味わう。
まず照明の点った舞台の雰囲気に、はるか昔に演劇部員だった私はうっとりする。
(いいなあ!ライト浴びるの気持ちいいよね〜)
吹奏楽部の顧問の先生は背筋の伸びた凛とした女性で、声がしっかり通ってかっこいい。
練習は何小節かずつ、区切って行われた。
この指導内容がとても素晴らしかった!
まず曲のビジョンの口頭説明がとてもわかりやすい。
つぎにこちらの先生、どれだけ音がぶれても、駄目とか、出来ていないとか、合ってないなどの、ネガティブワードを一言も言わなかった。
素人は、子供のやる気を削ぐセリフを言ってはいけないと解っていてもつい口に出してしまう。(私は余裕がなくなると子どもたちに、〇〇出来てないじゃん!何で?と言ってしまう………反省)
部員もみんな真剣で、他のパートの練習も大人しく待機できるし、先生の指導についていこうという雰囲気が見て取れる。何より団結力がある。
ホール練習を経て、つい先日コンクールが行われた。結果は銀賞。
私は、賞がいただけたなんてすごい!すごい!と帰宅した娘に飛びついたが、娘は心密かに金賞を目標と掲げていたらしく、「金賞が欲しかったのに」とつぶやいていた。
そもそもは、娘の内向的な性格を危ぶんで(人間は嫌いではないが、孤独が好きで、ルールから外れた行動をとることを憎んでいる。ゆえに友人がとても少ない)吹奏楽部を薦めたが、楽しみながら協力しあってひとつの曲を作り上げている様子が見れて、とても安堵したし、親としては嬉しかった。
この先娘が生きていく広い世の中には、性格が合わない人も、好みが合わない人も、価値観が合わない人もいる。
独りでバランスを保てるのは長所だと思うけれども、力を合わせて大きなものを作り上げるという体験をして欲しかった。
だって一人で出来ることには、限りがあるから。
キスだって、【一人じゃ誰もできません】から。(byつんく/ロボキッス 歌詞より)
若人たちが奏でる生命力溢れる音楽は、とても活き活きしていて、金色の楽器たちとともにその姿はキラキラ、輝いて見えた。
素敵な音楽を聴かせてもらった、今年の夏の素晴らしいひとときでした。
2021年度課題曲