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幻に消えた帝国劇場ミュージカル「エリザベート」観劇

ATTENTION


※ミュージカル「エリザベート」の東京公演中止に関する内容です。
観劇予定の公演が中止になった為、自分の気持ちを昇華させるために書いています。
何かしら地雷のある方、自衛してください。


ミュージカル「エリザベート」東京公演中止に触れて


本来であれば、今頃歓喜に沸いたnoteの記事を書いていたはずだ。
推しの帝国劇場デビュー。
そして、出演を熱望していたルドルフ皇太子役をしっかりと目に焼き付けて、ここが良かった。あそこが素晴らしかったと感情が赴くままキーボードを打ち付けていたはずだった。

だが、それは露と消えた…。
2回目の中止のアナウンスがあった時に、正直東京公演の千穐楽は絶望的だろうと思っていた。
なので11月24日に千穐楽までの公演が中止になるとアナウンスされた時に「あぁ…やはり」という気持ちで、スマホ画面に表示されたご案内ページを眺めていた。

私の初日は11月26日で千秋楽が11月27日の予定だった。
一番最初に取れたチケットが11月26日で、その後運よく東京楽の補助席のチケットが当たった。
まさか東京楽が当たると思っていなかったので、とても嬉しかったことを覚えている。
何より、1月末に本公演の情報公開があった時から、「エリザベート」を観ることを今年一番の楽しみに過ごしてきた。
初めて帝国劇場に行くので、張り切ってお洋服を仕立てたし、袖を通す日を楽しみにしてきた。そんな風に準備をしてきた時間が長かったせいもあり、中止発表を受けて行き場のない感情を抱えたまま深い悲しみに沈んでいた。
「前を向いていく」という推しのツィートに、まだ前を向くことが出来なかった私は少しだけ取り残された気持ちになっていた。

中止が発表された24日は、観劇の為に上京する前日だった。
コロナ禍になって初めての東京。実に三年ぶりの東京だったが、メインがごっそりなくなってしまった。
どうやって3日間を過ごそうかと思いつつ本当に久しぶりに飛行機に乗った。

東京についてホテルに荷物を預けた後、真っ先に向かったのは帝国劇場だった。
観劇の際に絶対に写真を撮ろうと思っていたアクリルカードとアクリルスタンドを握りしめて写真を撮った。


固く閉ざされた劇場の扉に、公演期間中にこの扉が開くことは無いんだなと切なくなったが、撮りたかった写真を撮ることは出来た。
客席に座ることも舞台を観ることも出来なかったけど、ここまで来ることは出来た。
期待も無念も寂しさも全部ここに置いていこうと思って劇場を後にした。

その後の東京での時間は、前向きに過ごすことが出来た。
日比谷がショービズの聖地ということも分かったので、また是非訪れたい場所の一つになった。
そして、地元に帰る前にもう一度帝国劇場に向かった。
初日に撮れなかった別角度で写真が撮りたくなったからだ。
私のようにアクスタやアクカーを構えてお写真を撮っている方がいて、「そうだよね」と勝手に共感していた。


空港に向かおうと駅に向かう時にふと思い立って、劇場の前を歩くことにした。
ちょうど搬出のタイミングだったようで、閉ざされていた劇場の扉が開けられ、その向こうに客席が見えた。
まさか、客席を見られると思っていなかったので驚いたと同時に嬉しかった。
道路に大型トラックが止まっていたのできっと搬出作業が行われていたのだろう。
本来なら…今日する作業ではなかったはずなんだよな…とやっぱり少し寂しくなったが、とてもいいタイミングで劇場前に来れたのかなとも思ったのだ。

今回の東京公演の中止は誰が悪いわけでは無くて、決められたルールの中で決定された最善策だと理解しているのだけれど、出演者の方が他のステージに出演される情報や劇場にお片付けに行かれたという話を見かけるたびに、どうにか上演する手立てはなかったのだろうかと思わずにはいられなかった。
仕方ないと分かっていても楽しみだった気持ちが大きかった分、どうやってその楽しみにしていた気持ちに折り合いをつけていったらいいんだろうと途方に暮れたし、正直泣いた。
けど、カンパニーの皆さんはそんな【大きな悲しみ×観劇予定だった人数分】の想いを受け止めた上で、舞台に立ち続けていかないといけないと思うと、大変なプレッシャーの中でお仕事をされているんだなと改めて考えることも出来た。

東京で過ごした3日間。
行きたいお店に行って、買いたかったものを買って、会いたかった友人に会えて、観たかった別の舞台を観劇して、と非日常に浸った時間が、自分にとっていいリフレッシュになった。
ずっと皇太子のアクスタを持ち歩いて色々と写真を撮ったりしたことで、ほんの少しでもエリザ充が出来たのかもしれない。
だから、東京を離れる時には東京に来て良かったと思ったし、またきっと推しが帝国劇場の舞台に立つ日がくるので、その時を楽しみに待とうとようやく気持ちを切り替えることが出来た。
そんな風に気持ちが前に向くことが出来て、降り立った地元空港。
スマホの電源を入れたらインスタの通知がきた。開いたら、今まさにその瞬間に推しがエリザについてストーリーズを更新していた。
なんというタイミングなのだろう。
エリザへの気持ちを昇華するために出かけた旅の最後に気持ちを向こう側へ送ってくれるのは推しなんだなと思うと、もうこれからもついて行くしかないなと思ってしまったオタクだ。

そして、今日チケットの払い戻しをしてきた。
写真は残したけれど、半券は残らないので、本当に幻になってしまったなと少しだけしんみりした。
エリザベートの観劇の為に仕立てたお洋服は、結局袖を通すことが出来なかった。
エリザの為にと思っていたので、どうしても着る気になれなかったのだ。
福岡公演のチケットがご用意されているので、それまで大事にとっておこうと思う。

SNSで御園座でのお稽古が始まった様子を拝見して、いよいよ地方公演が始まるのだ実感が湧いた。
どうかこれから始まる愛知、大阪、福岡公演の幕が無事に上がってカンパニー全員で大千穐楽まで完走できることを心から願っている。

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