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未掲載エピソード#04「電気とのお付き合い」

このお話は現在発売中の「都会を出て田舎で0円生活はじめました/田村余一・田村ゆに」を出版するにあたって田村ゆにが執筆したエピソードです。本には掲載されず、書いてから約1年経ってみると現在の心境は少し変化しているのですが、せっかくなので公開します。

本の方は、田村余一のポップでわかりやすいエピソード満載です!
まだ読まれていない方はぜひお手にとってご覧ください♪

未掲載エピソード#04「電気とのお付き合い」

オフグリッド暮らしを始めてから4年がたつ。今の小屋にはじめてソーラーパネルを設置した2017年。スイッチ1つで小屋の電気が点いたとき、これまで当たり前だったはずなのに初めて電気を見た人みたいに夫婦で喜び合ったのを覚えている。

改めて思う。電気は便利だ。

照明や家電、インターネットが使えるようになって生活は豊かさを増した。そんな時代の流れを社会の教科書に書いていそうな文章としては知っているけど、実際に電気がない暮らしからスタートすると心からありがたさを理解できる。

まだ電気も物もない2017年

ランプに火をつけてその灯りで過ごしていた夜。それはそれで幻想的だった。

まだ子どももいなかったので、炎の揺らぎを感じながら、一層深く感じる静けさが心地よかった。

ただし出来ることが限られるので、のんびりと何もしないことを楽しめる余裕があれば最高だけど、現在やる事だらけのわが家は、夜の照明、家電、インターネットなどほどほどに電気に頼って暮らしたいので今のスタイルに落ち着いている。

最初にうちで導入したポータブル電源は「suaoki PS5B」容量120000mAh /400Wh。それに、薄くて持ち運びもラクなソーラーパネル2枚でスタートした。

設置した2017年

生活レベルで表現すると、LED照明やスマホ、ノートパソコンの充電には十分使える。太陽の陽射しがガンガンでMAXの発電量が出る時なら、一気に電動工具などに使えるバッテリーを充電しておける。

ただ熱が出るような家電(ヒーター、ドライヤー)や大型(テレビ、冷蔵庫)はほぼ使えず、二層式の洗濯機がギリギリ動くレベル。(たまにエラーで止まる)

イメージがつかない方に流れをご説明すると、太陽光パネルで光エネルギーを集めてそれをポータブル電源(蓄電池)に電気エネルギーとして貯めておく。

使う時は、USB、DC(コンセント)、シガーソケットと対応しているのでポータブル電源に機械のコンセントを差せば普通に動かせる仕組みだ。

パネルもsuaokiのポータブル電源も、女性一人で楽々持ち運びできるサイズと重さなので、設置の大変さはない。

ただ、電気の容量としてはかなり節約思考な一人暮らしであれば現実的だけど、家族が増え子育て世帯だと、いつでも自由に電気を使えない不便さが負担になってくる。

オフグリッドにすることで、電気契約から解放されても別のストレスで生活が継続できなければ意味がない。

目指すのは我慢して成り立つ節約暮らしではなく、多少の手間は気にならないと思えるレベルで、社会から自立した豊かさを手に入れる事なのだから。

自然と共に生きることは、人間の都合でスケジュールを立てられないことでもある。

例えば1日晴れの日があると、午前中でポータブル電源のバッテリー容量は満タンになる。しかしあるからといって、1日に何回も洗濯するわけにもいかないし明るいうちに照明はいらない。

余裕があると思えばくもりや雨が続くタイミングで洗濯機を回すと、1回で半分近く電気の残量が減るのでその後はチビチビと使うことになる。

天気の悪いときに洗濯と電動工具の充電が重なれば一気に電気貯金がなくなり、やりたいタイミングで家事や仕事を進めるというよりは電気の残量と相談することも度々あった。

Suaokiだけで、生活できないことはない。しかし、制限付きの暮らしが時に自分達の負担になることも事実だった。


そんなわけで、なんとかやってきた我が家だったけどSuaokiを購入して3年が経つ2020年。旦那がクラウドファンディングで面白い企画を見つけた。

「MonsterX」という、今までにない大容量のポータブル電源が発売されると言うのだ。

容量1700Wh、出力2,000wを実現。これまで不可能だと思っていた、電子レンジやドライヤーはもちろん、なんと電気自動車まで充電できる!というから驚いた。

その頃ちょうど給付金が入るタイミングで、悩んでいた旦那に「すぐに買おう!」と、同意した。

MonsterXが来ると、これまでの暮らしの不便さが一気に解消され、お料理ではミキサーやホームベーカリーが活躍。電動工具もバッテリーの充電だけでなく、直接コンセントを繋いで丸ノコを動かすことだってできる。エラーのたびに電源を入れ直していた洗濯も、止まるストレスがなくなった。

クラウドファンディングで購入したというのもあり、不具合で3回の交換があったけど毎回アップデートされた新品が届くので使えない数日間の不便さを除けば買ったことに後悔はない。

今は電気分野でストレスなく、余裕を感じるほどだ。

使えるからといって、電子レンジやドライヤー、TVやエアコン、大型の冷蔵庫が欲しいかといえばNOだしそれらをつなぐと、あると思っていた電気はすぐになくなる。

家電や電気に頼りっぱなしの暮らしから、必要最小限の電気だけになり、意外と使わなくても生きられることがわかった。

電気貯金が増えたからといって使う量を増やせば、使うのが当たり前になり再び電気貧乏が訪れる。

お金にも通ずるけどより良い暮らしのために収入を上げるんじゃなくて、そもそも使わないように工夫することは暮らしに余裕を持たせるための新しい視点だと思う。

そんな社会のアップグレード作戦に、もう騙されないぞ!と学んだ私たちは、ほどほどに電気に頼りつつ、いざという時に自分の身は自分で守れるようにスキルをアップグレードして生きていきたい。

サスティナブルな暮らしを、一緒に実現していきましょう!