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「わからん生えた」

2021年12月14日のエッセイの再掲です


親知らずがかなり生えてきている。
毎日、あー、生えてきてるなー、と思っている。
上の歯に一つと、下の歯にが二つ生えてきており、下のはどうやらかなり横向きになっている。
特に右下の親知らずに押し出された歯茎が、行く宛てを見失い、肉塊として残っていてなかなか気持ちが悪い。
微かな痛みもあるので、そろそろ歯医者に行った方がいいなと思っている。
思ってはいるが、実際に行く気には全くならない。
親知らず生えてきてるなー、と最初に思ってから、もう一年は経っている。

親知らずというものが存在することを、親知らずが実際に生えてくるよりずっと前から知っていて、生えてきたときには抜かなきゃいけないらしいと刷り込まれているから、歯医者に行かなきゃと思うわけだが、知らなかったら全然気にしないだろうなと思う。
そもそも、親知らずという名前からしてあまりに変わり者過ぎて、緊迫感に欠ける。
そういうことをうだうだと考えては、歯医者に行くのを先延ばしにしている。

ところで歯を抜くときは麻酔をするわけだが、麻酔が効くメカニズムが判明したのは数年前のことらしい。
つい最近まで、よくわからないけど効くから使っていたということだ。
聞けば恐ろしいそういうことが、案外他にも身近に結構あるのかもしれない。
それにしても、麻酔が必要なほどのことを人体に行うというときに、麻酔が切れた後に失神するほど痛みを感じたりしないのはどうしてなのだろう。
よくわからないけど、よくわからないから、麻酔のことを信頼するしかない。
来年には歯医者に行こうと思う。


かや


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マガジン『榧乃徒然』にて、毎日エッセイと日記を書いています。
今回のエッセイは、こちらの記事の抜粋による再掲です。


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この写真は、《なんか道》

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