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紙の日記帳のはなし

人には、消せない過去があります。
それがある限り、どんなに今の僕が偉そうなことを書いたところで、過去から手に何かを持って走ってくる自分自身の闇から逃れられはしないのです。

それは闇歴史。

僕にとってのそれは、タイトル通り、中学時代につけていた日記帳でした。


それは、黒い日記帳でした。
恐ろしいことに、学生の割には立派な装丁の日記帳で、ちょっとした本のような形をしていました。もっとも、そんなシロモノだからこそ、僕も捨てるのを忘れていたのですが。
中身を思い出す前に、なんだろう、とうっかり開いてしまい。

瞬時に、開いてはならないものを開けたことを悟りました。

内容も酷いのですが、とりあえずは横に置き。
何故か、ブルーインクで書かれています。
これを見返すまで、ブルーインクの万年筆を持っていたことをすっかり忘れていました。

持ってたよ、確かに持っていた。
祖母にクリスマスプレゼントで買ってもらった万年筆だよ!!
横浜高島屋で買ってもらった万年筆だよ!!!

中学生にもなって自分からクリスマスプレゼントを買わせにいくスタイルも死にたくなりますが、デパートで買ってもらった辺りも微妙に鼻持ちならなくて最低です。

しかも、選ぶインクが青。

これには理由があって、その時読んでいた本の誰かがブルーインクを使っていたため、僕の中でブルーインク=カッコいいみたいな方程式があった訳です。

ブルーインクの何がカッコいいのか。
万年筆で日記帳、そこにこだわりのインク。
当時のことなど大して覚えちゃいませんが、相当悦に入っていたことだけは、間違いなく。

しばらくのたうちまわりたいくらいの闇歴史案件として飛び出したそれは、何ゴミに分類していいのか分からず、未だ実家に封印されています。

え? それでさておかれた中身は、ですって?

……それはまた、機会があれば、ということで。