ケツイがみなぎった。

一番上の娘の最近の口癖である。
彼女は今、undertaleにはまっている。

有名なのでここで言うまでもないが、2015年に当初パソコン向けで発売された、アメリカ生まれのゲーム。



ほぼ一人で開発された由縁か世界観に破綻がなく、その中へプレイヤーを閉じ込めてくれる。

ストーリー、ゲームシステム、音楽、キャラクターなど味わい深くバランスが良い。
どこかで出会ったような謎の懐かしさを漂わせつつ、だけど間違いなく鮮烈に初めましての、作者の好きを色とりどり詰めたお菓子箱みたいな、そんなゲーム。

娘はこの作品の、サンズという名前のガイコツの男の子が大好きだ。
彼女はルールを破る行動や行為を憎んでいるので、彼の放つセリフに、ときめくらしい。

私も同じ年代のころ、仙水というキャラのセリフ(※文末)にいたく感激したタイプなので、そろそろ世界が見えてきた年齢の彼女の日頃の葛藤が、作品で描かれる嬉しさは理解できる。


ハマるがあまり、この作品の曲をハミングで何小節か歌っては「お母さん、この曲知ってる?」と聞いてくるからひそかに大変だったりも、する。
(永遠には続かない今ひとときだと思えば楽しい)

娘が公文の宿題をするときはいつもundertaleの曲が部屋に満ちている。
落ち着いて数式がスラスラとけるそうである。
ちなみにゲーム音楽を作業用に使うのは私も良くやる。


娘に、「アンテの中で一番好きなキャラは誰?」と聞かれた。




それは瞳がつぶらで白くて大人しくて謙虚、
音楽を愛し、他人を愛し、
(自分に自信がなく友だちは作れないようだ)
けれどきちんと自分の家を構えて日々心穏やかに暮らしている、すてきなおばけ。

作中で主人公は彼の家を訪れることができる。
おばけサンドイッチのおもてなしのあと、彼から提案されるのだ。

「床に寝転んでゴミみたいな気持ちになるのが好きなんだ」
一緒に床に寝転ぼうという、お誘いである。

思わずゲームの外のリアルの私も床に寝転んだ。
猫背なのでたまに硬い床に寝転ぶと、まっすぐ伸びて気持ちいい。

すると少しずつゲーム画面の背景が変わってゆく。
一分ほどの間に二つのキャラクターが宇宙の星々に浮かんだ。

こんなのは初めてだ、と思った。
他に何もない、ただ2つの存在で、隣に寝るだけで、宇宙を感じさせてくれるなんて、なんて人(おばけ?)だ。

その考え方、好きだなあ。

Napstablook(ナプスタブルーク)君。
長いため、略して「ブル」君と呼ばれている。
わたしは個人的にナップ君と呼んでいる。
napは英語でお昼寝らしいからぴったりだ。

どこから魅力的な存在が現れるか、人生はわからないものだ。

若い頃は生きることが下手だったけど、年齢を重ねるごとに好きなものが増えていく。それが単純に嬉しい、この頃。



※世の中に善と悪があると信じていたんだ。戦争もいい国と悪い国が戦っていると思ってた。可愛いだろ?だが、違ってた。オレが護ろうとしたものさえクズだった
(幽遊白書単行本17巻P70より引用)