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プラ新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)施行(2022年4月1日)を控えて

ホテル・旅館業界を騒がせている所謂プラ新法(正式名称:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」。以下「法」といいます)ですが、施行を控えて、ホテル・旅館業に関連する部分について備忘録的にまとめてみたいと思います。

1.プラ新法って何?
プラ新法は、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じるものであると説明されています。
①設計・製造→②販売・提供→③排出・回収・リサイクル→①へ~というような循環型の仕組みを作ることが目的となっているということのようです。

2.どこがホテル・旅館に関係するの?
おそらく、直接のインパクトは、「特定プラスチック使用製品」の使用についてだと思われます。
「特定プラスチック使用製品」は、主務大臣が指定することとなっているのですが、今のところ、ヘアブラシや歯ブラシなどの1回使い捨てのプラスチック製品という感じです。
基本的には、指導・助言(法29条)のレベルですが、多量提供事業者(前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上の事業者)の場合には、勧告・公表・措置命令(法30条1項~4項)も可能となっています。

(特定プラスチック使用製品)※宿泊業に関するもの
・ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ
・フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー(宿泊業の他に小売業や飲食店、テイクアウトサービスなどの業態も対象業種に含まれています)

環境省資料
https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/gorika

3.実際の対応
上記2.でまとめたとおり、ヘアブラシやかみそり、歯ブラシといったプラスチック製品は、アメニティとして部屋付で提供されていることがほとんどかと思います。
そういったホテル・旅館は今後どう対応したら良いのでしょうか。こちらも、プラスチック製品の使用の合理化として取り組みの方向性が示されています(上記URLの環境省資料で確認できます)。

【提供方法の工夫】
・消費者にその提供する特定プラスチック使用製品を有償で提供すること
・消費者が商品を購入し又は役務の提供を受ける際にその提供する特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供(ポイント還元等)すること
・提供する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認すること
・提供する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促すこと
【提供する特定プラスチック使用製品の工夫】
・薄肉化又は軽量化その他の特定プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類(再生可能資源、再生プラスチック等)について工夫された特定プラスチック使用製品を提供すること
・商品又はサービスに応じて適切な寸法の特定プラスチック使用製品を提供すること
・繰り返し使用が可能な製品を提供すること

(対応例)
・【提供取りやめ+有償提供】THE THOUSAND KYOTOでは、アメニティの提供を取りやめ、アメニティをお忘れのお客様には、環境に配慮した客室アメニティを有償で販売することしています。
https://www.keihanhotels-resorts.co.jp/the-thousand-kyoto/plan/stay/sdgs-no-plastic.html
・【アメニティバイキングへの切替】ホテルウィングチェーンおよびテンザホテル(株式会社ミナシア)やジェイアール西日本ヴィアインホテルグループでは、アメニティバイキングを導入する形で対応を予定しています。
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/852806
https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/176563/CUSTOM/G176563210430143057.html
・【環境配慮型の製品に置きかえ】ザ・ペニンシュラ東京では、木製のアメニティに置きかえることとしているようです。
https://www.instagram.com/p/CaOX9GHvHQr/?utm_source=ig_embed&ig_rid=783dd248-f4d8-4b93-879d-c2d7bf23d1ef

(対応を忘れていた!!まだ対応決めていない!!という場合)
まだ、具体的に対応を決めていないという宿泊施設は、取り急ぎ、アメニティの設置をやめた上、チェックイン時にお客様にアメニティ使用の意思の有無を確認、連泊のお客様には繰り返し利用を推奨といった措置を採った上で、今後の対応を検討するという対応となるのではないかと思います。


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